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特使を使った韓国政府の「伝言ゲーム」の危うさ

出典AFP米ホワイトハウスの前で記者会見する韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長。左が徐薫(ソ・フン)国家情報院長。

韓国の文政権が金正恩のところへ特使を派遣して以来、今にも米朝対話と北朝鮮の非核化が進展するかのような空気になっているが、報道されていることの“行間”をよくよく読むと、むしろ逆の結果(=米朝関係の完全破局)を招く懸念が大と思われる。



伝達役をした韓国側は本当に正確に伝えたのか

トランプが米朝首脳会談を快諾したのは、自分の手柄になると思ったからだ。

彼は明らかに「北朝鮮がほとんど非核化の約束をした」というふうに受け取っている。だだから、「過去にオバマ・クリントン・ブッシュが出来なかったことをやり遂げた」などと自慢している。実際、北朝鮮がそうしたなら、これまでのトランプの対北外交がすべて正しかったことが証明された格好になる。

しかも、中間選挙を控えて、世界的に悪名高い独裁政権の首領が彼の下にやって来て膝を屈したとなれば、もはや“完全勝利”以外の何者でもない。その甚大な政治的利益を思えば、トランプが小躍りするのも無理はない。

しかしながら、今回“仲介役”をした韓国特使が、てっきり親書を受け取って、それをトランプ大統領に手渡したのかと思いきや、すべて「口頭」なのだという。

つまり、金正恩から口で言われたことを、今度はトランプに対して口で伝えた、ということ。要は「伝言ゲーム」だ。これを知った瞬間「危うい」と直感した。

それが正確に伝えられていれば何も問題はない。

ところが、韓国側が仲介役をいいことに話を“盛った”疑いがある。

というのも、北朝鮮側の反応とトランプの反応には、あまりに隔たりがあるからだ。

しかも、ロイターによると、北朝鮮では今回の件をまったく報道していないという。

何か誤解が発生している事態が察せられる。

米朝首脳会談実現のために韓国側が“善意”のミスリードをした?

大方、金正恩が「非核化について話をしてもよい」といった程度のことを、韓国側がさも大袈裟に「ほとんど約束した」というニュアンスで米側に伝えたのではないか。

今回、金正恩とトランプの双方に会って橋渡し役を務めたのが、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と、徐薫(ソ・フン)国家情報院長の二人。

ただ、どうもこの二人が個人的な主観・願望・期待等を交えて“翻訳”してしまったというより、「政権ぐるみ」でトランプが期待を抱くように仕向けた気がする。

つまり、何がなんでも米朝を対話のテーブルに着かせて、彼らの考える朝鮮半島の平和を実現するために、はっきり言えば、意図的に金正恩の話を誇張したということ。

これは韓国人朝鮮人がよくやる行為だ。自分が「こうなればいい」と思ったら、平気で事実のほうを修正する。歴史の改変や捏造も、そうやってやってきた。しかも、いつの間にか本人自身もそれが事実であるかのように思い込む。ディズニーランドに来てほしいと思えば、いつの間にか来ることになってしまう。自己洗脳の名人である。

そうやって、政府や自治体ですら実に適当な気持ちで話を盛るし、あっけらかんと嘘をつく。これに関しては無数の事例がある。それが悪いという考えがない。

とうとう、それが命取りになるかもしれない。今回も「こうあるべきだ」という勝手な正当性や願望があって、それを“事実”にしようとしたものではないか。

韓国の余計な行為はかえって裏目に出る

そのせいで、金正恩にしてみれば、おそらく非核化に言及した程度のことなのに、「いつの間にかおれが約束したという話になっている」ため、かえって会い辛くなったのではないか。つまり、そもそも米朝首脳会談が開かれない可能性も考えられる。

私の想像だが、金正恩は当然、最初から非核化の意思なんかない。トランプの前にニンジンをぶら下げて、時間稼ぎしようという魂胆だったのではないか。

ところが、トランプのほうは、変に期待をもってしまっている。自分のところに金正恩のボンボンが会いに来て、非核化を確約するものと信じている。

つまり、金正恩は「非核化について具体的で検証可能な行動」を土産に持っていくことを期待されているのであり、そのせいでむしろ会談に行くに行けなくなった。

韓国側の「超訳」があったとするなら、確実に裏目に出た格好だ。むしろ、会談の不成立や、仮に開催されても決裂する結果を、約束してしまった格好ではないか。

金正恩は元からアメリカを騙すつもりだったから「アテが外れた」程度のことだが、おそらくトランプからすれば「騙された」というレベルの話になる。

まず、「北朝鮮が嘘をついた」と怒り始めるのではないか。

そのうち、韓国側が意図的に金正恩の話を誇張して伝えたと気づいて、今度は「韓国政府に騙された」などと騒ぎ始めるだろう。これは裏切りと見なされる。

つまり、トランプ政権にしてみれば、南北朝鮮の双方からかつがれた格好だ。「同じ民族だから共謀したのだ」と思われても仕方がない。

かくして、韓国側としては悪意がなかったかもしれないが、結果的に北朝鮮を追い込み、自身の後ろ盾たる同盟国の信頼を裏切った格好になるのだ。

だから、朝鮮半島の平和という彼らの想いとは逆の結果になってもおかしくはない。