山本太郎シナリオか、それとも安倍政権シナリオか?

オピニオン・提言系




さて、前回の補足。

テレビと新聞が伝えない山本太郎公約のホントの話
このたび、「れいわ新選組」を立ち上げ、代表に就任された山本太郎さん。 一部の人たちから熱狂的に支持されています。 彼は小沢代表の自由党を離党して、独自の公約を発表しました。 「政権を取ったらすぐにやる」と約束しているのが以下の「8つの緊急政...

私たち生活者からすれば、年々、少しずつ負担増を強いられているのは確か。

私も、まったく医者の世話になっていないにも関わらず、単身で昨年42万円の健康保険料を請求されて、正直「いくら支え合いでもこれではバランスが・・」と思いました。

その他、市民税、国税、年金、消費税とあるから、重税感は人々と共有しています。

ただし、私に言わせれば、こういう「長年の構造問題」に起因する現状に対して、「安倍政権ガー」と極度に単純化して怒れる脳ミソが、逆に羨ましくて仕方がない。

私もそれができたら、どんなに幸せなことか。

年金・医療・介護などの社会保障給付金の増大や、少子高齢化に伴う現役世代の負担率上昇と経済成長の本質的困難さなどは、どう考えても安倍政権とは何の関係もない。

多額の公債発行もまた累積問題の最たるもので、「政権のせい」でも何でもなく、国民側が今現在の税負担を嫌がって将来にツケ送りを選択してきたことの累積結果に他ならない。

ちょうど中曽根政権の頃の、メディアや知識人も扇動しまくった、売上税(消費税)反対世論や運動のように。そう、メディア・知識人もまた共犯なんですね。

民主政下では、徴税の強化は民衆に嫌われ、選挙にも不利になる。対して「減税」を訴える者は圧倒的に選挙に有利。ちょうど今、山本太郎がやっているのがそれだろう。だから民主的な政府ほど為政者は民衆に迎合して、常に安易な道を選びたがる

そういう長年の「衆愚政治」の蓄積の結果として今現在の状況があるわけですよ。

幸か不幸か、日本という国家又社会の抱える制約された状況下において、負担増と行政サービスのバランスからすると、今の茹でガエル的負担増はベターなシナリオですらあると思うんですね。誰もが少しずつ犠牲を払うわけですから。

前にも触れましたが、財務省の官僚などは、非常に複雑な検討を重ねて、最大限公平性を担保するような制度を立案している。

批判する人はそれを理解して言っているのだろうか。

安倍政権もまた、介護士や保育士職員の待遇改善に関して、月給アップ政策等で地道に対応しています。決して十分ではありませんが、それでもこの先、キャリアの長い介護職員などは約400万円の民間平均年収を超える可能性すら考えられる。

ところが、こういったことは、あまりメディアは報じません。

たしかに、現実性・実現性ということをまったく考慮しないなら、何でも言えるし、どんな公約でも可能ではあります。公務員倍増だって口では平気で言える。

ただ単に、目立って、大衆ウケして、選挙に通って、地道な社会改革を忌避して、政治家のイスにしがみつくことが目的なら、たしかにうまいやり方だろう。

なにしろ、メディアや知識人には無責任な偽善者が多く、同じ種類の無責任なポピュリストを持ち上げる。「引き寄せの法則」というやつでしょうか。

しかし、そういう政治家に支払われる税金こそ、本当は無駄金ではないのか。

だから、私たち庶民ほど、「山本太郎革命」をヨイショしている著名人と、彼の「なかまたち」の顔ぶれをよく見て、その「人間の質」を見極めなければならない。



安倍政権でも今の社会システムは「延命」がせいぜい

ただし、私個人の見立てでは、山本太郎氏個人の社会改善への情熱と不正への怒りは、明らかに本物。だから彼はよいブレーンに恵まれなければならない。あるいはよい師について学ばなければならない。そうすれば彼の積極性がプラスに生きるはずです。

しかし、彼の周りには、彼が無知なのをいいことに、利用しようとする人間がうごめいていて、かなり偏った情報を吹き込まれている可能性を危惧しています。

彼らが山本太郎を扇動政治家に仕立て上げ、大衆を取り込もうとしている。こういう連中ほど実現する気もない甘い約束を弱者に囁き、人々の怒りを焚きつけようとします。

さて、こういうことを言うと、「さてはきさまは安倍信者だな!?」とか食ってかかる者が出て来そうですが、私はそもそも根本的な改革は自民党政権に期待すらしていない。

過去には、最終的には、政府が負荷に耐え切れずクラッシュし、「公務員総人件費の半額カット&社会保障給付金の大幅減額」とのマイ予測を発表しています。

その「Xデー」の後にはどうなるかが以下です。

大増税時代、そして公務員給与と社会保障費に大ナタ
さて、せっかく当サイトで楽しいアニメの話ができたと思ったら、また嫌な話をしなければならない。当記事は、以下の記事の続編みたいなものである。 十数年前に破綻したアルゼンチンの場合、バンクホリデーが強行された。その際、政府は国民の外貨預金を没収...

つまり、今の「安倍シナリオ」でもいずれは破綻するということです。

言ったように、これは本来「長年の構造問題」なのです。

第二次安倍政権が実質発足した2013年には、その時点における累積化した社会矛盾を根治することはすでに不可能だった、というのがそもそもの私の見方です。

唯一、安倍晋三氏が本物の独裁者であったなら、解決可能だったかもしれない。

しかし、安倍総理は、性格が穏やかで、極めて大衆迎合的であり、大資本と大衆のどちら側にも飴を投げるコロッセウム政治をしてきたのが本当です。

いったい、どれほどの色眼鏡をかけるとこれが「独裁政権」に見えるのだろうか?

つまり、もう手遅れ。あとは時間の問題

よって、日本社会は安倍シナリオでずるずると延命して、最後には何かのきっかけで盛大に破綻するでしょう。政権交代しても、遅いか早いかだけの違いです。

戦後の社会システムそれ自体の制度疲労から来ていますから、もとから安倍だろうが、枝野だろうが、山本だろうが、累積した社会矛盾に対処療法するのがせいぜい。

それは総理個人や政権単独の責任ではなく、国民の連帯責任なのです。

私たちはそれぞれが自分の立場で全力を尽くすことを考えるのがよいと思います。

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