東京五輪の次は山陰リニア新幹線の建設を

オピニオン・提言系
島根県の内陸部 撮影:Takaaki Yamada 以下同




みなさん、こんにちは。

つい先日ですが、世間はおろか党内からもすっかり人望を失った、あの元地方創生大臣の石破茂氏が「今こそ山陰新幹線が必要だ」と発言しました。

私は石破氏の政治家としての資質についてはどうかと疑問に思いますが、この件に関しては賛成です。というより、元から私の持論でもありました。

都道府県の人口順位をご覧下さい。

このように島根県と鳥取県は最下位です。

しかも、年に3%弱の勢いで人口が減少している。

また、両県のただでさえ少ない人口は、日本海沿岸側に集中していて、限界集落の多い内陸は秘境化しつつある。山陰地方は急激に衰退しているんですね。

これに歯止めをかけるのは、新幹線の開通以外にないと、私も考えています。



新幹線がないことによる陸の孤島感

ついこの前、私は島根県に行ってきましたが、山陰地方は行くのに本当に不便を感じます。そもそも大阪からも気軽に行ける感じではないんですね。

東京から大阪までは新幹線で2時間半なのに、大阪から島根・鳥取のほぼ境に位置する松江に行くのに4時間もかかる。ましてや関東から行くとなれば!

新幹線が九州から東北・北陸まで連結した今の時代からすると、山陰地方の「陸の孤島感」というか「孤立感」が半端なく感じられる。

むろん、空路視点でも便数が極端に少ないめ、そんな印象です。

石破茂氏もこう言っている

 両県はともに東西に長く、主な移動手段は鉄道になります。例えば、鳥取県の東端にある鳥取市から島根県の西端にある益田市まで、路線距離にして約284キロあります。特急の「スーパーまつかぜ」と「スーパーおき」を使っても約4時間かかります。そのうえ、1日6往復しか走っていません。他方、同じ中国地方でも広島の場合、新幹線に乗れば、約4時間で東京に着きます。そのうえ1日に52本もある。

これが、新幹線を持つ地方と、持たざる地方の「格差」なのです。

山陰間の行き来ですら不便というのです。このスピード時代に・・。

仮に新幹線なら、鳥取市から益田市まで1時間ちょいくらいだし、又、大阪から松江までも1時間くらいで行けるはずです。

当然、「山陰に新幹線を作っても赤字路線になるだけだ」という見方がある。

私も当初はそうだろうと思う。

しかし、第一に、かなりの需要が「後から」見込める可能性がある。

近畿圏―山陰地方が気軽に行き来できるようになれば、確実に人の流れが増す。たとえば、首都圏もそうですが、近畿圏も同じくらい「きれいな海水浴場」に飢えている。

大阪湾や琵琶湖は水が臭いため、わざわざ南紀や、京都・兵庫の日本海側まで行かなければいけない。しかし、交通の便も悪く、混んでいる。

対して、山陰地方の日本海沿岸は、一般に海がきれいで、比較的すいている。

だから、新幹線で1、2時間のところに「きれいな海」があるとすれば、近畿の都市住民が夏場にどっと押し寄せる可能性が高い。

ま、これは単に夏の海水浴需要ですが、私は通常の観光需要も大きく伸びると思う。

ちょうど北陸新幹線の開通がそうでした。

今では東京・大宮から、金沢まですっと行ける。

面倒なので調べませんが(笑)、首都圏から北陸地方への観光需要は、新幹線の開通によってものすごく伸びたのではないだろうか。

人間の距離感というものは主観的で、しかも現実の距離もよりも多分に移動時間のほうが原因している。私が子供の頃は、この辺りは「裏日本」(笑)などと呼ばれていたが、これだけ短時間で行ける様になると、ちっとも「裏日本」という感じがしない。

今では、北陸新幹線は、金沢から伸ばす工事がどんどん進んでいます。

JR西日本だけに任せるのではなく日本全体で考えるべきテーマ

第二に、日本国として国土のバランスよい発展を志すべきではないのか。

山陰地方だけがこのまま取り残されていってもよいのか。

需要つまり採算の問題があることは分かる。しかし、全国視点に立てば、そういった赤字リスクというものを日本全体で引き受けることもまた一つの解なわけです。

たしかに、国鉄の赤字解消のため、分社民営化は必然でした。ただそのため、赤字路線は廃線を強いられ、国土の均衡ある発展が疎外されるようになったのも事実です。

日本は全体で一つの有機的な生き物です。

人体において、脳や心臓がもっとも重要であるからといって、「独立採算」のごとき発想で手足への栄養を絞り始めれば、最終的に身体全体を悪くします。

だから、経済的には赤字の路線でも、日本全体でそのリスクを引き受け、分散することで「生かす」ことも、また重要なわけです。でなければ、少子高齢化の時代にあって、首都圏と地方の格差が益々広がり、日本全体がいびつ化していくばかりです。

その点、昔の政治家は大局観がありました。田中角栄のように、腐敗していても、国政を担う以上、他方で日本全体の最適解というものを常に念頭に置いていました。

対して、二世議員の時代になると、明らかに視野が劣化していて、東京で二回もオリンピックを開く真似を平気でやる。地方の衰退が始まっていないなら、それも良いでしょう。しかし、明らかにそれが始まっていて、なお東京にばかり投資を集中させようというのだから、無責任というか、もともと政治家として全国的な視野に欠けている。

まあ、今となっては東京オリンピックの成功を祈るほかありませんが。

人口減少と、首都圏と地方の不均衡の拡大という、ダブル悪循環に歯止めをかけるためにも、せめてオリンピック後は地方への大型投資を考えようじゃありませんか。

私なら、その最初として「山陰新幹線」の建設を挙げますし、そのためにもJR西日本だけに任せずに、国政としてリスクを分散して取り組むべきだと思います。

「山陰リニア新幹線」という手もある

さて、東京品川から名古屋までのリニア新幹線が建設中です。

そこが先行開業で、名古屋から大阪までは次の段階になります。

私はリニアに賛成です。JR東海としても採算を見込んでの計画だろうし、何よりもこれにより「将来の三大都市圏の一体化」という空前絶後の成果が期待できる。

今回の中央リニア線では、南アルプスのトンネル工事が話題(問題?)になっています。南アルプスのどてっ腹をぶち抜いて直線を取るんですね。

この件に関しては、以前に「ついでだから自動車専用のトンネルも平行して掘ったらどうか」と提案しました。

「南アルプス横断トンネル」を鉄道と道路の併線にする案
昨年の10月、品川~名古屋間の「リニア中央新幹線工事実施計画」が国土交通大臣から認可された。ルートは「品川―橋本―甲府―飯田市―中津川市―名古屋」だ。「橋本」とは関東の人間にとってもあまり聞きなれない地名だが、八王子から7kmほど真南にある...

現在、中央自動車道は「諏訪回り」を余儀なくされているんですね。

しかし、もともとの建設計画では、南アルプスにトンネルを作る予定でした。

出典:高槻長尚「南アルプスを越えられなかった中央自動車道」

ところが、建設コストと技術面、また長野県派の意向などにより、トンネル案は見送られ、南アルプスを迂回するルートのほうが採択されました。

トンネル案だと、東京・名古屋間は60キロの短縮になったといいます。

中央自動車道は最初の区間の開通から2017年で半世紀を迎えました。

これを機に、リニアのトンネルと自動車用のトンネルを、一緒に掘ってしまえばいいんですね。自動車輸送の大幅な時短になり経済効率もアップする。

ところが、今の政治家はそういう発想ができない。

ちなみに、このリニア線も、長野県派の地元政治家・役人は、諏訪回りに捻じ曲げようとした。こういう地方エゴをけん制するのも、国政政治家の役割なんですよ。

ま、この問題は横に置いておくとして、私は「山陰新幹線」も、いっそうのこと、リニアで敷設したらいいのではないかと思います。

つまり、将来的に中央リニア線と山陰リニア線が新大阪でドッキングする構想ですね。また、山陰リニア線は、北陸新幹線とも繋がればいい。

どうせ東京オリンピック後に山陰新幹線の計画に取り掛かったとしても、開業する頃にはリニアの時代になっているはずです。

だから、一歩先を見据えて、山陰新幹線を最新リニア方式にする。

地元の島根や鳥取の皆さんも声を上げてみてはいかがでしょうか。あるいは、皆さんから地元の政治家に提案して中央に対して声を上げてもらう、という手もあります。

黙っているだけでは、問題は悪化するばかりで、解決しないのであります。

スポンサーリンク




タイトルとURLをコピーしました