当記事は過去の数記事を踏まえたものです。
どうも実質数派閥の連合である安倍政権は世界権力から「現代の田中派」と見なされているフシがある。「彼ら」からすれば元々、第二次安倍内閣も言いなりだったはず。
ところが、どうもおかしい。安倍晋三は心底、日本民族主義者であり、プーチンと20回も会談を重ねて、何やら裏で不透明なやり取りをしているのではないか・・。
つまり、かつて中国に接近しすぎて、毛沢東と何やら密談を持った田中角栄と同じ「本性を隠した面従腹背の政権」というわけです。
世界支配層は、田中派に対して「中曽根康弘」という手ごまを使いました。さらに言うなら、もともと子分だった竹下登にも裏切らせて、新会派を作らせた。
今回、彼らは同じように、安倍政権に対して「石破茂」という手ごまを使っているのではないか。石破氏といえば、まさにその中曽根の弟子でもあります。つまり、
現代の田中派=安倍政権
現代の中曽根康弘=石破茂
世界支配層から見ると、そういう図式かもしれない、と。
石破氏は未だに「反安倍」で威勢がいい。まだ「上」から見捨てられていない証拠だと思います。いったい、安倍氏と石破氏の違いは何でしょうか。それを見極めると、ある程度、世界支配層の意図も浮き彫りにすることができると思います。
核議論に消極的な安倍総理と積極的な石破茂
安倍さんは若い頃、核武装論者でした。隠していましたが、それが本音でした。ところが近年は核武装しないと明言している。
逆に、核武装に積極的なのが石破茂です。今、石破氏が盛んに「核政策に関する議論をすべきだ」と訴えていることはご存知でしょうか。
つまり、巷間の基準でいえば、石破氏のほうが「タカ派」なんですね。
彼は元防衛大臣で軍事にも詳しい。タブーだった議論を喚起すること自体は私も賛成です。福島みずほ氏なんかは「議論することも駄目」と言いますが、ナンセンス。
これ自体は評価できる。ところが、石破氏のいう「核保有」の内容はどうか。
石破氏はつい最近、こんなことを言っています。
石破氏「核兵器を作る技術、持っておくべき」2017年11月06日 07時34分
(前略・石破茂氏は)「日本の周りは北朝鮮であれ中国、米国、ロシアであれ全部核保有国だ。その気になれば核兵器を作ることができる技術は日本は持っておくべきだ」と述べ、原子力関連の技術を維持するため、原発は当面続けるべきだとの考えを示した。
石破氏は「核兵器を持つべきだという立場には立っていない」と明言したうえで、「核についての知識がないと、いかにして核から身を守るかという知識も生まれない」と語った。
要するに、抑止力としての核兵器製造技術の保持、およびそのためにも原発は続けるべきだ、という考えです。この政策は、いわゆる保守派にはとても受けがいいはず。
しかし、彼は「核兵器は持つべきではない」とも言う。どういうことなのか?
石破茂の「非核三原則見直し」の真の中身
2017年9月7日、石破氏は「羽鳥慎一モーニングショー」に出演しました。
その時の放送内容の番組公式キャッチはこうです。
「軍事的挑発行為を繰り返す北朝鮮。(略)日本はどうするべきなのか? 今月3日、日本の核政策について検証の必要性を言及した石破茂元防衛大臣。発言の真意とは何なのか? 日本が核武装することは許されるのか?」
この時、石破茂氏は、まっとうな核議論がされない現状を嘆き、今の「核の傘」の抑止効果に対して疑義を挟んだ。そして堂々「非核三原則見直し」を訴えました。
「日本が『核を作る・持つこと』については反対。
だが『持ち込ませない』は抑止力にならない。アメリカの核の傘で大丈夫と主張する人も居るが、その傘が本当に大丈夫か検証しないでいいのか」
これ、発言の意味が分かりますか、皆さん?
「核武装」は核武装でも、石破氏が訴えるのは、日本自ら所有して自主防衛するのではなく、「アメリカの核を置きましょう」ということなのです。
非核三原則じゃ抑止力にならないから、直接、アメリカに核兵器を持ち込ませましょう、と。それが石破氏の目指す「核武装」の中身なのです。
ちょうど今、北朝鮮の脅威の高まりを受けて、「日韓の核武装容認論」がアメリカで噴出しています。しかし、「日韓に核を持たせよう」の真意は、自主防衛ではなく、米軍の核持ち込みを公式化させようというものです。あるいはアメリカの核兵器を持たせてやってもいいが、発射の是非は同盟下に置く(=われわれが握る)というものでしょう。
その動きに明らかに連動しているのが石破茂氏というわけです。
石破茂の提案は日本全土を「本土復帰前の沖縄」にするものだ!
結論から言うと、私は大反対です。
冗談じゃない。
非核三原則を見直す点は賛成です。しかし、それは日本自らが核武装して、将来的に自力で国を守ることに繋げていくものでなければ、何の意味もない。
他国の核基地に成り下がることは、むしろ有害ですらある。
この石破発言の三日後、NHKは「スクープドキュメント 沖縄と核」を放映した。
ナイスタイミングです。番組のキャッチは以下です。
おととし、アメリカ国防総省は「沖縄に核兵器を配備していた事実」を初めて公式に認め、機密を解除。これを受け、いま「沖縄と核」に関する極秘文書の開示が相次ぎ、元兵士たちもようやく重い口を開き始めた。
番組によると、本土復帰前の沖縄は、米軍の対共産圏用の核基地でもあり、なんと最盛期には1300発もの核兵器が配備されていたという。
はっきり言って、私はこれを見た時、驚いた。
当時の沖縄に核兵器が持ち込まれていた事実はよく知られていたが、私はてっきり数十発程度――それでも大変だが――だろうと勝手に思い込んでいた。
NHKには相当、中国の諜報機関が浸透しているので、沖縄の反米感情を刺激する制作意図なのかもしれない。しかし、重要なことは、それが他国の工作かどうか以上に事実かどうかです。事実である分には、反米であろうが何だろうが構いません。
番組でも元米軍兵士などが証言していますが、仮に戦争になれば、アメリカの敵国は“核基地沖縄”に対して、同じ核兵器でもって報復してくるだろう。
「日本が独自に核を持つことや作ることは駄目だが、抑止力を強化するために『持ち込ませる』はやるべきだ」というのが石破の構想です。
これは日本全土をかつての軍事植民地沖縄――今でも――にせよということだ。
このNHKの番組は、意図せずしてそれに警鐘を鳴らした格好になりました。
日本を対ロシアの鉄砲玉として全滅させかねない石破構想
日本は占領されて降伏したわけではない。占領されるまえに連合国と講和した。だから根っからの属国にならなかった。そこがドイツとの決定的な違いだ・・。
いわゆる別の意味で自虐的なドイツ知識人の中にはこう考えている人も少なくない。
実は戦後のドイツは正真正銘の属国なんですね。
だから、かつてソ連が中距離核ミサイルSS20を配備すると、NATOは西ドイツにパーシングIIミサイルを配備した。表面的にはドイツの顔を立てましたが、実際に配備を決めて推進したのは米英でありNATOでした。ソ連と戦争になればドイツは壊滅する前提になっていました。最初から捨石にされる予定だったんです。
石破氏の主張していることは、一見保守派にウケがいいが、何のことはない、日本を米軍の「核前線基地」にしろということです。堂々、在日米軍基地に核兵器を置け、戦略核搭載のミサイル原潜の母港になれ、ということです。
つまり、わが国をドイツのような正真正銘の属国にするということです。
冗談じゃない。神風特攻隊が何のために死んだと思っているのか。
私は前々から「影の政府」は第三次世界大戦で中ロを打ち負かして、その「戦後秩序」として全世界を統一するつもりだと述べています。とくにハートランドたるロシアを従えない限り、世界支配は絶対に実現しません。MI6のマッキンダーがロシアをハートランドと定義したのも、彼らによる世界支配の意味を込めてのことです。
「影の政府」は第三次世界大戦という本番を見据えて、NATO軍による中ロ挟撃体制を整えようとしている。日本をそのための核ミサイル基地したいのです。
日本に配備した米軍の核兵器は、中ロ殲滅攻撃に使われるだろう。そのことによって、逆に中ロは日本への核攻撃をためらう必要がなくなる。
つまり、石破構想は中ロに対日核攻撃の大義名分を与えるようなもの。
米軍の核兵器を配備することは、中ロへの核攻撃を、国家として正当化するようなものです。それによって彼らもまた対日核攻撃を正当化できる。
私の想像では、おそらく安倍総理はプーチンから極秘裏に警告を受けている。「日本が米軍の核基地になったら、戦争の際にわれわれも日本を核攻撃せざるをえない」と。
だから、安倍総理がギリギリのところで世界支配層に抵抗しているのではないか。
必ずしもそれだけが理由ではないが、「影の政府」はなんとか安倍を降ろし、首を挿げ替えようとしている。彼らは自分たちの計画に忠実な石破茂を総理にしたいのです。
世界支配層の大衆洗脳装置であるワイドショーで、石破氏が堂々と上の主張をし始めたことで、なんとなく裏で進行中の出来事を推察できるようになりました。
これからも北朝鮮危機と連動して、「非核三原則見直し論」は活発化していくでしょう。そして石破が無理ならということで、小泉その他を推してくるかもしれない。
一口に核武装といっても、いろいろ種類があります。それぞれの選択にメリットとデメリットがある。日米同盟下で米軍の核を配備する選択は、米ロ戦争にもっとも悲惨な形で巻き込まれるという意味で、およそ最悪の選択だろうと私は考えます。
ただし、相手は巧妙ですから、最終的に「日本が自前の核で武装できる」点をエサにして、その前段階として、まず在日米軍基地に核兵器を置くことを公式に認めるという方向性にもっていくかもしれない。もしかして、日本がそう決めるまでは、北朝鮮を生かしておくつもりかもしれない。だが、それは最悪の選択の入り口だと指摘しておきます。