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自分を低く見せる人たち

出典:http://news.yoshimoto.co.jp

みなさん、こんにちわ。

大阪のG20サミットが無事に閉幕しました。

メディアを通じて、大阪城や大阪独特の食べ物なども、少しは紹介されたようです。

また、大阪の街の発展ぶりが東京に勝るとも劣らないレベルであることも、かなり知れ渡ったのではないかと思います。高層ビルの数は東京よりも多いらしい。

しかし、大阪にはそれ以上のものがあると、私は常々思っています。

それは「無形の財産」です。しかも、東京にはあまりないものです。

それが大阪特有の「お笑い」ですね。



人々を幸せにする大阪のお笑い文化

ちょうど今、吉本興業の芸人搾取が話題になっていますが(笑)、吉本新喜劇に代表される「お笑い」は、あまり世界に類がないのではないかと思います。

あえて、自分を滑稽に、愚かに、馬鹿に見せる、という芸風なんですね。

明石さんまや間寛平は全国級ですが、大阪には次のような芸人さんもいる。

たとえば、池乃めだか(いけのめだか)

下は「カニばさみ」です(笑)。

池乃めだかが寝転んでいたら、それは罠をはっている証拠です(笑)。

また、“大阪名物”パチパチパンチや、「しまったしまった島倉千代子」の迷セリフを生み出した故・島木譲二(しまきじょうじ)

(島木譲二 大阪名物パチパチパンチ&ポコポコヘッド)

島木さんは少し前に、みんなに惜しまれながら、亡くなられたんですね。

今にして思えば、あの「ポコポコヘッド」はやり過ぎないほうがよかったかも。

そして、坂田利夫(さかたとしお)こと「あほの坂田」

(吉本新喜劇 坂田利夫 名場面)

この人は真打ち。本当に凄い。

私は子供の頃、テレビで、舞台に上がった坂田利夫が、観客から次々と「アホー」「アホー」と冗談で野次られているのを見たことがあります。

でも坂田師匠は本気で怒ることはなく、調子をあわせておどけていた。

今にして思えば、あれが「あほの坂田」の始まりだったのかもしれない。

吉本の東京進出の影響もありますが、今テレビに出ているお笑い芸人さんたちは、大なり小なり、こういう大阪的な笑いの文化を引きずっている。

そして、あえて馬鹿にふるまい、ドジを踏んでみせ、お茶の間を笑わせている。

どんな不幸な人でも、笑っている時は幸せです。

だから、彼らは人を幸せにする仕事をしていると言える。こういう人たちが増えれば、世の中はどれだけ温かく、人情味のあるものになることでしょうか。

なぜ坂田利夫が一番偉いと思うのか?

こういう人たちこそ、ホントは「人間として凄い」と思います。

今の世の中、自分をカッコよく見せようとか、賢く見せようとか、さも善良で良心的な人間に見せようとか、そういう人ばかりが溢れている。

要は、自分を実態以上に良く見せようとする。

とか言っている私自身もそういうところがある。

だから、偽善とか、虚飾・虚栄が、世の中に横行している。

いわば、「自分を高く見せようとする人たち」です。

典型的なのが、以前、夜10時の「報道ステーション」に出演していた「ショーンK」なるコメンテイター。わざわざ顔を外人風に整形して、コンサルタントと称していました。

対して、大阪のお笑い芸人は「自分を低く見せようとする人たち」です。

どちらが尊敬に値するのでしょうか?

あのイエスさんがこんなことを言っている。

そのとき、弟子たちがイエスのところに来て、

「いったいだれが、天の国でいちばん偉いのでしょうか」と言った。

そこで、イエスは一人の子供を呼び寄せ、彼らの中に立たせて、言われた。

「はっきり言っておく。心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない。自分を低くして、この子供のようになる人が、天の国でいちばん偉いのだ。わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れる者は、わたしを受け入れるのである。」

(マタイによる福音書 18章 01節)

つまり、自分をさも良い人間であるかのようにアピールする言動や演技は、「本質の世界」ではまったく通用しない、ということです。

まあ、池乃めだかの場合は、ホントに子供みたいに背が低いわけですが(笑)。

難しいところですが、これは「卑屈」になるという意味ではない。

それは逆に傲慢の裏返し。

そうではなく、子供みたいに素直な性格がよいという意味でしょう。

いずれにせよ、イエスさんの価値観では、大阪のお笑い芸人こそが「天の国でいちばん偉い」ということになるのかもしれません。

とくに、「あほの坂田」として人々を笑わせる坂田利夫師匠のような人物。

ほんまに偉いのは、こういう人なんや、と、私は言いたい。

Takaaki Yamada: