以下は総務省『平成28年版 情報通信白書』の「人口減少社会の到来」の項目です。例によって赤字は私です。
少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口は1995年をピークに減少に転じており、総人口も2008年をピークに減少に転じている。総務省「国勢調査」によると、2015年の総人口(年齢不詳人口を除く)は1億2,520万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,592万人である。14歳以下の推計人口は1982年から連続して減少が続いており、少子化に歯止めがかからない実態が改めて浮き彫りになっている。
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人(2010年人口の32.3%減)にまで減少すると見込まれており、生産年齢人口は2030年には6,773万人、2060年には4,418万人(同45.9%減)にまで減少すると見込まれている(図表1-1-1-1)。
(図表1-1-1-1 我が国の人口の推移)
ちょっと分かりにくいので、「今後」部分を拡大してみましょう。
これから毎年、膨大な人口が減っていく
総人口は推計によると、
2020年には、1億2,410万人。
2030年には、1億1,662万人。
つまり、その十年間に「748万人」の減少が見込まれるわけです。
平均すると一年につき約75万人の減少です。
しかも、それ以降は減り方がさらに酷くなり、
2030年代には平均で年間90万人以上が減少し、
2040年代には平均で約100万人が減少していく。
一年間でこれだけの人口がごっそり減っていく。
イメージしやすいよう、政令指定都市の人口と比較してみます。
以下はウィキペディア「日本の市の人口順位」より。
毎年、75万人の減少というと、東京都の練馬区や、熊本市くらいの人口が無くなっていくイメージですね。
あるいは、もはや「県」レベルの比較のほうが妥当かもしれません。
現在、日本の都道府県で人口百万人を切っているのが、38位の秋田県以下。
つまり、毎年、福井県や徳島県くらいの人口が無くなっていくわけです。
2020年代の10年間でいうと、愛知県や埼玉県に相当する人口が消失する。
換言すれば、それだけの個人消費が減っていく。
一番余るのが、需給調節に期間がいる住宅でしょう。
数年前ですが、総務省によると、全体で6063万戸のうち、すでに820万軒が空き家。これがさらに急増していく。30年代、40年代には減少に加速がつく。
大地震が起きなければ、の話ですが、「中古住宅投売り時代」が来るかもしれません。
年金と医療費の支出が毎年着実に膨張、増税地獄に!
ところで、グラフにあるように、総人口は減っていくのに、
65歳以上の高齢者の数は3千万台半ばをずっとキープです。
それを減っていく一方の生産年齢人口(15歳~64歳)で支えていかなくてはならない。
社会保障給付金の総額は2017年度で約120兆円。
年金の受け取り、医療費、介護費・生活保護費等の内訳は棒グラフ(左)にある通り。
医療費は年間約39兆円に膨らんでいます。道理で健康保険料が高いわけです。
これはいわば歳出。対して、歳入のほうは右の棒グラフになります。
歳出は約120兆円なのに、私たちが支払う年金・健康保険料の総額は68・6兆円。
つまり、50兆円強が不足です。それは一般会計(税収・国債)からの持ち出しで賄っています。高齢化で社会保障給付金は毎年約1兆円ずつ増加していくので、減額したくなければ増税は不可避です。ちなみに、医療費と年金はまだ独自財源を持ちますが、生活保護費などはそれがないため、100%の税負担です。
ちなみに、以前、「増税なんかしなくていい。軍事費を無くせばいい。イージス艦一隻で1500億円もする」という持論を得意げに語った人がいました。
時々、こういう極論を平気で言う無責任な人間がいます。
本人的には平和主義者のつもり。そこで私はこう突っ込みました。
「防衛費は5兆円でしょう。仮にゼロにしても、社会保障費は毎年約1兆円ずつ増えていくから5年間で食い潰してしまいますよ。その後はどうするんですか?」
「・・・・・・」
「役人の給料を減らすなどの支出削減にも限界があるでしょう。増税しないで、どうやって増える一方の社会保障費を賄うわけですか?」
これでもう答えられない。
防衛費は減らすに越したことはないが、いきなり「無くせ」などと言う者は、問題を現実として受け止めていない証拠です。その点、財務省の官僚は、問題はあるにせよ、非常に複雑な検討を重ねて、できるだけ公平性を保とうと努力している。
誰だって増税は嫌です。無駄遣いに関しては、私も言いたいことはたくさんある。
しかし、様々な制約を考えると、基本的に増税の方向性はやむをえない。
それが嫌だったら「社会保障給付金を抑制せよ」と言うしかない。つまり、年金の支給額を減らせ、医療費の自己負担率を上げろ、生活保護費を減らせ、というわけです。
私的にはそっちでも全然構わないのだが・・・。
増税も嫌、社会保障の給付を減らすのも嫌・・・なら、ただのタダこねのグーミン。
さて、日本はこういった国の構造問題を、外国人の一定受け入れと、AIとロボットによる付加価値の創出拡大で乗り切ろうとしている。
しかし、それですら社会が今のまま順風満帆に行けば、という前提に基づいている。
ただ、私は一度クラッシュが起きる「別の未来」を予想していますが・・。