みなさん、こんにちわ。
2017年2月12日、日本時間の朝8時ちょっと前、北朝鮮が新型弾道ミサイルの発射実験を行いました。トランプ政権後としては初の試みです。
このニュースに関して多くの解説が行われていますが、私的には突っ込み不足に思えて不満なので、僭越ながら、私のオリジナルの視点からまた斬り込みます。
と思っていたら今朝15日、金正男氏暗殺のニュースが飛び込んできました。そこで、この事件も含めて、私はまず「中国の腹」から探ってみることにしました。
表のニュース解説で報じられない中国の腹の底を読む
第一。先月ですが、中国人民解放軍の内部文書が報じられました。昨年5月のものなので、もっとも最近の国際情勢を反映しているし、しかも軍部のものなので、安全保障が絡んだリアルなものです。なんと、北朝鮮が米国に次いで二番目の仮想敵国だという。
中朝関係が本格的に悪化したのは2013年2月の「三度目の核実験強行」からです。習近平は激怒して、中国としては珍しく、一時的に北に金融制裁までしました。
ちなみに、この二週間後に、韓国のほうでは朴クネ政権が誕生して、すぐに中韓接近・蜜月時代(その裏返しの反日)となっていったのはご承知の通りです。
この制裁に対して、金正恩もまた物凄く反発しました。そして最終的に13年12月、北朝鮮ナンバー2だった張成沢派の大量処刑へと繋がっていきました。張は「中国派」の筆頭だったんですね。以来、中朝関係は本格修復していません。それどころか、中国は「金正恩体制の北朝鮮」をついに「仮想敵国」へと“昇格”したというわけです。
第二。その過去4年間の関係悪化の流れの中で起こったのが、今回の新型弾道ミサイルの発射実験だったわけです。「2016年には24発も試射したじゃないか、何を今さら・・」と思われるかもしれませんが、実は今回の一発は特別です。後半でまた触れますが、中国にとってタイミング的にも、政治的にも、最悪でした。中国の視点でいえば、今回のミサイル実験は、米新大統領の面子を潰し、日米軍事同盟の強化に繋がったわけです。中国の世界戦略にとって、とんでもないマイナスの結果です。
第三。当然、習近平を筆頭とする中国指導部は、猛烈に北朝鮮に怒り狂っていました。先の国連安保理による対北非難決議に中国が賛成票を投じたのも納得です。
そこへ起こったのが、今回の「金正男氏暗殺」であることを理解する必要があります。私もさすがに「うわ~、このタイミングでこれをやっちゃったか~」と、唖然としました。なぜなら、金正男は中国側が温存しておいた政治的カードだったからです。いつか北朝鮮で体制の転換があった時、もしくは中国自らクーデターを使嗾した時の「切り札」だったわけですね。中国としては「その時」にパッと自分たちの息のかかった者に首を挿げ替えることができなくてはならない。
だから、金正男が暗殺されないよう、わざわざ公安のガードをつけてまで厚遇していた。今回、そのガードをかいくぐって、北の工作員が暗殺を実行したわけです。これは中国的には「北朝鮮に国の面子を潰された」ということを意味します。
もう、面子、面子と、アホかと思いますが、彼ら的にはこれが最重要の価値観であることを理解する必要があります。習近平的には、北朝鮮に報復しないと、今度は自分が部下の前で面子を失ってしまいます。彼らはこういうロジックで動くんですね。
逆にいえば、金正恩にはそれだけの自信があるということです。いつでも北京を核攻撃できるという自信・・・いや、すでに実戦配備済みでしょう。だから中国を恐れていない。中国からすれば、核ミサイルの標準を北京に合わせるという敵対行為は、日本ですらやっていない。だから、今や日本より上位の仮想敵国なわけです。
トランプは内心で「金正恩をぶっ殺してやる」と決意した!
さて、次はアメリカです。
米時間の2月11日、安倍総理とトランプ大統領は、フロリダ州パームビーチのゴルフ場を二つも使って、たっぷりと5時間もプレイをしました。
その直後だったんですね、北朝鮮が新型弾道ミサイルを発射したのは。
つまり、「いやーっ、今日のゴルフは楽しかったなあ、次は美味しい夕食でも食べようか」と、二人がご機嫌にも肩を叩き合っている頃に、緊急ニュースが入った感じ。
当然、トランプの別荘での晩餐会は台無しです。
せっかくゴルフ三昧の一日を終えて、両家族で夕食を囲みながらプレイ談義にでも花を咲かせようかと愉しみにしていたところに、東洋人の独裁者が水を差した。
二人の首脳は、夕食中に対応を協議して、夕食後に共同記者会見を開きました。
トランプさんの、この表情を見てください。思わず「不機嫌な時のみのもんたか」と突っ込みそうになりますが、冗談はさておき、彼のこんな怖い顔は見たことがない。今までトランプさんといえば「吼えている姿」や「怒鳴っている姿」が印象的でしたが、今回のはまたそれとは違った「怒り」を感じさせます。あえて感情を抑制して、内心で怒りを押し殺しているような印象・・・そう、おそらく、これこそ本物の怒りです。
たぶん、「おれの楽しい時間を台無しにされた」という、個人的な恨みが大きい。しかも、東洋人の独裁者は、彼個人の楽しみに水を差しただけでなく、合衆国とその大統領をコケにした。許せるはずがない! 殺ってやる!・・とまあ、こんな感じです。
まあ、三代目のボンボンは近々アメリカの真の恐ろしさを知るでしょう。
イランと北朝鮮をはっきりと「敵」に定めたトランプ
トランプは大統領候補時代からイランを異常に敵視していました。中東地域における諸悪の根源とさえ見なしています。
そこへ、大統領に就任するや、イランが中距離弾道ミサイルの発射実験を強行。1月29日といえば、ほとんど「就任祝い」のようなものでしょう。しかも、それは北朝鮮製の「ムスダン」ときている。ちょうど1千キロ飛んで爆発したという。この飛距離はイラン国境付近からイスラエルの首都テルアビブまでの距離に当たります。
この弾道ミサイル発射は、トランプ政権が掲げるイラン核合意見直し政策に根拠を与えることになりました。さらに、「やはりイランと北朝鮮は連携していたのか」と、再確認していたところに、今度は北朝鮮が弾道ミサイルを発射したわけです。
つまり、トランプ氏は大統領に就任して早々、イランと北朝鮮から相次いで弾道ミサイル発射の「お祝い」を貰った格好です。当然、自分がナメられた、偉大な合衆国がナメられた、と激怒のはず。しかも、米視点でいえば「悪の枢軸」を証明した格好です。
これで間違いなく中東と極東で戦争になるでしょう。私が日本で一番早く断言したと思いますが。あとは「それがいつか」という「時間の問題」だけです。
中国は「日米同盟をわざわざ強化する真似をしやがって」と怒り心頭のようですが、むしろ感謝したほうがいいでしょう。というのも、トランプが「男らしさ」を発揮する対象がイランと北朝鮮にほとんど確定したのだから・・・。
一番の受益者は安倍さんかもしれませんね。内心で「よくこのタイミングでミサイルをぶっ放して大統領を怒らせてくれた!」と、ほくそ笑んでいるかも。
対北攻撃に向けた外堀はすでに埋められた!
さて、簡単にまとめると、中国にとって、すでに北朝鮮はシーパワーとの「緩衝地帯」ではなくなりました。それどころか今やナンバー2の仮想敵国ですらあります。「瀋陽軍区が実は後見人をしている」説は出所が噂話です。ただし、緩衝地帯としての戦略的価値はなくとも、中朝国境付近に大量の核関連施設があり、有事となると大量の難民が押し寄せてくる可能性があるので、下手に扱えない厄介モノであり危険物です。
他方、アメリカでは、完全にオバマ時代の「戦略的忍耐」なる対北政策は過ちだったという見方が主流化しています。代わって「先制攻撃論」と「暗殺論」が台頭。ただ、これは「表」の見方で、本当は以前から「裏」で決まっていたわけですが・・。
私はもうトランプの個人的問題になったと思っています。彼は難民が飢えようが気にもならないが、自分の楽しみを邪魔されたことは絶対に許せない人です。また、「合衆国を再び偉大な国にする!」と息巻いていた彼にとって、コケにされたことも許せない。
すでに、国連安保理の非難決議は出ています。これは毎度のことですが、攻撃する側にとって、一応の大義名分くらいにはなります。というわけで、トランプ大統領は遠からず「合衆国の威信」を賭けて、実際は己の個人的恨みから行動に出るでしょう。
対する北朝鮮ですが、すでに核弾頭を20発ほど保有し、グアムを射程に収める「ムスダン」までは実戦配備済みです。「ムスダン」はまだ不安定ですが、日本の大半をカバーする、その下位の射程1300キロの「ノドン」は技術的にほぼ完成の域にあります。
北朝鮮はノドンの改良に30年近くも地道に取り組んできました。にも関わらず、つい昨年まで「北朝鮮のミサイルはどこに飛ぶかも分からない」などと適当なウソを得意げに言う自称専門家が掃いて捨てるほどいました。こんなふうに根拠もなく敵をナメきっている無能な身内ほど厄介な存在はいません。そういう連中は昨年の段階で淘汰されましたが、日本は常に後手に回ったせいで、予防的措置の機を失いました。
だから、何度も言っているように、「日本は関わるな」というのが私の見解です。
言ったように、戦術核搭載のバンカーバスターを投入して、ファースト・ストライクで仕留めないと、このプチスターリンは必ず報復の発射を命ずるだろう。
だから、私は戦争そのものに大反対だが、どうしてもやるというなら、先制核攻撃によって一発で仕留めてしまわないと、ソウルの市民が大量虐殺されることになるだろう。
これから起きるであろう惨劇の前に、その警鐘を鳴らしておきます。
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半年経ちましたが、死刑はいつ執行されるのですか?
法務大臣が反対しているのでしょうか?