「対北朝鮮」において、まるで日韓が仲間であり、同盟国であるような主張や空気が一部にある。朝日新聞や毎日新聞までが「だから日韓の連携が大事だ」と言う。
私は以前からこの事が疑問で仕方がなかった。
たしかに「韓国主導で統一されたほうがいい」のはむろんだ。しかし、そのために日本が何か手伝おうと考えるのが余計なお節介であり、ある意味、「自分たちが朝鮮半島の運命に影響を及ぼすことができる」という無意識の傲慢ですらある。いわゆる左派やリベラル派ですらこの「病」を患っているのだから、これは国民病かもしれない。
そもそも朝鮮民族の内戦である
これは繰り返しだが、あまりにも半島有事の核心を突いているため、何度でも言わなければならないと思っている。
韓国は北朝鮮を「北韓」と呼び、北朝鮮は韓国を「南朝鮮」と呼んでいる。どちらの国も相手の正統性を認めず、「国家を詐称して勝手に統治を行っている集団」と見なしている。つまり、南北の争いとは「朝鮮半島においてどちらが正統か」という問題だ。明らかに朝鮮民族内の問題であり、内戦なのである。
それゆえ、両国の争いは「関が原の戦い」と同じであって、彼ら自身が決めることである。そもそも他国が関わることではないのだ。
どっちが主導で統一しても日本にとっては大した違いはない
と言うと、「いや、日本の国益のために関わるのだ、韓国側を支援すべきなのだ」という反論が必ずある。しかし、これはたいてい冷戦時代の思考のままだ。
要するに、韓国は西側・自由主義陣営の一員だが、北朝鮮は「共産主義陣営」であり、中国の仲間ではないか、というわけだ。
戦略的価値から「韓国を助けるべき」とする意見もある。たとえば、典型的なのが、「韓国が大陸(中国)に対する緩衝地帯である」というものだ。
しかし、このような発想は古い。以下の記事でも述べた。
韓国の「保守派」がどういう連中か、李明博と朴クネで、私たちは身をもって理解したはずだ。右だろうが、左だろうが、「反日教」であることには変わりない。それゆえ、状況が変われば、すぐに中国側に追随して日本を裏切るだろう。
それがいつもの韓国である。だから、「同じ価値観を有する民主義国家であるがゆえに助けねばならない」という発想は、冷戦時代からの硬直した固定観念そのままであり、今の現実にはそぐわない。在日米軍とて、本来は日本の防衛と引き換えに駐留を認められているのであって、韓国を守るために駐留を認められているのではない。
「韓国を助けるために日本を火の粉に巻き込むなら出て行け」と言えばいい。
北朝鮮の人道問題は内政問題である
と言うと、「北朝鮮は人権を無視する独裁国家だが、韓国は民主国家であり、人道上の観点からも北朝鮮の体制打倒を支援すべきだ」という反論がある。
たしかに、人権は人類普遍の問題で、北朝鮮政府の市民に対するやり方は、政治犯収容所に見られるように、許せないものがある。
ただ、一方で、韓国が本当の意味での民主国家かというと、それも疑問だ。思想言論の統制国家であり、しょせんは選挙もその範囲内の産物でしかない。
また、人道が普遍的価値であることは論を待たないが、それに沿う沿わないは「朝鮮人の勝手」である。外部の人間が「北朝鮮の人たちはかわいそうだ」と同情するのは勝手だが、彼ら自身は「現体制が居心地いい」と思っているかもしれない。欧米人みたいに、人道は他人に押し付けるものではないのだ。
また、根本的には、その「北の人権問題」も含めて、あくまで朝鮮民族全体の内政問題である。だいたいそれほど人道が問題なら、ますます「人類の普遍的道徳」なる価値観を掲げて常日頃から日本を裁いている韓国の出番ではないだろうか。
あるいは、世界のモラルの基準を自負して止まない“道徳の大家”のアメリカ様のご登場を願おう。左派の皆さんが言うように“人権後進国”の私たち日本が他国の人道問題に口を挟むのは、おこがましいというものだ。
しかも、思い起こせば、それは「かつてやったこと」なのだ。日本帝国は日清戦争の勃発と同時に李朝の人道問題と内政改革に携わり、奴婢・白丁・女性などの奴隷的身分の人々の解放に尽力した。だが、その子孫は今、日帝に虐殺されたとか、収奪されたとか、奴隷にされたとか、事実と反対のことを訴えている。
どうせ、この繰り返しになる。今回も下手に“解放”に関わったりしたら、かえって後から恨まれるだけだ。
総括・何もしなくてもどうせ米韓が勝つ
繰り返す。これから朝鮮半島で起きようとしている戦争は、朝鮮民族間の内戦なのだ。日本は関わるべきではない。
朝鮮のことは朝鮮人でやればいい。なんで日本が、直接であれ間接であれ韓国を助けねばならないのか。北朝鮮がアメリカに核ミサイルを撃とうが、そんなことは、われわれ日本人の知ったことではない。北朝鮮の体制を転覆して民主化したい、韓国主導で統一したい、と考えるのなら、それは米韓だけでやるべきであって、日本が我が身を危険にさらしてまでやることではない。日本は「傍観者」でいるべきだ。
それに米韓と北朝鮮が開戦したとしても、中ロが北朝鮮を支援しない限り、100%米韓側が勝つ。初期の空爆で、北朝鮮の軍事力はほぼ壊滅する。だから、日本がリスクを背負って米韓に手を貸す必要はない。安心して、「第三者」として「局外中立」でいい。
ただ、戦う前から勝敗は決していても、金正恩という独裁者は断末魔で核兵器を使うだろう。このように、第二次朝鮮戦争は極めて特異な戦争となることが予想される。この特異性をよくよく織り込んで行動を決めないと、日本は大火傷を負うリスクがある。
端的にいえば、北が核兵器を使おうが使うまいが、米韓は勝つ。しかし、日本は、関わることによって、被核攻撃のリスクを背負う。米軍を日本にいさせてやっている理由は、日本を守ることと引き換えであって、日本を危険にさらすことではない。
日本を利用しようという、内外からの「用日」に釣られないようにしよう。
日本が関わることは、歴史的な過ちの繰り返しともなりかねない。支持されない少数派の意見だろうが、私は自分が全然間違っているとは全然思わない。