さて、後編です。
なぜか間に二つも記事が挟まってしまいましたが。
アジア歴訪したトランプ大統領は、韓国の文在寅大統領(以下ムン)に対しては愛想がよくありませんでした。
この人はもともと反米反日・従北派のノ・ムヒョン大統領の側近だったんですね。
それでもトランプは韓国国会演説で韓国に対する過剰ともいえるリップサービスを怠りませんでした。こういう相手への気遣いや配慮は、やはり西洋的な教養や精神性の高さから来るものです。韓国人に一番見習ってほしい資質です。
THAAD(サード)配備のまたまたちゃぶ台引っくり返し
ところで、トランプ大統領が韓国を信用できないと思ったのも当然でしょう。
中国はずっと韓国に対して新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)の撤去を要求し続けてきました。撤去しないならと、韓国企業を制裁したり、韓国のポップカルチャーを規制したり、中国人観光客の韓国ツアーを止めたりと、様々な嫌がらせをしてきた。
韓国はこの「懲罰」に結果的に屈しました。
それがトランプ氏のアジア歴訪の少し前のことです。以下は引用です。
在韓米軍高官は韓国を信用せず 文在寅氏&習近平氏&キッシンジャー氏の夢「在韓米軍撤退」野口裕之の軍事情勢2017.11.13
9月末、韓国は中国の「関係改善の3条件=3つのノー」要求をほぼ無条件でのみ、ほぼ満額回答で応えた。
(1)米国のミサイル防衛システムに加入しない。
(2)日米韓の安全保障協力は軍事同盟に発展しない。
(3)北朝鮮・朝鮮人民軍の核・ミサイル攻撃などから韓国を守る米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)システムの追加配備をしない。
もともとムン大統領は「サードを配備しない」と公約していましたが、相次ぐ北朝鮮のミサイル実験とトランプ政権の圧力を受けて是認し、かつ「追加配備」へと舵を切りました。しかし、中国の圧力を受けてまた「配備しない」へと方向転換したわけです。
中国とアメリカの間をオロオロと行ったり来たりで、その隷属外交の屈辱を「反日」で晴らそうとする。「日本人には何をしてもいいのだ」というレイシズムです。
中韓協議は10月末頃にだいたい決着がつきました。トランプ訪韓直前です。
中国との和解といえば聞こえはいいが、要は相手の要求丸呑み。2の「日米韓の安全保障協力は軍事同盟に発展しない」ですが、仮に腹の中で思っていても、北朝鮮危機が極限に高まっている今の時期に、わざわざ口に出すことじゃないでしょう。
日米の政府高官は「いったい何を考えているのか?」と呆れ果てたとか。
まあ、私も、韓国との軍事協力だか、軍事情報のやり取りだか、そんなものはご免ですけどね。なにしろ平気で裏切って中国や北朝鮮に情報を漏らす国だ。
いや、それ以上に、同盟相手としてまったく人間的に信用できない。いい例が「南スーダン銃弾提供イチャモン事件」です。日本が韓国部隊に銃弾を支援したら、礼を言うどころか、なぜかイチャモンをつけてきたという、人間の常識からかけ離れた事件です。
さすがに中国は朝鮮半島をずっと支配してきただけあって、こういう連中の躾け方をよく知っている。中国は今回の中韓通貨スワップ協定延長をエサに、相手の安全保障政策という「主権」にまで踏み込むことに成功した。「エコノミスト」誌はこういった中国の対韓外交を指して、先に苛めてから後で少し良くしてやることで相手の隷属を誘う「ドッグハウス・アプローチ」(=犬の躾のようなアプローチ)にうまく例えた。
だが、トランプとアメリカの方は、上の1から3の条件に対して、韓国に裏切られた気分に違いありません。ちょうど「飼い犬に手を噛まれた」といった不快さでしょうか。
繰り返しますが、これがトランプ訪韓(アジア歴訪)の少し前の出来事です。トランプが来る直前に公然とアメリカを裏切るわけですから、鈍感というか何というか・・。
韓国的には「二人の男を手玉にとっている美女」のつもりだったのかもしれないが、実際には「二人の主人の間をオロオロと行き来する犬」でしかなかったわけです。
米の自衛権を無視したムン大統領の不可解な宣言
しかも、アメリカを怒らせているのは、それだけじゃないんですね。
11月1日、ムン大統領は「どんな場合でも朝鮮半島で武力衝突があってはならない。朝鮮半島で韓国の事前同意のない軍事的行動はあってはならない」と国会で演説した。
多くの人が「はあ?」と首を傾げたのではないでしょうか。
下の記事で触れましたが、事はすでに米朝間の問題になっているんですね。
記事「【第二次朝鮮戦争】アメリカが戦うのは自分自身のためである」
北朝鮮はワシントンを核攻撃する「政府公式脅迫ビデオ」を制作している。公然と「グアムや米本土を核攻撃する」と宣言し、現にICBMを開発している。
アメリカにとって、もはや己の自衛権の問題になっている。アメリカが自国民を守る予防的行為を取るにあたって、なんで他国の同意が必要なのか?
だいたい、北朝鮮の視点からいっても「何を言っているんだ!?」という話になる。
北朝鮮を国連加盟の事実上の主権国家と認めているのは、他ならぬ韓国です。それは金大中の南北会談やスポーツイベントの南北共催という形で、自ら表明している。
つまり、朝鮮半島の北半分で起きる出来事に関しては、何の権限もないわけです。それを韓国自身が過去の外交によって認めてしまっている。
つまり、韓国は米朝のどちらも拘束することはできない。アメリカは自身の自衛権に基づいて行動するだけです。北朝鮮もまた“自衛権”からそうするのみです。
ムン大統領は「己に権限がないことに関して、さもあるかのように錯覚し、得意げに吹聴する勘違い男」と国際社会から受け取られても仕方がないわけです。
ムン大統領の態度は二重の意味での米への背信行為
いや、勘違いでは済まされないでしょう。
第一に、過去の経緯からして、米朝の衝突になったらアメリカを助けるのが、韓国の国家としての筋じゃないのかということです。
トランプ大統領は先の韓国演説で「朝鮮戦争でアメリカ人3万6000人以上が死亡、10万人以上が重傷を負った」と言及し、英雄だと称えた。
韓国は本来、愚か者の独裁者李承晩と共に地上から消えていた国だったのに、このアメリカ人の「血の犠牲」のおかげで救われた国だ。
私は韓国の歴史教科書を読んで、朝鮮戦争を何と教えているか知っているが、韓国は助けてもらった恩義を子供たちに教えていない。ま、いつものことだが。
だから、彼らは何の感謝もしないし、自分たち韓国はアメリカが助けなければ地上から消えていた国だという事実がまるで認識できていない。
北朝鮮がICBMで米本土を攻撃するぞと脅迫している現状に対して、韓国は「おれの同意がなければ誰も朝鮮半島で軍事的行動をするな」などと表明しているわけだ。
自分のことしか考えていない。これは日韓関係でも同じ。日本には「何かしてくれ」と要求するが、自分のほうは日本に何も与えようとしない。いや正確に言うと、他者が嫌がることなら喜んでやる。ついにアメリカに対してもそれを始めたわけか。
ま、こんな歪んだ人間性の持ち主に「信義」を説くだけ無駄というものだが。
第二に、韓国はアメリカの軍事行動に著しい制約を加えようとしている。
「敵を利して同盟国に足枷をする外交」とでも言おうか。韓国が非協力的なため、アメリカはかなり回り道を強いられることになる。
せっかく韓国に軍事力がありながら、韓国外の軍事資源に全面的に依存しなければならなくなる。確かにそれは可能だ。米本土、ハワイ・グアム基地、不沈空母日本、等などに巨大な軍事力がある。それらは韓国とは一切関係なしに動かせる軍事力だ。
しかし、それは朝鮮半島での戦いにとって効率的とはいえない作戦だ。
むろん、「戦時作戦統制権」により、戦時には韓国軍は米軍の指揮下に入ることになっている。しかし、そういう形式の問題と、運命共同体として相手が信用に足るか否かは別問題だ。事実、朝鮮戦争では韓国軍は逃亡を重ねた。ムン大統領と韓国軍が「同じ民族」相手に戦いたがらない、サボタージュする、ということになれば、彼らを組み込んだ軍事作戦そのものが瓦解する。米軍の死傷者も増えることになる。
だから信用できないとなれば、相当作戦面に支障をきたすことになる。
現トランプ政権は、3人ものバリバリの軍人が入閣している「半軍人政権」です。そしてトランプも彼らを信用している。彼らは韓国の二重の背信を許さないはずだ。
トランプは韓国国会でリップサービスをしたが、あれは原稿に書いてあることを読んだまでで、本音では「もう韓国なんか相手にしてられない」と思っているはずだ。
アメリカが自身と同盟国を守ろうとしているのに、結束を乱し、信義も何も通用しない、自分のことだけしか頭にない国・・・韓国とはそういう国と映っている。
だから、アメリカはもう韓国の面倒を見ないだろう。
韓国は戦争でボロボロになった後に、アメリカから見捨てられるだろう。なにしろ、戦略的には日本が軍事要塞としてあればいい(それはそれでまた大問題だが、ここでは触れない)。逆に言えば、今度は「誰」が後見人になるのかということ。
むろん中国しかいない。
だから、すでに米中両国で、北朝鮮の非核化だけでなく、「ところで戦後の韓国の面倒も見てやってくれ(トランプ談)」という話が、ついている可能性がある。
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アメリカからすれば遠い極東の事だし、いきなりアメリカ本土を襲われる事は無いと思っているだろう。
そうなれば冷戦の線引きが朝鮮半島から対馬沖に移動しようが大した話じゃない。
となれば日本が何をすべきかは明白。
ま、アメリカユダヤの戦略に朝鮮半島も中国も乗せられてるだけだが。wwww