みなさん、こんにちは。
前回の記事で、スンニ派とシーア派の争いの激化について、私はこう記しました。
サウジとイランの対立を影から煽っているのはイスラエルの諜報機関ではないか。彼らはサウジを使嗾して対イラン戦に突っ込ませる工作を進めているに違いない。
すべては大イスラエル建設のためなんですね。
そのためには残るライバルであるイランをなんとしても打倒しなければならない。ユダヤ人にとってペルシア帝国とは、古代から因縁のある、ある意味、羨望の相手です。
まずイラン打倒の下準備として、同盟国のシリアを内戦に陥れ、地域の「アラブ人減らし」までやってのけた。同時にスンニ派とシーア派の争いに火をつけた。
そして今、イスラム教徒を二分して、互いに殺し合いをさせようとしています。
ある意味、見事な謀略です。
おそらく「中東大戦」になる可能性が高い。そしてその日はそう遠くない。
私は前々から、北朝鮮の次に標的になるのがイランだと断言してきました。
案の定、トランプ大統領は9月の国連演説で北朝鮮とイランをまとめて「ローグレジーム(ならず者体制)」と呼び、激しく非難しました。
これはブッシュ政権のいう「悪の枢軸三カ国」の「残り二カ国」打倒宣言です。
影の政府によるディスインフォメーション工作が活発化している
この時期にサウジで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子という、まだ30代前半の青年が急激に権力を掌握しつつあります。
つい最近、「汚職対策委員会」という強力な機構を率いて、11人の王子、数十人の現職また元閣僚など、200名近い重要人物を一斉逮捕しました。ただし、血なまぐさい粛清劇というより、「資産を差し出せば許してやる」という措置のようです。
このムハンマド皇太子がまたイランを非常に敵視している人物です。
ところで、このサウジ内の動きに関して、西側の情報機関がニセ情報を流している。
たとえば、「影の政府を組織しているハザール・マフィアに対する一斉逮捕の一環なのだ」といった内容です。
また、つい先日から、「2200名の海兵隊部隊がCIA本部に突入した」という怪情報が陰謀論界を駆け巡っていることをご存知でしょうか。
これはむろんフェイクニュースです。
私は直感で分かりましたが、念のためにググってみると、どうやら発信源はハル・ターナー Hal Turnerという元FBIマンです。
「ラングレーのそばに住む人の目撃証言によると・・」と断って、推測を書き連ねています。まさに「見てきたような何とやら」です。
彼は自身のラジオとサイトを運営しており、FBIを退職した後、FBIやオバマ政権と戦い、逮捕もされてきた、というシナリオになっています。
「それなりに有名で、それなりに悪を暴いて、それなりに信用できる人物」というのが厄介で、どうやら何かの目的があってフェイクニュースを流したらしい。
フェイクニュースには、素人がアクセス広告費目当てでやるマケドニア型と、世論操作が目的でやっている諜報機関型があり、今回のケースはどちらか判然としない。
サイトで寄付を募っていることから、金に困っているようでもあり、前者かもしれない。仮に後者ならば、独立系の対抗メディア(alternative news)が、あえてフェイクニュースを流して盛大に自爆してみせることが目的であったとも推測される。
その狙いは「独立系の対抗メディアを信用しちゃいけない。正確なニュースを知りたければやはり大手のNYTやCNNを見るべきだ」と、大衆に思わせることです。
つまり、これは「影の政府」のコントロール外にいる少数派メディアに対するディスクレジット(信用貶め)工作というわけです。
「影の政府」にとって、既存メディアを信用している大衆は、これまで通り、操作することができます。しかし、ネットの発達で、既存メディアを信用しない人々が現れ始めた。そういった人々が頼っているのが独立系の対抗メディアです。
この部分を混乱に陥れることが今、西側情報機関の重要な任務になっています。
ディスインフォメーション工作の理由、そして恐るべき負の効果
こういった情報工作には、「別の何かを隠す」「真相から人々を遠ざける」という目的があります。そのために大衆心理操作の専門家が作成に関わっています。
たとえば、典型的なものに「天皇の金塊」というデマがあります。
断言しますが、この話は100%の嘘です。こういうデマは、本当に金塊を大量に隠し持っている連中から人々の目を反らせるためにばら撒かれています。
この種の工作は非常に効果的です。まず、このデマを真に受けた人々には、うまくデマを信じさせたことになります。一方で、このデマに拒絶反応を起こした人にも、実はある種の心理操作を陰で施した格好になります。拒絶反応を経験すると、人は以後「有力な一族が大量の金塊を隠匿している」という話そのものを頭から否定する反射が刷り込まれます。嘘に対する免疫反応を刺激して「アレルギー反応」に変えてしまったわけです。
これは、デマを信じる者にも、信じない者にも作用する、大変悪質な工作なのです。
火星絡みでよく使われています。米軍やCIAが火星にテレポーテーションしているとか、植民地を作って原住民と戦闘している等のデマを流すことにより、大衆は「火星に人類がすでに到達している」という話そのものを強く疑うようになるわけです。
大衆に反射を刷り込む工作を創案したのは、おそらくイギリスの某機関だと思います。
世論操作の達人・諜報機関はこうやってジャーナリストを利用する
話を元に戻します。
中東大戦を引き起こすためにイスラエルが暗躍していると思われる。
彼ら的には、真意を悟られないようにしたい。「9・11」と同じくらいの秘匿性が求められる。それで万一にも意図を感づかれないよう、サウジの政変などに関して、手の込んだ、もっともらしいデマ情報をばら撒いているわけです。
「ブッシュ一味などの世界権力に対する一斉逮捕が行われている」といったストーリーの出所は常に西側の情報機関です。彼らは特定のジャーナリスト等を使って、この種の偽情報を大衆に広めます。特定のジャーナリスト側もまた「これはCIAやMI6やモサドの人間から聴いた極秘情報だが・・」などと、わざわざ前置きしています。
彼らは世間のある種の層に向けたスピーカー役を担っているわけです。
しかし、本来、情報機関に所属する者が外部に秘密情報を漏らすことは絶対にありません。現役中だけでなく、引退後もです。彼らは職務中に知った秘密を生涯にわたり漏らすことはできませんし、また組織とそう誓約させられています。
つまり、彼らがジャーナリストに対して「これは内緒の話だが・・」などと前置きしつつ機密情報を“漏らす”としたら、それは「工作」としてやっているわけです。
「このジャーナリストに吹き込めば世間に広めてくれるだろう」と期待して、彼をうまく利用しているのが真相です。しかも、情報機関の巧妙なところは、相手に嘘ばかりを吹き込むわけではなく、必ず一定の事実・実際の出来事を織り交ぜる点です。
だから、それはたいてい非常に手が込んだ偽情報で、普通の人には真偽の見極めがつきませんし、もっともらしい「隠された真相」に思えてくるわけです。
こういった偽情報の拡散に手を貸しているジャーナリストやサイトがたくさんあります。日本には海外のフェイクニュースを無批判・無自覚に垂れ流しているサイトが多い。
こういった偽情報が、工作として、また金儲けのために大量にばら撒かれている今日にあって、読者の皆さんは結局は自分自身で何が真実かを判断しなければなりません。