衝撃の仮説――シリア内戦の真の目的は何か?

テロ・紛争・戦争・崩壊
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私の知る限り、誰も指摘していないことを指摘しておきたい。
ついこの前、大量のシリア難民が溢れ返っている以下の光景が繰り返しメディアで放映されていた。彼らの大半はトルコなどを経由して、最終的に欧州諸国へと向かった。とりわけ受け入れに積極的だったのがドイツ。と言っても、欧州でも、ドイツでも、明らかに国論は分裂していた。だが、メルケル政権などは“人道的理由”を挙げて受け入れた。
(以下、難民の写真については公共的観点から引用させてもらった)



真の目的は「レヴァントのアラブ人減らし」ではないか

メディアを見ていると、こういった国際社会の難題は、何かしら偶発的に起こったかのように報道されている。しかし、本当はシリアが内戦になる前から周到に計画されていたものだ、というのが私の考えである。ヒントは以下の記事で触れた。

ある仮説――影の政府を動かす理念の正体、そして“それ”はまだ終わっていない
当サイトでは、たびたび「米・イスラエルの背後にいる連中」というような表現で、「影の政府」The Shadow Governmentの実在を臭わせてきました。 世間では、それをロスチャイルド家だとか、ロックフェラー家というふうに見なす向きが強

つまり、私たちが知らされてきたシオニズムとは、いわば表看板だけで、裏には「真のシオニズム」があり、そのプロセスの中に「大イスラエル構想」(The Greater Israel projectがある。「影の政府」はそれを実現しようとしているわけだ。

表向きナリを潜めたが、もともと建国前には、大イスラエル構想はシオニズムの有力な一派だった。「エツェル」のリーダーで、のちに首相となったメナヘム・ベギンもその思想に傾倒していた。彼のリクードを継いでいるのが現首相ネタニヤフだ。

もっとはっきり言えば、最初から「人減らし」そのものが目的だった、ということだ。一応は私の推測の域を出ないので「仮説」としておく。

外務省や国連などの発表によると、シリアにはもともと約2200万人が暮らしていた。ところが2011年から始まった内戦により、大雑把に言うと、そのうちの半分が家を失い、さらにその半分(人口の約4分の1)が国外難民と化した。

このように、たった数年でシリアからごっそりと人々が減少した。これが意図せぬ結果ではなく、当初からの目的であったという見方に対して、大半の人は「そんな馬鹿な!」と反射的に思うのが実際のところだろう。とくに国際情勢の専門家ほど。果たしてそうだろうか。よく思い出せ、イスラエルもそうやって建国されたことを。

イスラエル建国時のデジャブ

第一次大戦中にバルフォア外相がロスチャイルド卿に約束したまんまで、戦後、イギリス委任統治領パレスチナが発足した。今日、ロスチャイルド家はイスラエル建国の協力者とか後援者という扱いだが、実際には彼らが主導していたと思わざるをえない。

手紙の冒頭に「親愛なるロスチャイルド卿へ」と記されている。

その英領化の法的権威付けを行ったのが、これまたユダヤ人ばっかりの国際連盟なのだから茶番もいいところだが、それはともかくパレスチナがオスマン帝国から切り離された後、シオニストのテロ組織が続々とこの地に入った。何のために?

むろん、(西)パレスチナ地方に住むアラブ人を追い出すためだ。ロスチャイルド家が土地を買収するだけでは先住者の問題を解決できなかったからだ。

ユダヤ人テロ組織はアラブ人の村々を次々と襲撃して、人々を殺害して回った。「殺されるか、それともこの地から立ち去るか」という選択を迫られたアラブ人たちは難民と化して、周辺各国へと散らばっていった。その数は現在のシリア難民と同じくらい。

こうしてアラブ人の数を減らした上で、そこにユダヤ人が入植し、キブツを増やしていった、ないしはナチスに迫害させてでも入植させていったのだ。

何かに似ていないだろうか。そう、ISとシリア難民の関係だ。

メディアという共犯者

もちろん、アラブ人を追い出したい側にしてみれば、その厄介者を引き受けてくれる国が必要だ。そうすると、なぜ反対の国民が多いにも関わらず、ドイツをはじめとする欧州諸国の政府が人道や人権という標語を掲げて受け入れたのか、察しはつく。

彼らは「上」から、それをやらされているに過ぎないのだ。とりわけドイツには、ユダヤ側の当て付けも兼ねて、その“責任”があるというわけだ。

私は以下の記事で次のように記した。

なぜアメリカの中東難民受け入れ拒否は“凄まじい身勝手”なのか
トランプ大統領が難民受け入れを一定期間、全面凍結する大統領令に署名したことが波紋を広げている。しかも、米国にとって有害となりうる国の国民に対しては、ビザ発給を90日間停止するという。その入国禁止措置の対象となるのはシリア、イエメン、スーダン...

そうやって中東の内戦を影から扇動している連中と、人道問題だからその地域の難民を受け入れよと主張する団体やメディアのバックにいる連中は、同じ存在ではないのか、という疑いを私は持っている。

このように私はさりげなくヒントを混ぜておいたのだが、ほとんどの人、とりわけリベラル派とか左派だと自認している人々には、想像の範囲外だったようだ。

シリアの内戦について嘘八百を報じているのが、CNNやニューヨーク・タイムズ、そして日本ではその受け売りをしている朝日新聞などの大手紙だ。他方で、その同じメディアが、「米欧日は難民受け入れろキャンペーン」をやっている。鈍感な人でも、そろそろ「構図」が見えてきただろう。同じ人間が放火魔と消防士をやっているのだ。

ハフィントンポストは、中東の特定国からの入国者を一時拒否したトランプ政権を指して、トップページで「恥ずかしい」という言葉を掲げ、全米各地で広がる抗議デモを取り上げた。私に言わせれば、トランプより“恥ずかしい”のは、反吐の出るような偽善者のほうではないか。「アラブの春」なる内戦を仕掛けたり、残酷な手法でシリアの焦土化を進めたりしているのは、大手メディアのボスたちのお仲間なのだ。

では、かつてパレスチナのアラブ人を追い出しにかかったシオニストが、なぜ今、レヴァント(厳密にはパレスチナも含む)のアラブ人を追い出しにかかっているのだろうか? その答えこそが「大イスラエル」であり「真シオニズム」というわけだ。

注意深く見ると、彼らが過去の成功体験を繰り返していることが分かる。問題はわれわれのほうがそれに気づかずに、何か新しい出来事だと信じてしまうことだ。

やつらは最終的にこの地域一帯を乗っ取る腹つもりなのだ。そして、そのための切り札こそが、トランプ大統領なのである。(次回に続く)

(蛇足)

今回、難民の写真を改めてサーチしてみて一言いいたくなったが、この下の絵は本当に無神経で、不愉快極まりない。この子たちがどんな思いをしていると思っているのか。

私はこの絵の作者の活動をすべて否定するつもりはないが、せめてこの絵に関しては、軽率であったと認めて、素直に撤回してほしい。

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