なぜ欧米・ユダヤとイランは激突不可避なのか? その構造を明らかにする!

テロ・紛争・戦争・崩壊
出典:Al Arabiya (AFP)




この記事は、前3記事の続編です。3記事は、表向きの見方や解説からは想像しにくい「真実の構造」に対する、私なりのアプローチであり仮説です。

  1. 衝撃の仮説――シリア内戦の真の目的は何か?
  2. 残酷なシリア焦土化の背景――ISを操る米・サウジと宗派内戦を煽るシオニスト
  3. 石油の支配権をめぐる戦いと欧米エリートが中東に攻撃的な本当の理由

続きなので、以上の記事に目を通した人だけが、以下にお進みください。



「正当な権利」に時効はない、奪われたものはあくまで取り返す、という思考

まずは前回を少し補完したい。

なんで欧米の支配者たちが、リビア・イラク・イランなどを異常なほど敵視し、隙あらば攻撃しようとしてきたのか。そして、今もイランを攻撃しようと目論んでいるのか。根底にあるのは、「正当に得たものを奪われた。だから、われわれにはどんな手を使ってでも取り返す権利がある」という、ドス黒い負の感情だった・・という話でしたね。

そういう視点で見ると、彼らの現在の行動も分かってくる。

たとえば、カスピ海の地下資源。これは対象がアラブ人ではなく、ロシア人ですが、この記事で述べたように、ロスチャイルドとしては「ロシア民族」にくれてやったつもりは全然なかった。だから、ソ連崩壊後に取り戻しにかかったわけですね。

ただ、掘削したカスピ海の石油・ガス資源は、パイプラインで輸送しなければならない。カスピ海の東からイランを迂回してアラビア海へと通じるルートに関係するのがアフガニスタンで、逆に西ルートに関わるのがグルジア(ジョージア)です。

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で、欧米支配層の言うことをきかないと、アフガンは空爆され、グルジアはジョージ・ソロスらの手で「バラ革命」を起されてしまう、というわけです。

現代のわれわれからすると唐突な行動に思えても、上の視点で見れば、ロックフェラーやロスチャイルドが内心で考えていることが、浮かび上がってきます。

もっとも、「表」の専門家でこういう解説をしている人は皆無でしょうが。

彼らの地下資源権益への執着の理由と、「日本」という最大誤算要因

私が信じるに、この種の「筋の正しさから来る執着」はそう易々と消えるものではない。たとえば、日本人はそれが比較的薄いほうだと思いますが、それでも自分たちに「筋」があると信じる領土問題や捕鯨問題だと、少なくとも論争では一歩も譲りません。

欧米支配層が中東地域に目を向けた時もそうです。彼らは現地の王族などと正式に契約を結んで、自分たちの資本と努力で石油を掘り当てたと自負している。だから、(彼らの主観でいう)不当な仕打ちが、絶対に許せない。よって、何時も石油利権の「強奪」というより「回復」を望んでいる。それが当然の権利なのだと。

しかも、主たる要求は、国営企業の独占ではなしに、せめて入札制にしてくれという門戸開放のようですから、彼らなりにフェアであるとも言えるわけです。

まあ、私に言わせれば、欧米のエリートたちもあまりに有色人種を見くびり過ぎました。アラブ・ナショナリズムに接した際も、当初は「学も技術も工業も何もないのに何ができるものか」とタカをくくったそうです。6~70年代といえば、工業や、ましてハイテクの分野において、欧米の支配が永遠に続くと信じられていた時代です。彼らは「有色人種に石油産業が運営できるわけない」と、心の底から見下していました。

ところが、誤算だった。しかも、日本も絡んできます。いや、日本の存在そのものが、世界支配層にとって最大の撹乱要因だったのかもしれません。だから、デビッド・ロックフェラーが三極委員会を作って日本を直接取り込む必要があると考えたのは、非常に先見の明があった。彼は「他の支配メンバー」からずいぶんと反対されたらしい。

しかも、ある意味、日本は彼の想像すらも超えていたと言える。とりわけ欧州人は、もうハイテク・工業の分野では日本に叶わないと、半ば諦めている。だから、余計に「過去の栄光」にしがみ付こうとする。なんでそうまで過去の利権の回復に躍起になるのかと訝しく思いますが、背景には彼らなりの屈辱感もあるのかもしれません。

欧米支配層とシオニストの利害の一致

さて、前置きが長くなりましたが、要は、欧米支配層は「カスピ海から中東・北アフリカ一帯に眠る地下資源は元々われわれの正当な所有物だ」と堅く信じているらしい、ということです。だから単なる利権目当てというより、当然の権利のつもりなんですね。

で、その「中東諸国から取り返したい」という欧米支配層の思惑と、ほとんど利害が一致するのが、シオニストの「大イスラエル構想」です。

その典型例が「9・11」後の「中東7カ国打倒計画」でした。地下資源を中東諸国の専有から解き放ち、同時にイスラエルの安保にも資する一石二鳥の計画です。

ウェスリー・クラーク将軍は「影の政府」の存在を言外に伝えていた
「ウェスリー・クラーク元アメリカ陸軍大将 General Wesley Clarkが語る中東問題の真相」の衝撃 ウェスリー・クラーク将軍といえば、2007年3月の次のインタビューで一躍有名になりました。(以下翻訳版) クラーク氏は1997か

まあ、「影の政府」はユダヤ・プロテスタント連合組織ですから、両者の利害が一致して当然といえば当然なわけですが。あるいは、欧米側の過去の屈辱と利権への執着に、ユダヤ側がうまく付け入って利用している構図なのかもしれませんが・・。

以上のように、「宗教の対立」「大イスラエルの野望」「石油をめぐる過去の因縁」という三大要因から分析すると、今現在これらの地域で勃発している出来事の本質が浮かび上がってきます。とりわけ、欧米支配層とシオニストの「利害の一致」という視点から見ていくと、紛争が絶えない、又引き起こされる「構造」が理解できます。

なんと「対イラン戦」において三者の利害が一致する!

私は以上の観点から見て「対イラン戦は必ず開始される!」と確信しました。

第一に、欧米支配層の中心にいる英米の思惑。

前記事で述べましたが、イギリスはモサデクによってアングロ・イラニアン石油を国有化されました。いったん手先を使ってひっくり返したものの、今度は1979年のホメイニ勢力のイラン革命で再逆転。再度、国有化され、現在に至っています。

A demonstration in Iran From Wikimedia Commons

この石油会社は英海軍の燃料調達企業になり、のちに国営の英国石油(BP:British Petroleumへと発展しました。つまり、英王室の所有物だったんですね。

そのBPはイランから叩き出され、最終的に民営化されます。しかも、イラン革命の際には米大使館人質事件があり、イランとカーター政権の米国は国交断絶に至った。人質が解放されたのはレーガン政権発足後ですが、両国の関係は未だに悪いままです。

というわけで、英米はイランに「落とし前をつけねばならない」と思っている。とくに支配層のメンタリティからすると、受けた屈辱はいつか晴らさねばならないわけです。東京裁判と同じです。ましてや英国は、女王の顔にドロを塗られた。ここにイランの宗教原理主義に対する、キリスト教徒としての嫌悪感も加わっている格好です。

第二に、ユダヤ側の思惑。

これは周知のことが多いので簡潔に述べますが、彼らにとってイランは何よりもまず安全保障上の脅威です。かつてアフマディネジャド大統領は「イスラエルを抹殺する」と公言しました。そんな国が北朝鮮と連携しつつ、核・弾道ミサイルを開発しているわけです。しかも、ユダヤ人目線では、イランは古代からのライバル、というか、自分たちが決して到達しえなかったかつての大帝国であり宗主国でした。

さらにイラク・シリア・エジプトが没落した今、イランは「大イスラエル構想」にとって最大の障害です。宿命の対決は避けられません。

第三に、サウジアラビアの思惑。

まず、イランとは宗派対立があります。スンニ派の盟主がサウジアラビアなら、シーア派の盟主はイラン。ここに「アラブ人 VS ペルシア人」の民族対立が被ります。たとえば、両者は「ペルシア湾」名称問題でも対立しています。二重の意味でイスラム教圏のライバル同士です。よって、「目障りなイランをなんとか弱体化させたい」のがサウジの本音。だから、一定の水準までなら欧米とユダヤのイラン潰しに乗っかるでしょう。

以上のように、三者にそれぞれイランと戦う動機がある。

ナショナリズムが日に日に激昂するイランもついに開戦ムードへ!

対するイランのほうはというと、当然、この三者から敵視されていることを熟知しています。だから、ロシアに接近し、戦略的パートナー関係を結んでいます。

そして今年2017年、「反イラン」のトランプが米大統領に当選しました。当然、イランは大反発しています。トランプは“イランなど”の7カ国の人々を入国禁止措置にしました。激怒したイランはその翌日、中距離弾道ミサイルを発射しました。

「これがわれわれからの返事だ!」というつもりでしょうか。

出典:iranwire.com 最高指導者ハメネイ師と弾道ミサイル

しかも、北朝鮮製のムスダンと見られている。実験における射程1千キロも、ちょうどイランからイスラエルまでの距離。さらに、この発射を口実として、トランプが「ほら見ろ、先の核合意違反だ、これからイランを制裁してやる!」と息巻いています。

イランで反米気運が高まっているのも当然です。「よその国から侮辱された国の人たちの間ではナショナリズムが高まる」のは、物理の法則と同じくらいの真理です。しかも、タイミングが良すぎて疑いたくなりますが、穏健派のラフサンジャニ元大統領が今年に入ってすぐに死去した。今後、イランでも強硬派が台頭するのは確実です。

「すべて計画通りだ」と影でほくそ笑んでいるのがシオニストです。

 

次回! いよいよ彼らの大計画の全容を明らかにします! 「そういうつもりだったのか・・」と、私も戦慄したくらいです。恐ろしい内容です・・・。

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