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世界の秩序が常に変化するという宿命、大戦後秩序もまた例外ではありえない

出典:shiv mandir vancouver

どうやら人間の集団には「72年周期」というものがあるらしい、という話を以下の記事でした。元ネタになっているのはゾロアスターの秘法。

さて、バルカンのノストラダムスことババ・バンカBaba Vangaと、ロシアのパーべル・バーブロビッチ・グローバPavel Pavlovich Globaが同種の予言をしていることは以下の記事で紹介した。そのグローバ氏の予言が以下である。戦

この周期からすると、第二次世界大戦後に作られた秩序は2017年でおしまい、ということになる。ただし、日米欧などはこれに当てはまるが、ロシアだけはズレている。というのも1917年のロシア革命で新体制に移行して、それが冷戦終結でいったん崩壊した。そしてプーチンの登場をもって新秩序に移行したと思われるからだ(以下記事)。

もちろんプーチンが再選する! Of course President Putin is reelected!とまあ、いきなり一行目で結論を言ってしまったが、世間はアメリカ新大統領にばかり注目していて、そのカウンター側の選挙にはまったく注目し

だから、これから西側の社会秩序は総崩壊して「過渡期」へと突入しているが、その中にあってロシアだけは比較的安定しているのではないか、というのが私の見立て。

まあ、それはともかく、そういう「世界の秩序」と、人類の宿命みたいなものについて、浅学ながら――謙遜ではなく本当にそうなので――少し考えてみた。

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大きなフレームで人類社会を見てみる

パソコンがOS(オペレーティング・システム)で動いているように、今日の人類社会もある種のOSによって動かされている。仮にそれを「世界システム」と命名しよう。それは政治と経済の二つの側面から成り立っている。今日の世界システムは比較的新しく、第二次大戦の戦勝国によって「戦後の新秩序」として作られたものだ。

ただし、より正確に言うなら、基本はそうだが、今日のものは厳密にはその「改良バージョン」といえる。 当初の新秩序は、戦勝に貢献した圧倒的勝者が米ソの二カ国あったため、奇妙に分裂したものとなった。経済的にはハッキリ二つの体制に別れただけでなく、世界政治の頂点に立つ国連安全保障理事会においても、米ソ両陣営が激しく対立し、互いの足を引っ張り合った。その結果、「国際の平和及び安全を維持する」という当初の目的は忘れ去られ、両者は直接戦わないものの、各地で代理戦争をやり始めた。いわゆる冷戦だ。

この“戦争”に一応の決着がついたのが1989年である。ソ連は政治的にも経済的にも破綻した。その結果、世界はアメリカ合衆国という唯一のボスを戴くようになった。

ウィンドウズがそうであるように、戦後の世界システムも、これまで度々小さく改訂されてきたが、今度は冷戦の勝者によって比較的大きく修正されることになった。この、いわば「ポスト冷戦バージョン」が、それ以後の世界を動かしてきたOSと言えるだろう。

さて、この冷戦後の世界システムが稼動してから、四半世紀が過ぎた。どのような国際秩序も永遠不変ではありえず、このOSもまた過渡期に入りつつある。とりわけ、システムの経済面に反感を募らせる挑戦者の姿が目立ってきた。ロシアと中国である。

両国は、ドルがほとんど唯一の国際取引の決済通貨である現状に対して強い不満を表明するだけでなく、自らがそれに成り代わるべく、公然たる行動まで開始した。

それはちょうど、第一次大戦後の国際秩序(ベルサイユ体制)に対して強い不満を持った日独二つの帝国が、英米仏などに対して反旗を翻した過去を思い出させる。1933~5年には、日独は公然と世界体制への挑戦を開始し、国際連盟を脱退して、最終的には第二次大戦に突入していった。現状はそこまで悪化していないが、中ロがポスト冷戦体制に対して公然と反抗する様は、奇妙なほど大戦前の状況に酷似している。

2015年6月、ドイツで開催されたG7サミットは「中ロ非難共同声明」を採択して閉幕した。同声明は、領土の一体性・国際法・人権の尊重を謳い、「力による現状変更」に反対するとした。むろん、これはクリミアを併合したロシアと、南シナ海を一方的に埋め立てて軍事基地化を進める中国を指したものだ。

つまり、その日をもって、西側国際社会は中ロに対して公式に「国際秩序を乱す存在=現世界システムへの挑戦者」という烙印を押したということである。「とうとう一線を越えた」と見なされたわけだ。

この宣言が持つ象徴的意味は非常に大きい。なぜなら、もっと分かり易くいえば、「中ロは戦前の日独と同じ存在だ」という正式認定であり、全世界に向けたメッセージだからだ。

ちなみに、なぜ「国連」ではなく「G7サミット」なのかというと、中ロが安全保障理事会の常任理事国のため「拒否権」を持つからだ。ジョークみたいな話だが、常任理事国がいくら侵略をしたとしても、国連から除名すらできないのである。だから、中ロに「国際秩序に挑戦する悪者」の烙印を押すには、いったん国連の外に出る必要があったのだ。

それゆえ、これは1930年代の半ばに当時の国際連盟が日独に対して秩序壊乱者のレッテルを貼った事例と、実質的に同じと言える。その後、日独は同盟を組み、西側国際社会から経済制裁を受けたが、すでにこのプロセスまで、現在の中ロに類似している。

チンパンジーの集団と戦争の起源

それにしても、人類はなぜこのような行動をとるのだろうか。あるいは、人類にこのような行動をとらせる自然界の大きな摂理(ルール)とは、どのようなものだろうか。

私も正解は知らないが、それを探る上で、次の二つの話が参考になるかもしれない。

一つは、人類と遺伝子の約98%が同じとされるチンパンジーの行動である。

Pixabay CC0 Public Domain

チンパンジーの群れでは、ボスがはっきりしている間、秩序が保たれる。ところが、そのボスの権力が衰えると、ナンバー2や3が公然と挑戦を始めるという。群れ内はたちまち権力闘争で騒然とする。いや、時には暴力が使われるため、一種の内戦に近い。

ナンバー1だった固体の中には、群れから追放されるだけでなく、実際に“殺された”ものも観察されている。そうやって新たなボスが決まると、それまでの騒々しい状態がピタリと治まり、新しい秩序の下で、群れは再び安定するという。

同じことを地球規模でやっているだけで、人類の行動原理も本質的にこれと違いない。もしかすると、人類の戦争は、遠い祖先の霊長類が群れ内でやってきた政治的な殺人行為に起源があるのかもしれない。

インド神話に見られる世界の普遍的なサイクル

もう一つは、インドの三神一体論で語られる世界の変遷プロセスだ。それに拠ると、ブラフマが世界の創造を担い、ヴィシュヌがそれを維持し、シヴァが破壊し、そしてまたブラフマが再創造する。つまり「創造→維持→破壊」のサイクルを永遠に繰り返すわけである。ちょうど人間の作るシステムも、これと同じルールに支配されている。

新たなシステムが作られた当初、それに主導的役割を果たした強者の威光は強い。ただし、維持できるか否かは、人心の掌握も関係する。そのシステムに満足する人々や、当面の安定を求める人々が多数派であれば、それは維持され続ける。

しかし、強者にとって有利なシステム、言い換えるなら彼の特権的地位は、必然的に腐敗と堕落を生み、人々の間に徐々に不公平感を広めていく。

ただ、全体として満足に偏っている状態、又、満足と不満がバランスした状態が続く限り、まだ維持モードである。だが、不満を持つ存在のほうが多くなると、それはシステムを矯正しようとする圧力と化していく。それに応じて改良されると、システムの寿命も伸びる。

ただし、抜本的な改革でない限り、いずれは再び限界が訪れる。不満がある一定の水準を超えた段階で、時代の流れは、今度は引き潮のように逆転する。つまり、システムを破壊又刷新しようとする流れの発生である。

この二つのストーリーを通して見ると、どうやら今の人類も、意識せずに再び地球規模の権力闘争を通して世界システムの破壊と創造を行おうとしていることが分かる。

すでに世界の既得権益側と挑戦者側の戦いは激化

かくして、現在の世界システムは「崩壊のプロセス」に入ったと考えられる。だが、己のエゴばかり主張する人類が話し合いで新しい秩序を作ることは難しい。

残念ながら、新しい世界システムが誕生するには、世界大戦を経なければ成らないというのが、妥当な予想と思われる。よって、新たなシステムが日の目を見るまでは、これから世界規模の混乱と破壊が続くのではないか。われわれは今や激動の時代に差し掛かったのである。
まずは、この「大きな動き」あるいは「流れ」を認識することが重要だと思う。

それゆえ、今後の世界を知りたければ、ちょうど観客として将棋の試合を見るような感じで、システムの既得権益側と挑戦者側の「対局」を俯瞰するのがいい方法だろう。

一方の行動と、それに対するもう一方のリアクション……常にその繰り返しであり、結局はその累積として、最終的な決着がつくというわけである。

現在のところ、主な挑戦者はロシアと中国だが、細かくはそれにイラン、スーダン、北朝鮮などの反欧米国家などが協調し、時には単独で反抗している。

また、現世界システムというより、もっと根深い宗教や文明のところで、多国籍集団のイスラム過激派組織が欧米世界に対する非対称戦を始めている。実はこちらのほうも恐ろしい結果になりかねないので、後で詳しくトレースしていきたい。

他方、アメリカを中心とする西側国際社会は、中ロに対しては、まずは経済制裁を強化していくだろう。対ロシアでは、すでに14年度半ばからOPECと協調して原油価格を引き下げる攻勢に打って出ている。これは80年代半ばにレーガン政権がソ連経済を追い詰めた方法の二番煎じだ。一方、2015年、ロックフェラー傘下にある超党派CFR(外交問題評議会)が従来の親中外交の180度転換を決定し、以来、米も中国に対して強硬になりつつある。

このように、西側と中ロとの「新冷戦」は開始されているが、まずは経済面で追い詰め、相手の国内を転覆させるのが、西側のいつものやり方だ。

西側の恐ろしさは世界的なメディア力である。彼らは今後、中ロの人権問題を積極的に取り上げ、ますます「敵の悪魔化」を始めるだろう。人々は憎しみを掻き立てられ、「道徳的に許せない」などと激昂するようになる。気がつけば「善の民主国家側と悪の独裁国家側」といった単純な図式が出来上がっているかもしれない。

このプロパガンダの成功例が戦前のアメリカで、半分くらいの市民は「ジャップは有害な生き物だから絶滅させてもよい」などと洗脳されていたという。

最近になって、改めて中国共産党による凄まじいキリスト教への弾圧が欧米でクローズアップされ出したのは興味深い。これほど中国の悪魔化にとって好材料はない。

こうして、中ロが西側のルールを受け入れ、親欧米的な人物を新たに指導者にしない限り、欧米は手段を選ばず追い詰め続けるだろう。戦前の日本のようにそれでも屈服しなければ、無理な要求を突きつけ、できれば先制攻撃させる。そうすれば大義名分が立ち、「リメンバー・XXX!」というスローガンの下、思う存分、戦争ができるわけだ。

しかし……である。果たして、そう西側の思い通りに行くだろうか。

そもそも中ロが攻勢に出始めたのも、長い間“勝利者特権”を貪ってきたアメリカの権力に陰りが見えてきたからだ。チンパンジーの群れ内では、ボスの力が衰えると、それまでおとなしくしていたナンバー2と3が挑戦を始める。

地球規模でそれと同じ現象が起きているわけだ。しかも、EUとりわけラテン諸国の凋落も著しく、広い意味で「西側」ないし「欧米」の支配が終わりに近づいているとも思える。また、挑戦者側とて無能ではあるまい。ロシア、中国、その他の反欧米国家、そしてイスラム勢力……彼らなりに死力を尽くして西側支配を打倒しようとするだろう。

やはり、積極的に壊そうとするものが少なくない以上、現世界システムは、結局破壊され、また灰の中から新生する他ないのかもしれない・・・。

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