トランプ大統領は2月23日、「過去最大の制裁」策を発表した。
主として北朝鮮が石油製品などを「瀬取り」できないよう、アジアの27の海運会社と28の船舶などに制裁を科すもの。しかも、「もし制裁が機能しなければ第2段階に移行する。第2段階は非常に手荒いものになるかもしれない」と明言した。
つまり、制裁が効かなかったら軍事オプションを取るというわけだ。
そして次に、一見すると些細な、しかし奇妙なニュースが入ってきた。
北朝鮮関連船舶の「瀬取り」、防止に米沿岸警備隊派遣へ 2018年2月27日08時51分
米政府が、北朝鮮関連船舶が洋上で違法に物資を積み替える「瀬取り」の公海での取り締まりを強化するため、沿岸警備隊の巡視船をアジア太平洋地域に派遣する考えを日本政府に伝えていたことがわかった。米政府は瀬取りにかかわった船舶を制裁対象のリストに加える考えだ。複数の日本政府関係者が明らかにした。(後略)
アメリカの沿岸警備隊(コストガード)というのは、要するに日本でいう海上保安庁のこと。その巡視船をわざわざ東シナ海や日本海に持ってきて、北朝鮮の「瀬取り」そのものを取り締まるというのである。
合衆国沿岸警備隊とは?
以下、合衆国沿岸警備隊(United States Coast Guard, USCG)のウィキペディア。
(前略)海上警察権を行使する連邦政府の法執行機関であると同時に、合衆国軍の一部門でもある[1]。国土安全保障省の管理下にあり、2013年現在、軍法が適用される隊員42,190名、予備役7,899名、一般職公務員法が適用される文官8,722名、ボランティアである補助隊員32,156名を擁する。航空機197機、カッター(巡視船)84隻、その他巡視艇など多数の舟艇を運用する[2]。(略)USCGは国防総省の機関ではないが、常設の軍の組織として、防衛準備態勢を維持している。合衆国法典第10編第101条では、陸海空軍・海兵隊と並び、USCGもアメリカ合衆国軍であることが示されている。
一応は「合衆国軍」の一員らしい。
隊員が4万人以上いて、航空機が200機弱、そしてカッターの異名をとる巡視船が84隻もある。沿岸警備隊としては世界最大級らしい。
これが大型船のハミルトン級カッター(Hamilton-class cutter)。
主力兵装は、
62口径76mm単装速射砲×1基
38口径127mm単装砲×1基
70口径20mm単装機銃、など。
この場合の「口径」とは「口径長」という砲身の長さを現す単位。62口径だと「口径62個分の長さ」ということ。速射砲というのはバンバン連続して撃てる艦砲。
一時はハープーンミサイルなども積んでいたようだが、外されたらしい。
やはり沿岸警備の任務の性質上、不審船の発見と追跡が第一であり、大型兵器の搭載は必ずも有効ではない。
上のウィキペディアによると、ハミルトン級は旧式で、それがバーソルフ級カッターに置き換わりつつあるという(*アイキャッチ画像参考)。
主力兵装は、
70口径57mm単装速射砲
Mk.15 20mmCIWS(ファランクス)、など。
ファランクスというのは、イージス艦にも搭載のドームの付いたバルカン砲のこと。
ファランクス(Block1A) 近接防御火器システム
どうやら、シャーマン、バーソルフ、ウェイシー、マンローなど、それぞれに固有の艦名があるようだ(すると「リメンバー何々」に、この艦名が入るのだろうか)。
アメリカがあえて沿岸警備隊に火中の栗を拾いに行かせるワケ
さて、この沿岸警備隊のカッターが、何隻か今は分からないが、わざわざ極東の海まで来て北朝鮮の「瀬取り」を止めさせる、というのだ。
しかし、これは危険な任務である。
第一に、不審船を片っ端から追跡して、無理やり停船させて臨検を行うわけだから、朝鮮半島の東西に派遣すれば、事実上の海上封鎖になる。これは国際法的にも戦争行為になるらしいし、実際、北朝鮮はそう見なすと公言している。
第二に、取り締まりの際に攻撃を受ける危険性が高い。
アメリカ側は、偵察衛星から「瀬取り」の現場を撮影していることからも、確実に怪しい船舶を発見して巡視船を急行させることができる。
しかし、北朝鮮側の船舶は、人民軍などが関係していて、武装している可能性が高い。
2001年12月に「九州南西海域工作船事件」があった。
海上保安庁が北朝鮮の不審船(工作船)を追跡したところ、小火器や携行式ロケット砲による反撃を受け、銃撃戦の末、撃沈(自爆)した事件である。
不審船はのちに引き上げられた。当時、私も機関砲で穴だらけになったその船体を見たことがある。のちに暴力団に覚せい剤を運んでいた船だと判明した。上のウィキでは、朝鮮学校元校長の曹奎聖(チョウ・キュウソン)がこういった不審船を利用して大量の覚せい剤を密輸していたとある。そして、ブツを捌く役が在日韓国人の暴力団らしい。
校長先生がこれ。さすがは朝鮮学校である。きっと、自ら率先して生徒たちに手本を見せている教育熱心な先生なのだろう。
ま、それはともかく、米巡視船が相手を臨検したり、証拠や現場を押さえようとしたところで、北朝鮮側の船も必死で逃亡・抵抗するだろう。
その際、相手が攻撃に及ぶ危険性は常にある。人民軍の関係する船舶なら軍隊装備でも不思議はない。対して、アメリカといえども沿岸警備隊は海軍には届かない。
つまり、犠牲者が出る確率も高い。場合によっては米船側が沈む可能性すらある。
だから、制裁の実効性を高めるにしては、ずいぶん“無謀”な試みなのだ。
穿った見方をすれば、これは、いくら追い詰めてもなかなか北朝鮮が最初の一発を撃ってくれないので、痺れを切らしたアメリカのほうから「生贄の子羊」を差し出して、わざわざ撃たれに行く、ということではないか。大方、アフリカ系やヒスパニック系の乗組員の多い船を送り出すのではないか、と言ったら穿ちすぎだろうか。
今打診中だとすると、ちょうど3月後半くらいから巡視活動に入る形になろう。
奇しくも(?)、平昌パラリンピックの終了が3月18日。
その直後、われわれは「北朝鮮が米巡視船を撃沈!」という臨時ニュースを目撃することになるかもしれない。新聞の見出しもこれ以上なくデカデカしたものだろう。
それからおもむろにトランプ大統領が厳粛に宣戦布告をスピーチするというわけだ。
かくして、「リメンバーXXX」の歴史がまた一ページ。
他人を銃で脅して実際に威嚇射撃までする人間は射殺されても仕方がない
そして、米海軍の3個空母打撃群が、その直後くらいのタイミングで朝鮮半島近海に集結するようだ。これとは別個に3つの強襲揚陸艦もやって来るらしい。
他方、最新鋭のF35ステルス戦闘機部隊の着任した岩国や、極東最大級の米空軍基地である嘉手納などは、対北用の「不沈空母」に等しい。また、B1、B2、B52爆撃機などが勢ぞろいしたグアム基地は、さしずめ戦略爆撃機用の「不沈空母」だ。
これらの凄まじい航空戦力は、いずれも在韓米軍の統制外にある。そして、彼らは北朝鮮を標的として、これまで訓練やシミュレーションを重ねてきた。
空爆の準備は既に万端なのである。
というわけで、私はずいぶん前から平壌もこうなると書いてきた。
(たぶん貼るのは4、5回目!)
文政権は「誰であれ韓国の許可なくして朝鮮半島での軍事行動はできない」などとトンチンカンな警告を発しているが、米国が己の自衛権に基づいて、韓国外の軍事力を、国連加盟の独立した一国(北朝鮮)に対して使用する分には、何らの拘束性もない。
自衛権といえば、北朝鮮が日本を名指しして核ミサイルで脅し、実際に日本列島に向けて発射実験を繰り返す以上、日本も対北朝鮮ですでに有している。
したがって、仮にアメリカが対北軍事行動を始めて、日本がそれを後方支援したりまた自ら前線に自衛隊を投入したりしても、国際社会に対する大義名分はすでに成立済み。
中国ですら「米軍が進駐しないなら」という条件付で黙認している。
他人を銃で脅して実際に威嚇射撃までする人間は射殺されても仕方がない・・ま、当然の理屈である。韓国人が「同じ民族ガー」と言ってかばうなら、犯罪者の共犯という扱いになる。実際、各種アンケートで出ているように、韓国人が第一の敵と見なすのは「日本」。しかも、韓国は、有事の際の在韓日本人の撤退を事実上、妨害している。
これで韓国と北朝鮮は一蓮托生であり、有事の際も日本人と同盟国人の避難が優先で、韓国人は民間人であろうが何であろうが日本に受け入れる必要がないことは明確になった。ある意味、有事直前にこういう「筋」がはっきりしたことで、むしろすっきりした。
というわけで、韓国人は日本に避難して来る権利を自ら喪失した。アディオス!
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