先日、北朝鮮がわざわざ米独立記念日を狙って、アラスカまで届くICBMの発射実験を行うと、アメリカはさっそくグアムの基地からB1B爆撃機2機を飛ばし、公然と大型爆弾を使った「ミサイル発射装置の破壊訓練」を実施しました。
ヘイリー国連大使は、国連安保理の緊急会議で「やむを得ない場合、米国は軍事力を行使する」とまで明言しました。
この発言は日本のニュース番組ではあまり取り上げられなかったように思います。
対して北朝鮮側は、自分で挑発しておきながら大反発です(傍線太字筆者)。
北朝鮮、米韓による実弾演習を非難 「朝鮮半島は核戦争の臨界点」7/9(日)
(http://www.afpbb.com/articles/-/3135082)AFPBB News
(前略)実弾演習について、朝鮮半島での核戦争のリスクを「臨界点」まで高めるものだとして米国を激しく非難した。(略)
「米国はその危険な軍事挑発によって、朝鮮半島での核戦争リスクを臨界点まで高めた」と米国を非難した。
北朝鮮はこの演習について「朝鮮半島で核戦争の導火線に火をつけようとする戦争屋たちによる危険な軍事的策略だ」とし、「ささいな誤判断やミスは即時に核戦争勃発につながり、それは必然的に新たな世界大戦につながるだろう」と述べている。
まるで壊れたレコード(死語)みたいに「核戦争」と繰り返しているのが分かります。
さて、北朝鮮は発狂したのでしょうか? 単に基地外なんでしょうか?
ビッグ・ノー。上の声明は、実は(自国の責任に関する事柄を除いて)危機的現状をもっとも正確に言い当てている。
しかも、私がこれまで当サイトで散々言ってきたことと、内容が瓜二つ。
自分が生贄として育てられたことに気づいた北朝鮮
北朝鮮は明らかに“知っている”んですね、当事者だから。
グアムのアンダーソン基地に極秘裏に核兵器が届いていることまで察知している。
しかも、自分たちがどうやら「嵌められた」ことにも気づいているようだ。
ブッシュ政権の前半、ネオコン全盛期には「イラクの次の北朝鮮を殺る」とまで公言していた。ところが、ブッシュ政権の後半に入ると、ネオコンがパージされ、2006年には突如として方針転換。北朝鮮の核開発に対する追及をやめ、事実上、黙認した。
その後を継いだオバマ政権も「戦略的忍耐」などと称して「黙認政策」を継承した。北朝鮮はその十年の間に、これ幸いとばかり、急ピッチで核・ミサイル開発を進めた。
ところが、ここへ来て、アメリカがまた突如として方針転換。
十年以上にわたって北朝鮮の核・ミサイル開発を見逃してきた張本人が、「ソウルや東京に対する北の核攻撃の脅威は現実のものだ。北が米本土を攻撃できる能力を開発するのは時間の問題だ」(*実際の発言)と言い、盛んに対北爆撃訓練まで始めた。
当然、当事者の北朝鮮としては、こう疑うでしょう。
「おれたちにわざと開発させる時間的猶予を与えたんじゃないか?」と。
何のために? もちろん、倒すのにちょうどいい怪物に仕立て上げるために。
全米の有力メディアも盛んに北朝鮮の異常な人権状況などを取り上げ、北朝鮮の悪魔化を始めた。これを言うと問題になりそうですが、そうすると、大学生のワームビア氏がアメリカに戻った直後に死亡したのも、やや出来すぎた話に思えてくる(もちろん、それまでに北朝鮮が彼に対して行った仕打ちは、絶対に許すことはできません)。
これは2003年のイラク戦争前に似ている。ただし、今回は戦争の大義名分作りにもっと時間と手間をかけている。そこがイラク戦争との大きな違い。
これについても私は説明してきました。核戦争になって大勢の犠牲者が出ると分かっていれば、アメリカとしても当然、念には念を入れなければなりません。
トランプとマティスの真の意図を見抜く
上の動きと同じ頃、トランプ大統領はこんなツイートをしました。
「第1四半期の中朝貿易はほとんど4割も伸びた。われわれへの中国の協力なんて、こんなものさ。ただ、われわれはやるだけはやらねばならなかったのさ!」
どういう意味か分かりますよね?
とりあえず中国に協力を仰ぐプロセスが必要だった、ということ。
むろん、ハナから中国が解決できるなんて思っていない、
中国を巻き込んだ理由には、戦中・戦後の思惑もありますが、とりあえず開戦に絞って言うならば、「中国ですら非軍事的手段で解決できなかった」という既成事実を作り、戦争の大義名分を強化するのが狙いに違いありません。
開戦の時にはきっとそういう意味のことを言うと、この場で予想しておきます。
で、トランプは最初から「もし中国が解決できなくてもわれわれはやる」(If China is not going to solve North Korea, we will.)と断言している。
米の真意は、国防長官のマティスの発言の「行間」を読むと、いっそう鮮明になる。
上の記事に詳しいですが、マティスは最初から第二次朝鮮戦争が核戦争へと発展することを承知している。自分はその軍事面の責任者をやらねばならない。だからあえて、自分と米国は必死で外交的解決に努力しているのだと、世界に印象付けようとしている。
仕組まれている第二次朝鮮戦争
しかも、付け足すなら、この戦争は別にトランプ政権が決めたわけじゃない。
だいたい、オバマ政権時代から、次の大統領がまだ決まってもいない頃に、東アジアを担当する国務次官補のダニエル・ラッセルは、こんな発言をしている。
「彼(正恩氏)は核攻撃を遂行する強化された能力を有することができようが、核攻撃能力を持った途端、死ぬことになる」(http://freezzaa.com/archives/1318)
つまり、最初からこういうシナリオになっている、ということです。
だから、その前に、北朝鮮が自壊するか、中国がクーデターを扇動するか、カダフィのように大量破壊兵器の開発放棄・全面降伏するかしないと、戦争は起こる。
しかも、核戦争になる。北朝鮮もそれを知っているから、公式声明で発狂したように「核戦争ガー」と喚き散らしている。別にキチ○イだからじゃありません。
さらに、今やトランプ大統領にとって個人的にも、開戦の動機が強まりつつある。
白人中間層のために軍需産業にボーナスを与えたい、東洋人のボンボンから散々コケにされた、政権の支持率が最低にまで落ち込みつつある・・等など。
具体的に「いつ」起こるかは、私にも分かりません。私自身はもともと「2017年の米新政権発足から東京オリンピック開催までの間」と、考えてきました。
これは、実はロシアの動きが関係しているのですが、またの機会に。
いずれにせよ、大きな物事は起こるべくして起こるもの。
共謀罪の成立や反安倍運動の先鋭化など、やや騒然とした昨今の国内政治も動きも、基本的にこれと連動していると思って間違いないでしょう。
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