「最近の『週刊朝日』は小学生に記事を書かせるようになったのか・・」
と、唖然としていたら、“作家”の室井佑月氏の筆によるものだった・・・ということがあって、このごろ同誌に失望を禁じえなかったのですが、なんのなんの、つい先日、貴重な情報が満載の良記事が掲載されました。それが以下です。
全文はぜひリンク先で読んでほしい。一部を紹介させていただきたい(*傍線筆者)。
過激派が「トランプ暗殺指令」米国民へのテロを呼びかけるSNSが急増〈週刊朝日〉2/9(木)
トランプ米大統領が命令した中東・アフリカ7カ国の国籍保持者の入国禁止措置で「パンドラの箱」が開いた。イスラム過激派は「トランプ暗殺指令」を出し、さらには「米国民にテロを」と呼びかけるSNSが激増。一触即発の敵愾心が世界中で蔓延中だ。ジャーナリストの黒井文太郎が取材した。
「我々は悪魔であるアメリカに復讐する。待つがいい。トランプは愚かなブタだ!」
「トランプの命令など無意味だ。アメリカで生まれた者が、米国内でお前たちを攻撃するだろう」
イスラム過激派のSNSでは今、アメリカへのジハード(聖戦)を呼びかける書き込みが急増している。きっかけは、1月27日にトランプ大統領が、中東・アフリカの7カ国の国籍保持者の入国を禁止する大統領令を出したことだ。
やはりそうなったのか、というのが率直な印象。
私は先日の記事の中で、「強引な中東市民の入国禁止措置はテロ事件の仕込みか?」という見出しをつけて、次のように記しました。
この措置も怪しい。当然、米国内外のイスラム教徒は大反発する。ジョージ・ソロスらオバマ・ヒラリー派も、ここぞとばかり市民を焚きつけている。しかも、今さら禁止したところで、すでに何千人というイスラム過激派や工作員がアメリカに入国済み。イスラム過激思想に染まった地の中東系アメリカ人もたくさんいるでしょう。
この措置は、国内を騒乱・パニック状態に持っていくという意味では、「偽旗作戦」とよく似た効果を発揮している。と同時に、あえてテロを誘発する“挑発”でもある。
「イスラム過激派のテロリストを入国させない」と発言するところがまた怪しい。そういう“リアクション”があることを予期しているかのような口ぶり。
と、私はこんなふうに事の本質を読んでいたわけです。案の定、イスラム過激派は、まんまと米の“挑発”に乗せられた格好です。
イスラム過激派は報復の大義名分を得た
しかも、ちょうどこのタイミングで、米軍はイエメンの民間人を虐殺した。火に油を注いだ格好です。以下、『週刊朝日』記事の続きです。
(略)イスラム過激派系のSNSでは現在、2011年にイエメンで米軍に殺害された米国籍の「アラビア半島のアルカイダ」の指導者アンワル・アウラキが遺した次の言葉が広く拡散されている。
「いずれ西側の攻撃は、イスラム教徒の一般市民に向かうだろう」
現時点まで、イスラム国(IS)とアルカイダは今回のトランプ大統領の入国禁止措置に対して正式な声明は出していないが、親IS系のSNSでは、このアウラキの予言が現実のものになったとして、アメリカへの攻撃を呼びかける投稿が殺到している。
憎悪が渦巻く中、1月29日に米軍がイエメンで「アラビア半島のアルカイダ」幹部を標的とした急襲作戦を実施し、巻き添えで子供6人を含む民間人13人が殺害されるという事件があった(殺害された子供のひとりは前出のアウラキの8歳の娘)。
「アラビア半島のアルカイダ」は翌日、この攻撃をトランプ大統領の入国禁止措置と結び付け、「アメリカがイスラム教徒と戦争している証明だ」との声明を発表している。トランプ政権の挑発的なイスラム敵視政策をきっかけに、世界中のイスラム過激派が今、アメリカとの戦いを正当化しているのだ。(略)
彼らの考え方は、今でも基本的に「目には目を」なんですね。だから、これで過激派側の「報復」も正当化されるわけです。
しかも、このイエメンのケースだけじゃなく、これまでアラブの民衆は散々米軍に殺されてきました。アメリカに対する恨みが鬱積している。その抑圧され続けた憎悪と復讐心が今度こそ大爆発して、アメリカをテロの地獄へと誘うかもしれません。
トランプ政権は中東で宗教戦争を引き起こす!?
不気味なのは次のところですね。
トランプは金儲け一辺倒の世俗家のようでいて、意外と「キリスト教徒としての使命感」も持ち合わせてもいるようです。逆にそれが怖いわけですが・・。
(略)大統領令に署名する前、トランプ大統領はキリスト教系の米CBN放送に対し、イラクやシリアで迫害されてきたキリスト教徒を助けたい旨の発言をしている。トランプ大統領は自身のツイッターでも、1月29日に「中東では多数のキリスト教徒が処刑されてきた。我々はこの惨劇が続くことは許さない」と書いており、自身の対テロ政策の基本に、キリスト教徒のための戦いという宗教的な意識が非常に色濃いことを示唆している。
それだけではない。トランプ大統領は支持基盤のひとつであるキリスト教右派を優遇し、同派の大物であるベッツィ・デボスを教育長官に指名。さらに福音派の大物2世であるジェリー・ファルウェル・ジュニアを教育省改革本部長に指名するなど、キリスト教右派との連携を強化。2月2日には、教会などの政治活動を制限している税法のジョンソン条項を撤廃することを示唆するなど、明らかにキリスト教優遇策を打ち出している。
要するに、彼自身「キリスト教右派」で、中東のキリスト教徒たちの境遇に同情し、助けたいと思っているわけですね。こういう使命感が逆に危ない。
たぶん、聖書を読んだことがない人には、「キリスト教右派」の本質が何かさっぱり分からないと思います。これはまた別途記事にして説明します。
どうやら私の見るところ、トランプ政権とは、信仰面から見ると、「ホワイト・クリスチャン」と「クリスチャン・シオニズム」の融合した政権なんですね。
これは、実は聖書の「預言」がダイレクトに絡んでくる話です。だから、通常の国際情勢の専門家やメディアには、大統領のメンタリティや政権の本質が理解できない。そのためには信仰面で共感できなければなりません。私がトランプ当選直後「中東大戦が来る!」と直感したのも、たまたまそれができるからです。
しかし、過去の歴史を見ても分かるように、宗教戦争ほどヤバイものはありません。人間の狂気がもっとも現れるケースです。合理的であるべき部分が「狂信」に置き換わったらどうなるか、かつて「一億玉砕」を叫んだ日本人も他人のことはあまり言えませんが・・。
そして、「十字軍戦争」といえば、次のように、もはや日本も無縁ではありません。下のケースでも、なんか日本が嵌められたな、という気がしてなりません。
イスラム過激派はアメリカで無差別テロを引き起こす!?
記事に登場する米軍関係者が非常に不吉なことを言っています。
(略)トランプ大統領の対イスラム差別・敵視政策は、イスラム過激派からみれば、まさに現代の「十字軍」にほかならない。イスラム過激派の世界では、十字軍に対しては、より激烈な反撃を行うことが、より貴いジハードとみなされる。
「今、彼らにとって最も価値あるジハードは、十字軍の首領たるトランプ大統領を暗殺すること。もちろん米国大統領は常に厳重に警護されており、そう簡単に殺害することはできないが、そうであれば、次なるジハードの標的は、トランプ大統領を選んだ米国民に向かうことになるだろう」(米軍事関係者)
以上、『週刊朝日』(2017年2月17日号)から引用させていただきました。
つまり、標的はトランプ大統領一人じゃなく、全アメリカ人かもしれないということですね。よって、「アメリカへのジハード」は、一般市民を巻き込むことを躊躇しないか、それとも一般市民を最初から標的にしたものか・・になる可能性がある。つまり、「パリ同時テロ事件」や「ベルギー連続テロ事件」のアメリカ版というわけです(*)。
しかし、彼らが一般米国市民に対する無差別大量殺人テロを行えば、それこそトランプ大統領は発狂して、中東での十字軍戦争へと突っ込んでいくでしょう。
そして、仮に「背後で糸を引く者」の狙いが「これ」だったとしたら、アメリカに対する「核テロ」が起こったとしても不思議ではありません。なぜなら、「相手が先に核を使った」となると、米・イスラエルも堂々と使用できる状況になりますから。
しかも、これからトランプ政権が対IS包囲網を形成して壊滅に追い込んでいくとすると、時期的には2017年の後半から来年にかけてが危ない気がします。
(*注)
- 「パリ同時テロ事件」(2015年11月)・・・IS系の過激派組織が、フランス軍によるシリア・イラク領内への爆撃に対する報復と称して、劇場など複数の場所を襲撃した事件。死者130人、負傷者300名以上に及び、オランド大統領は対テロ戦争を宣言した。
- 「ベルギー連続テロ事件」(2016年3月)・・・ブリュッセル空港や地下鉄で起きた連続爆破テロ事件。死者38名、負傷者198名を出したが、死者の中には3名の実行犯も含まれていた。「ベルギーが有志連合軍に参加しているため」とISが犯行声明を出した。
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