スポンサーリンク

すでに始まったトランプの米国 VS 中国の激突

出典:CNN Money

2006年以降の「流れ」を説明したのが前の二記事だった。

いわば「縦軸」の視点である。対して、この記事では、主として「横軸」の視点から、中国を取り巻く現状、そして同国の「これから」を予想してみたい。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

米中は根本的な面で衝突し始めた

これは「トランプは史上最強の「反中国・北朝鮮」大統領となる!」という記事でも触れたことだが、トランプの米国と中国はすでに以下の争点を抱えている。

第一に、通貨・貿易問題である。

この分野で象徴的な人物が、新設された「国家通商会議」(NTC)のピーター・ナヴァロ委員長だ。彼は中国専門家のカリフォルニア大教授であり、著作として『中国は世界に復讐する』『中国による死』そして『米中もし戦わば』などの対中強硬本がズラリと並ぶ。この人事の背景には、中国の不公正な貿易によって米の製造業がダメージを受け、雇用が不当に奪われ続けてきたというトランプ政権の認識がある。ナヴァロ氏はその認識に明確な根拠を示し、対策をつむぎ出す人材として登用された。

そもそも2月の施政方針演説を見ても分かるように、トランプ政権が掲げる最大の目玉が製造業を中心とした国内の産業再生と、それに伴う普通の人々の雇用と所得の回復である。また、彼はそれがアメリカの偉大さの源泉であると信じている。

だから、彼は差別的な発言や奇矯な行動で誤解されているが、自国の最大の問題点を理解し、その解決策を実行しようとしている点において使命感を持つのも確かだ。

トランプが大統領として一番やりたいことがコレで、ある意味、外交はその国内問題を解決せんがためのもので、国際政治それ自体は二の次になっている。しかし、その根本的な面で衝突している(おそらく唯一の)外国が中国らしい。だから大統領は自国の産業・雇用・中間層の復権に当たって、中国を手っ取り早い「外敵」に定めた。

第二に、従来の「一つの中国」に束縛されない姿勢だ。

これは共産中国の存在の根幹を揺るがすものだ。トランプは大統領当選後、台湾の蔡英文総統と電話で会談した。のちに中国から猛反発を受けて、今では「一つの中国政策を支持する」というスタンスに切り替えた。しかし、これは後退というより、異常なほど面子にこだわる中国側が、4月の米中首脳会談を控えて、例によって裏で手土産を約束した成果と思われる。米国ほど本音と建前を使い分ける国はない。彼らの本音はどこにあるのか。それは今年の台湾国防部が行う図上演習に米軍将官が派遣されるニュースからも明らかだろう。これは1979年の米・国民党の国交断絶以来という。

トランプ政権の外交を指南しているのがキッシンジャーである事実を思うと、これは大変興味深い。台湾を切り捨てた張本人が、また台湾と接近し始めたということ。一応は中国の面子を立ててやっているが、米国の本音がどこにあるかは明らかだ。

これは根本的には両国の価値観の衝突とも言える。「一つの中国」などというものは、独裁国家の勝手な自分ルールでしかない。トランプは「笑止」と思っているはず。

アメリカは軍事的圧力のボルテージを一挙に高めた

第三に、南シナ海問題や安全保障の分野で衝突が始まっている。

これは広い意味で両国の覇権競争といえる。世界の多極化に伴い、最大の強国と、そのヘゲモニーに挑戦する国家との、必然的ともいえる衝突である。

言ったように、これはトランプの米国と中国との争点の一つではあるが、トランプ政権になってから浮上した問題ではなく、すでに2006年から始まっていた。それまでの対立がトランプ政権になってからより先鋭化した、というのが実際のところ。

これまで中国はえんえんと軍拡を続け、2017年の全人代で、初めて公式の国防費が1兆元(約16兆円)を突破した。しかし、中国の国防会計には不透明な部分や、軍系企業の調達する自主財源なども入り乱れているため、実態はこの何割増しであるらしい。近年はとくに日本にとっても脅威であるミサイル戦力と海軍の増強が目立っている。

しかし、アメリカはさすがに長期的視野で物事を考える深慮遠謀の国である。ペンタゴンは2006年に中国を仮想敵国に正式認定した。その頃から将来の中国の台頭を見据えて、ピタリと銃口の照準を合わせているのだ。そして、2015年には、南シナ海での中国の増長をうまく利用して、米中軍事衝突の火種を創り上げることに成功した(というのが私の説)。しかも、ほとんど軍事基地を造成し終えた後の問題化だったので、今さら中国としても足を抜けることができないという点が本当に狡猾だ(笑)。

「アメリカの狙いは「リメンバー・ロナルド・レーガン」か」でも触れたが、私は以前から「航行の自由作戦」なるものが、その正義然としたネーミングや表向きの理由とは裏腹に、わざと中国に最初の一発を撃たせるのが狙いではないかと述べている。中国の岩礁占拠に対しては、国際司法裁判所の違法判決も出た。米はすでに「大義名分」を有する格好だ。この上、先制攻撃を受けたら、二重の意味で大義が立つ。

かくして、あとは中国のミサイル一発で、アメリカは正々堂々と開戦できる。

アメリカ的には開戦のメリットは大きい。中国が将来のライバルに育つ前に叩き潰すことができる。また、安全保障面だけでなく、経済的な利益も大きい。競り合うだけでも米への資金還流に繋がる。その上戦時になれば、資産凍結法により中国の官民が持つ莫大なドル・米国債・米企業の株・不動産などの対米資産をすべてチャラ又は没収できる。こうして中国を食い潰せば、アメリカ帝国はまた何十年かの覇権寿命を得られよう。

今年の中国全人代は史上最高の国防費を計上したが、対するトランプ政権もまた先ごろ、国防費前年比10%増額と、空母12隻体制の運用を決定した。

建造中の空母ジョンF.ケネディ(CVN-79)

いずれ何らかの形での両国の衝突は不可避なようにも思われる。

米は軍事・通商面で中国にジャブを放ち始めた

以上、米中の主な三つの対立点を見てきた。このように、経済政策、価値観、安全保障などのあらゆる分野で、米中は相容れない。もっとも、実際にはこの三つが渾然一体となった攻防が繰り返されるものとなる。というか、ゴングはすでに鳴ったようだ。

トランプ政権の発足とほぼ同時に、空母「カール・ビンソン」が南シナ海入りした。米軍は「人工島の12カイリ(約22キロ)内を航行することもありえる」としている。これが中国に対するメッセージであることは明らかだ。

また、経済通商面では、中国はすでに資本流出という危機を迎えている。トランプ政権発足後、外貨準備高が3兆ドルを割ったことは大きなニュースになった。対外債務はこれを上回るとも言われているので、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の活躍と「一帯一路」構想の実現も急に怪しくなってきた。私はこういう中国人の大陸的な構想や戦略は個人的に決して嫌いではないのだが、米と競り合うのはまだ早すぎたのかもしれない。

そして、3月初めには、アメリカはかつての日米貿易摩擦で日本恫喝の手段として使った、かの悪名高き通商法「スーパー301条」と同法201条の輸入制限を復活し、ダンピングの代表的な中国製品である鉄鋼への制裁課税を決めた。

別の記事でも言ったが、このように、トランプの米国にとって、中国は、軍事面ではロシアの代わりの敵であり、経済通商面ではかつての日本の代わりの敵である。つまり、二重の意味で体のいい敵役にされている。

また、北朝鮮問題までも米中対立の火種になりつつある。トランプ政権は、中国が北朝鮮を放置してきたとか、有効な対策を取らなかったとして、幾度も批判している。しかも、北朝鮮をけん制するためにも、中国に対しては甘い対応ができない。

というわけで、この2017年で、中国はいっそう追い込まれると思われる。そして同国の「これから」だが、おそらく自壊していくと私は半ば確信している。

さて、影の政府的には、「中ロをまとめて片付ける」から「中ロを分断し、先に中国を片付ける」という方針へと転換したのではないか、という予測を先に述べたが、これが正しいとしたら、中国はかつての旧ソ連と似た運命を辿るはずだし、実際、キッシンジャーの狙いもそこにあると私は確信している。次回、その辺を詳しく述べたい。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク