さて、すっかり南北首脳会談の影に隠れた格好だが、同日に、財務省は、福田「元」事務次官に対して「減給20%、6か月」相当の処分を下した。女性記者へのセクハラ行為があったとして、懲戒処分に相当するという。ただし、福田氏はつい先日、閣議決定で辞任させられていたので、減給分は退職金から差し引く形になるらしい。
たしかに、このケースは、セクハラといえば、セクハラに違いない。卑猥な言葉を投げかけられた女性側からすれば、かなり気持ち悪かったに違いない。
だから、何らかの処分は必要だと私も思う。
ただし、事の本質は「酒場という公の場におけるオヤジのエロトーク」であり、お触り行為はなく、しかも女性側が逃げられない状況にあったわけではない。政府高官とその取材者という関係のため、一部の者が言うような「パワハラ」も成立しない。
本当の(というか重度の)セクハラ被害者はもっと深刻である。苦しんで、うつ病になったり、精神的にも肉体的にも病んだり、離職を余儀なくされたり・・。
本当に自殺寸前まで追い詰められた人や、実際にその種の自殺で身内を亡くした人たちからすれば、今回の内容と騒動のバランスに対して、違和感を覚えるのではないか。
つまり、このケースは軽度の、しかも避けようと思えば避けられるセクハラである。もし雇い主のテレビ朝日側が強いていたとしたら、パワハラはこっちのほうだ。
しかも、オフレコという約束の私的な会話を、相手の社会的生命にトドメを刺すことを承知で週刊誌に売ったのだから、これは信義違反以上の卑劣さである。
福田財務次官はそれまで連日残業しながら、何十年も国家にご奉公してきた人である。それが、この程度のことで、社会的生命を抹殺されなければならないのか。
セクハラだ、被害者だといえば、なんでも世間に通ると思ったら大間違いである。
だから、告発側は、そうやって社会的に人を刺すなら、せめて伊藤詩織氏のように、自分も堂々と表に出るくらいの覚悟を決めてからやるべきではないか。
そうでないと、福田氏が支払った大き過ぎる代償とのバランスがとれない。
そうじゃないか、テレビ朝日の進優子記者! (*4月19日の民進党代表記者会見の席上ですでに「進優子」という名前が公開され、もはや隠す意味はない)
そうやってコソコソ隠れながらこんな真似をするのが気に食わないんだ。
(というと、セカンドセクハラとか言ってくるのがいるんだろうなあ)