みなさん、こんにちは。
今から20年以上前に、モンゴルのマンホールチルドレンに関するNHKドキュメンタリーを見たことがありました。子供たちがとても不憫でした。
「事情があって両親と離れ離れになったり、捨てられたりした子供たちがかわいそうだな。こんな臭くて不潔なマンホールの中で宿をとったり、物乞いしたりしながら暮らすのはさぞかし辛いだろうな。いったいモンゴル政府は何をやっているのだろうか・・」
当時、そんなことを考えた記憶があります。
今はどうか知りませんが、市場経済が始まったばかりのモンゴルは貧富の差が激しかったようです。しかも、夜にマイナス数十度になることもあるから、温暖地域のホームレスとは違い、路上で寝ていたら凍死する可能性もある。だから、この子たちは都会の熱パイプの通っているマンホールの中でわざわざ寝泊りしていたんですね。
で、私はこの番組のことをずっと忘れていたのですが、先日、出張先のホテルでたまたまテレビをつけたら、なんとBS1スペシャルでその続編が始まるところでした。
それが次のような題名でした。
『ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡(前編)~モンゴル 愛と憎しみ、希望と絶望、魂の映像記録!~』
『ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡(後編)~人生を変えた女性!遂にどん底から這い上がった2人!~』
制作会社は「えふぶんの壱」というところ。
「語り」はリリー・フランキー氏。
「ボルト」と「ダシャ」、そして題名にはありませんが、女の子の「オユナ」も含めた三人の物語と呼んでもいいのではないかと思います。
当初はゴロ寝しながら「ふーん、モンゴル人は成人するとみんな朝青龍になってしまうのか」などと思っていたのですが、すぐに尋常ではない内容であることに気づき、文字通り画面に釘付けになって、最後には深く感動しました。
人が人生で本当に学ぶべきことは何かを教えてくれるドキュメンタリーでした。
この場を借りて、「えふぶんの壱」の番組プロデューサー・山口秀矢氏をはじめとする大勢の番組スタッフの皆さんに、感謝を申し上げたいと思います。
ありがとう。
これはかけがえのないソウルメイトの物語
私は続編に関しては何の予備知識もなく視聴したのですが、番組を見た後に調べてみたらNHK関連のサイトで次のような紹介文が掲載されていました。
高層ビルが立ち並び、急激な経済成長を遂げるモンゴル・ウランバートル。その片隅で、貧困から這い上がろうともがき続ける2人の男がいる。ボルト33歳、ダシャ34歳。彼らは親友。
20年前の1998年、ウランバートルには、親に見捨てられ、マンホールから地下にもぐって寒さをしのぎながら生きる「マンホールチルドレン」があふれていた。ボルト(当時13)とダシャ(当時14)もそこにいた。互いに助け合いながら懸命に生きていた。
2004年、職を得たボルトは自力で小さな家を建てた。ダシャもそこに居候、2人はマンホールからの脱出を果たす。そして、ボルトは同じマンホールチルドレン仲間の女性・オユナと結婚、娘をもうける。未来は希望に満ちていた。
2008年、オユナは娘をつれてボルトの元を去り、同じくボルトの家から出たダシャのねぐらに身を寄せていた。ボルトとダシャの仲は決定的に壊れてしまう。次第に酒の量が増え、生活もすさみ、再びマンホールへと転落するボルト。
それから10年、2人はいまどこで何をしているのか。オユナと娘はどうなったのか。20年にわたって彼らにカメラを向け続けてきた迫真の密着ドキュメントが遂にクライマックス。再び絆を取り戻した2人が、ようやく見つけた一筋の光とは?
これを読んで初めて知ったのですが、なんと2004年と2008年にもすでに続編が制作されていたんですね。
つまり、最新の『20年の軌跡』は、その分も含めた現時点の総合編集のようです。
「えふぶんの壱」番組プロデューサーの山口秀矢さんが次のように語っています。
【この番組を企画したきっかけは?】
「マンホールチルドレン」は、1998年放送の『日曜スペシャル マンホールチルドレン 混迷するモンゴルからの報告』を皮切りに、過去、3度にわたって番組化されてきた。『ハイビジョンスペシャル マンホールで大人になった 再訪厳寒のモンゴル』(04年放送)では、とうとうマンホールから脱出し、希望に溢れる生活を送っていたボルトだったが、『ハイビジョンスペシャル 10年後のマンホールチルドレン』(08年放送)では、母と妹、妻と娘、親友ダシャとの友情、これらを全て失い、再びマンホールに転落する姿で番組が終わった。
この番組をご覧になった視聴者から「夢も希望もない終わり方だ。是非、続編を作り彼らが再生して行く姿を見たい」といった反響が多く寄せられた。
いやはや、2008年分はとんでもない終わり方をしていたんですね。
まるでモンゴル残酷物語。私は見なくて良かったかも。
当時、視聴した人は「なんじゃこれは!?」と松田優作状態になったのでは。
山口プロデューサーの言葉を続けましょう。
しかし、その後のボルトを追跡するも行方不明のまま状態であった。ところが、最初の取材から20年目の昨年春、ある人物から「ボルト」と「ダシャ」は生きている、との情報が寄せられた。
早速、コーディネーターに調査を依頼すると「ボルトは、数年間アルコール依存症施設で隔離されていたが、今はタイヤ修理工場を経営している、ダシャは、廃品回収の腕を見込まれ区の職員として働き、4人の子供の父親になっている」という明るい調査報告が届いた。
彼らが<絶望>の中から、どのように<希望>を掴んでいったのか?20年の軌跡を辿りながら、今を見つめる視点で企画を進める事になった。
はい、もうこれ以上はタネ明かししたくありません。
親に捨てられ、字の読み書きすらもできなかった三人の子供たち。
必死の思いで貧困から這い上がり、わずかばかりの希望を手にする。
しかし、待っていたのは挫折、いさかい、友情の破綻、家族との別れ、アルコール依存、そして元のマンホール生活・・。
その絶望の淵から、彼らがいかにして再生し、和解し、再び助け合う関係になっていくのか。
自分を捨てた母とどう向き合い、再会し、赦すのか。
そして、再び立ち上がり、仕事を得て、家族のために生きる彼らの現状とは・・。
ボルトとダシャが久しぶりにマンホールを訪ねて、したこととは・・?
胸が締め付けられること必然です。
私は「あっ、これはソウルメイトの物語だな」と気づきました。
それは、今生で出会い、互いに学びあい、成長しあうよう定められた運命の人のことです。魂のレベルで結びついた永遠の家族であり、友人のことです。
どんな境遇であれ、ソウルメイトを持てた人は幸いです。
ソウルメイトとの出会いそれ自体が神様の奇跡であり祝福なのです。
なぜなら、あなたの分身も同然なのだから。今いる家族、友人、配偶者がソウルメイトであると感じられる人は、とても幸せであり、幸運であると言えるでしょう。
私にできることは、この番組をみなさんにお勧めすることだけです。
現在、これは有料配信されているもののようなので、ご面倒ですが、見る方法はご自身で探してください。
素晴らしい番組をありがとうございました。