みなさん、こんにちわ。
先日、私は山本太郎の掲げる政策はまったくの空論だとして批判しました。
これに対して反論が寄せられました。どういう人が山本太郎の政策を支持しているのかがよく理解できるため、異例ですが、本文に再掲したいと思います。
みなさん、いかがでしょうか?
MMT(Modern Monetary Theory)というのは「現代貨幣理論」のことですね。
「自国通貨を発行できる国であれば、債務返済に充てる貨幣も自由に発行可能なため、高いインフレにならない限り、財政赤字が拡大しても問題ない」という点が、いまウケている理由のようです。上の意見は、このMMTのキモ部分そのままですね。
ウィキペディア「現代貨幣理論」が参考になります。
現時点では、支持者からも理論が用いられる国は、自国の通貨価値が他国に左右されない基軸通貨のドルを持っているアメリカ、政府の借金のほとんど自国民が消化している上に、ゼロ金利下かつ物価上昇率が低い日本ぐらいとしている。
MMT支持者は「日本を見ろ、このセオリーが正しいことの証明だ」と言う。
私の記憶が正しければ、去年の後半くらいから、日本で話題になり始めたと思いますが、私は当初からまったくナンセンスだと考えて歯牙にもかけていません。
実際には、1945年以降に限っても、対内債務で「デフォルト→ハイパーインフレ→デノミ」した国は、実に数十例くらいある。
ウソだと思うのなら、どうぞ、ご自分で調べてください。
上のコメントは「どんなに国債を発行しても財政破綻は100%あり得ません。円建てだからです」と記していますが、明らかな間違いで、政府が自国通貨建てで債権を発行しようがしまいが、「引き受け手に見捨てられたらおしまい」というのが現実。
なぜなら、市場が買わなければ、財源が印刷機になるため、必ずインフレになる。
泣こうが喚こうが、それが歴史の実例です。
100%なのは山本太郎の政策が「市場の制裁」を受ける確率のほうだろう
山本太郎とそのブレーン、支持者たちは、機関投資家をナメ過ぎているのでは?
国債は市場で売買される金融商品という認識が欠けている。
国債は人様が買う「商品」なんですよ。「お客」が必要なんですよ。分かりますか?
日本政府は、毎年、数十兆円規模の国債を発行して財政を補填していますが、他方で利子をつけてキッチリと償還してきました。
そうやって、個人や法人からしっかり税金をとって十年物国債を償還し続けてきたからこそ銀行や生保も安心して公債に投資できたのであり、またマイナス金利になっても財務省が頭を下げることでシンジケートを維持することができたわけです。
根底にあるのが、日本経済の実力と、それに対する政府による徴税権です。
それに対する「信頼」があるからこそ、日本の財政は維持してこれたのです。「日本こそがMMTの実例」と主張する人は、どうもそこを履き違えている。
新規国債をバンバン発行して財源確保する
どんなに国債を発行しても財政破綻は100%あり得ません。
公務員を増やせばこんなにかかるーっていうのは問題にすらならない
こういうお考えの皆様方が山本大先生を支持しているようですが、私が「テレビと新聞が伝えない山本太郎公約のホントの話」で述べたように、公務員を倍増して歳出を数十兆円も増やす一方、消費税を無くして歳入を17兆円も減収させるような政策をやれば、おそらく新規国債発行高は一挙に7~80兆円規模に跳ね上がるはず。
山本信者は「国債なんてバンバン発行しても大丈夫なんだよ」と言うが、機関投資家のほうは「日本政府が財政規律を放棄した」と見なすだろう。
従来は、曲がりなりにも政府が財政規律を遵守する姿勢を内外に示してきたから借金システムが回ってきたわけですが、その意志すら捨ててしまったらどうなるか。
市場は日本が無制限に紙幣を刷り散らかすつもりだと受け止める。そしてその瞬間、日本国債はジャンクと見なされ、市場の制裁を受けるだろう。
機関投資家は猛烈に売り浴びせてくるだろう。
国債金利は急上昇。政府は一挙に償還不可能に陥る。MMT派は「こんな時こそ紙幣を刷りまくって返済に充てろ」と言うかもしれないが、要は戦前と同じコース。
MMT派は「高インフレにならない限り」などと予防線を張っているが、財源が印刷機になると、そうならないと考えるほうがおかしい。
つまり、山本太郎策は、最終的に「インフレ」という形で国民の預貯金の減価を強いる帰結になる可能性が高い。よって、現金資産の多い高齢者ほど悲惨。
フリードマンはこれを「その紙幣を持つすべての人々に対する増税と同じ」と喝破した。つまり、形を変えただけの実質増税なのです。
そりゃそうだ。そもそも国債の償還財源は「未来の税収」なのだから。そのシステムが破綻したら、結局は何らかの形でツケが国民に襲い掛かってくるだけ。
結局「タダ飯はない」と言われる通りなのです。
だいたい、MMTはまだ論争中の仮説にすぎない。
それに依拠して経済政策を打ち出すのは正気の沙汰ではない。
というか、もとから真面目に政策を考えるつもりなどないのかもしれない。
山本太郎「8つの緊急政策」で賛成できるのは・・?
そもそも常識的に考えても、
「財源なんて国債をバンバン発行して借金で賄えばいいんだ、だからどんどん公務員を増やして、他方でどんどん減税してもいいんだ」
というような、そんなうまい話が世の中にあるわけがない。
財政破綻は100%ありえないと言うが、それは表現を変えれば、政府が通貨発行権を悪用して、形だけ破産に見えないように誘導しているだけの話です。
実態としては、そのような政府の紙幣は、市場から見放され、どんどん紙切れに近くなっていく。つまり、借金の担保にされたその国の国民が資産を失うのだ。
だから私は「魔法使いか」と揶揄したわけです。
あまりこういう表現は使いたくないが、有権者の中には、いわゆるB層と言われる人たちがいるらしい。「扇動されやすいお馬鹿な大衆」のような意味らしい。
「よし、公務員は倍増だ、どれだけ費用が増えても問題じゃない、消費税は廃止だ、財源なんて新規国債をバンバン発行すりゃいい! だからオレを総理にしてくれ!」
「山本太郎万歳! 我らが救世主! 安倍政権を倒せ! 万歳、万歳!」
もう、アホかと・・。
糸コンニャクで首でもつれや、というレベルの話。
かつてギリシアの盟主だったアテネでも末期にデマゴーゴスが現れて、結局は国が没落していったそうだが、民主政の末期には、こういう口当たりのよい約束を連発して一部の民衆を熱狂させるような扇動政治家が現れるものなのかもしれない。
さて、私は先の記事で、山本議員の掲げる「8つの緊急政策」のうち、
①消費税廃止
④公務員増
の2つについて取り上げるに留めました。
ついでだから、他の政策についても私の考えを述べておきたいと思う。
②最低賃金1500円(政府補償付)について。
山本太郎はこれを「すぐやる政策」としていますが、私は反対。
というか、近年、二年間に最低賃金を3割弱引き上げた韓国の失敗例があります。
一挙大幅引き上げで、かえって労働者が大量に解雇された。また、中小零細業者の廃業も相次ぎ、雇用の受け皿それ自体も減ってしまった。
山本太郎は“ブレーン”と一緒に政策を練ったらしいが、よほど学習能力がないのか、秘書がボンクラ揃いなのか・・。
その点、立憲民主党は「段階的に1300円に引き上げる」としている。
私はこちらのほうが現実的と見なし、賛成している。
③奨学金徳政令について。
これに関しては「社会人になってからキッチリ返済した人たちとの公平性をどう担保するか」という問題があります。
金利分の帳消しは賛成ですが、元本丸ごと棒引きは再考の余地が高い。
⑤一次産業戸別所得保障について。
私個人は、教育・医療・住宅政策に関しては、社会主義的な政策がベースでもいいと思っていますが、個人の労働成果に関わらず収入を保障するやり方は間違いです。こういうのは逆に社会主義の一番悪いところ。
⑦辺野古基地建設中止について。
読者はお気づきの通り、私はこれまで沖縄での基地反対運動について、今まで一言も触れたことがない。一切批判したことがない。なぜか。
前々から言っているように、次に世界大戦になれば、在日米軍基地の集中する地域は、中ロによる核攻撃の対象になる可能性がある。
今、普天間移転のための辺野古基地建設に反対する人々が何を思って反対しているのかはともかく、私はそういう次元を超えて、将来、沖縄が核攻撃を受ける事態を予測して強く悲憤しているため、どんな運動に対しても一切批判するつもりはありません。
だから、建設中止の賛成反対以前にノーコメント。
⑧原発即時廃止について。
これに関する山本議員のロジックはまあ分かる。ただ、何度も言っていますが、私は基本的に軽水炉を新規建設しないことによる自然消滅派(フェードアウト策)です。
即時廃止は、危険性が証明された「マークⅠ」タイプと、浜岡原発のような極度にリスクの高い地域にある原発にのみ、個別新法で適用されるべきだと考えます。
⑥トンデモ法一括見直しについて。
結局、曲がりなりにもはっきり賛成できるのはコレだけ。
ただし、総論賛成の域で、ケース・バイ・ケースでは意見を異にするかも。
というわけで、「8つの緊急政策」は、政策としては練り直しが必要なものが多いと思います。それともあなたは魔法政治家「ミラクル山本大先生」ですか?
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終戦直後にハイパーインフレになったのは、戦争により供給能力が毀損したためではないでしょうか。
デフレ基調の今の状況で、インフレを懸念し、緊縮財政を継続することは、日本経済を縮小させることはあっても発展させることはないと思いますよ。
MMTも無制限な国債発行を許しているわけではなく、国の供給能力に制限されることをきちんと述べています。
オオカミ少年のごとく「財政破綻が来る」と三十年以上も国民に不安を煽る一方で、増税と緊縮財政ばかりを行なった結果が、今の日本の惨状ではないでしょうか?
ちなみに、あなたのおっしゃるような緊縮財政を継続して破綻に至った事例が過去にあります。それは江戸幕府です。
ちなみに上記の終戦直後の例でも述べたとおり、対内債務が原因でハイパーインフレが発生しているのは、いずれも戦争や内乱などで、国内の供給能力が著しく毀損した場合です。
日本は、1970年以降、対内債務を152倍にも拡大しましたが、インフレになるどころかデフレから脱却できず、国債の長期金利はマイナスにまでなっています。
どうもあなたは運命決定論的な思考があるようで、黙示録的な破滅が来る前提でお話をされてるようですね。
でもそれこそが、悪魔に魅入られた思考方法だと思いますよ。
どうかお気をつけてください。
私は「財政破綻する」「国の借金が〜」(正確には政府の負債)と煽る言説こそ、国を滅ぼす悪質なデマゴーグであり、大衆扇動であると考えています。
(現に多くの国民が、マスコミを通じて上記のような言説を鵜呑みにしています。)
財務省を中心とする上記のような言説の扇動者たちが行なってきた経済政策の結果、今の日本はどうなってますか?
現実をよく見て下さい。
馬鹿馬鹿しい。
緊縮財政などというとネガティブな印象を与えるが、
そもそも税収などの収入の範囲内で予算を組むのがノーマルであって、
国債をバンバン発行して未来から借金するほうが異常。
未来の税収を担保にして、未来の世代に利子付き借金を背負わせるのは、
「今さえ良ければ」
「自分たちさえ良ければ」
という自分勝手で近視眼的な発想の産物に他ならない。
それに「緊縮」というが、
今の日本は完全雇用に近く、決して不景気なわけではない。
これ以上借金を重ねる必要がどこにあるのか?
今の地道な賃上げ努力による漸進的な改善がベター。
消費税なくせ、公務員を倍増しろ、財源は借金でいい、
などと平気で言う山本太郎と仲間達が狂っているだけ。
だいたい、言ったように、
山本策を取ったら、市場の制裁を受けて終わり。
なお、今後は実名でお願いしますw
わざわざ別記事で反論いただいてありがとうございます。
で、今日本はデフレでインフレにするために頑張るって言ってるんですよね。なんでいきなりハイパーインフレの心配してるんですかw
市場が国債買わなくなるって日銀が買えば終わりでしょww
自国通貨建てで財政破綻は100%あり得ません。どこの国の話をしているんですか?ギリシャ?(自国通貨建てじゃないしなぁ)
そもそもね、政府の借金(国債)は誰か資産になるんです。国が建物を作ったら誰かに支払いをしますよね。支払われた企業の売上になるんです。そこから材料や人件費を支払います。余ったお金が企業の利益になる。
今この財政出動が少なすぎるって山本議員は訴えているわけです。
いわゆる安倍デフレですね。
極端なインフレにしないように税金があるんじゃないですか。なんか勘違いしてますよね、山田さん。
>日銀が買えば終わりでしょww
ま、こういうレベルなんでしょうね。
そもそも自分の考えであるかのように言っていけど、
三橋・高橋らのコピーというのが情けないがw
とりあえず、これからは
どこの誰か、キッチリと欄で公開してから、お願いしますw
今の日本経済は、例えるなら栄養失調で死にそうな状態です。
ですから、点滴を打ったり、栄養のある物を食べるべきだ、という意味で積極財政が必要であると考えます。
それに対し、「そんなことしたら肥満になるだろうが!第一、点滴するお金も無い!栄養失調なんか放っておけ!」と反論しているのがあなたのような緊縮財政主義者です。
それが本当に正しい事だと思いますか?
今は税収60兆円でバブル期を越えて過去最高で、
しかもそれに国債発行を足して過去最高の予算を歳出に投じていて、
上場企業の業績も過去最高で、
ほぼ完全雇用の状態ですが、
あなたのいう「栄養失調の根拠」は何でしょうか?
まず自身の主張の根拠を示してください。
私は最低時給を上げるなどの地道な改善策で行くべきだと思いますが。
栄養失調だとする根拠は、20年緊縮財政を続けてきたという実績(消費税3→8%、公共事業が半分以下に減らされた等)と、その結果、ちょうどその20年でGDPが全く成長していないという結果です。
GDP成長率は世界最低です。貴方は国債をばんばん刷る事が異常だとおっしゃいますが、負債が継続的に増えることは世界的に見て当たり前の事です。
それよりGDPが成長してない事がよっぽど異常なのです。
よって、負債が増えることは気にせずに、GDPを成長させる事に全力を注ぐべきだと考えます。財政出動すれば簡単にGDPは増えます。
世界中の国が負債を増やし続けているのに、日本だけが増やしてはいけないという根拠があるなら、教えて頂けたら幸いです。
>世界中の国が負債を増やし続けているのに、日本だけが増やしてはいけないという根拠があるなら、教えて頂けたら幸いです。
質問自体が間違ってるね。
日本の負債は一貫して増え続けている。
日本のGDPが増えなかったのは、バブル崩壊で株・土地の資産1500兆円を失ったのが大きな原因だと思いますよ。
それで消費が冷え、企業が賃金を抑制した。
で、あなたは「緊縮、緊縮」と言って、それをつづけてきたと思い込んでいるが、
事実は、小渕内閣あたりから国債をどんどん刷って公共事業やら補正予算やら組んできたんですよ。
いずれにしても、「日本経済が栄養失調で死にそうな状態」という認識自体が、誇張ですね。
誰か、特定の知識人に、過大な影響を受けていませんか。
あと、もう、あなたは書かないでください。
こっちは何の有益な情報も得られないどころか、時間と労力を取られるばかりで、
はっきりいって迷惑ですので。
問答無用で消さずに、
勝手気ままな意見表面を載せてあげているだけ、ありがたいと思ってください。
あと、補足だが、
歳出で、公共事業費の割合を減らして、社会保障給付金の補填の割合を増やしてきたが、
少子高齢化を思えば、政府の采配は正しかったと思う。
だいたい公共事業を増やしたところで、
今でさえ建設業界は慢性的人手不足。
だから京大の藤井氏あたりがどんどん借金して公共事業やりまくれと
言っているが、机上の空論じゃないかな。