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【第二次朝鮮戦争】アメリカが戦うのは自分自身のためである

出典:Eason Jordan 1994年6月のカーター・金日成会談

さて、朝鮮半島情勢に関して、どうも「ろくでもないシナリオ」というか「陰険な策略」が見えてきたので、数回に分けて全体像を描写したいと思います。

最近、やたらと1994年の第一次核危機と比較して、「戦争になれば今回も同じように韓国や米軍に大量の犠牲者が出るから、第二次朝鮮戦争は結局、回避されるだろう」という論調が多い。前も述べましたが、仮にそれで一時先延ばしになることがあっても、金正恩体制が存続する限り戦争の勃発自体は避けられないというのが私の考え。だから、仮に今年回避されたとしても、来年には結局同じことが繰り返されるでしょう。



第一次核危機に関する公式のストーリー

ちなみに、第一次核危機とは、北朝鮮が秘密裏に核開発している事実が判明したので、時のクリントン米政権が空爆しようとした出来事を指します。その際、北朝鮮は全面戦争をやるぞと脅してきた。当時のペンタゴンは、米軍約5万2千人、韓国軍約49万人、民間人100万以上の犠牲者が出ると試算。当時の金泳三大統領も猛反対(彼は自分が中止させたと吹聴している)。あまりの犠牲の大きさに、クリントン大統領は攻撃を断念した。代わってカーター元大統領が特使として訪朝し、金日成とトップ会談。核開発を断念する見返りに、米国などが北朝鮮に対して軽水炉・重油供与などのエネルギー支援を与える等の合意が成立し、ギリギリで戦争が回避された・・そういう内容です。

このストーリーは今、盛んに引用されている。だから今回も犠牲が大きいから戦争は回避されるのだ、と・・。しかし、前にも言いましたが、この種の公式発表は「表向きの理由」であって、それが本当にメインの理由だったのか、私は疑っている。

というのも、この記事でも詳述しましたが、クリントン大統領はそもそも「影の政府」の使用人です。ずっと田舎のアーカンソー州知事一筋でしたが、突然「雲の上」から引き抜かれました。戦争を始めたりやめたりする権限なんか最初からあるわけがない。同じ記事にカーターの事も記していますが、カーターもまたビルダーバーグから引き抜かれた使用人です。ましてや金泳三氏の“大活躍”など、ただのナンセンスです。

だいたい朝鮮半島での戦争を一番頂点のところで決めている連中は、かつて数百万の犠牲者を出した朝鮮戦争を引き起こした張本人です。原爆投下で数十万もの日本人を虐殺した連中です。彼らは米兵の命ですら何とも思っていない。そんな連中が人命に配慮するはずがない。だから、犠牲の大きさは一要因に過ぎず、主な理由はまったく別のところにあったのだろうと推測される。案外、湾岸戦争が終わったばかりだったので、「ボーナスはしばらく取っておこう」という程度の考えだったのかもしれない。

今回の戦争は米国の内部理由から起きようとしている

話を戻します。要は、1994年の朝鮮半島危機と今回の危機との大きな違いは、今回が「アメリカ自身の安全保障問題である」という点です。

つまり、実質「米朝戦争」だということです。

よって、トランプ政権としては、基本的に自国の安全保障のために動いているわけですから、仮に上の「第一次核危機に関する公式ストーリー」を信じるとしても、今回はそれとは同列のケースとして論じられないということです。

おそらく、アメリカは米本土以前にグアム島が北朝鮮の弾道ミサイルの射程内に入ることすら非常に嫌っている。というのも、グアムの基地は、北朝鮮だけでなく、将来の米中戦争の際にも「要」となるからです。

私自身は、中国は旧ソ連と同じ「自壊」の道を歩むと思っていますが、アメリカとしては、万一の開戦を想定すれば、ここでグアムを失うわけにはいきません。

現在、北朝鮮の弾道ミサイルは、射程1300キロの「ノドン」までが正確で、その上の射程約4千キロの「ムスダン」クラスになると、極めて不安定です。ムスダンは実戦配備していますが、事実上の未完成兵器です。で、このムスダン級になると、グアムを核攻撃可能になるわけです。また、SLBM(潜水艦発射型)なら、ムスダンよりも射程の短いミサイルでも十分にグアムを狙うことが可能になります。

このように、1994年の核危機とは異なり、今回はもはやアメリカにとって自国の安全保障のかかった懸案だということです。それゆえ、アメリカは韓国側の「許可」とか「容認」とか、そんなものは一切必要としない。「これはオレの問題だ、口出しするな」でおしまい。だいたい戦時にあっては、韓国軍は事実上、米軍の一部隊でしかない。

しかも、それは強要したものではなく、朝鮮戦争時に指揮権を投げ捨てた李承晩のせいです。さらに戦時作戦統制権の返還を「後にしてくれ」とお願いした韓国側のせい。

ただし、次の韓国大統領候補として有力な文在寅(ムン・ジェイン)氏は、その戦時作戦統制権を取り戻そうとしていますから、彼の当選後は現在の米韓の軍事作戦に混乱を招くこと必至です。だから、アメリカとしては、彼が当選する前に決着をつけたいのではないか、というのは一つの有力な見方です。もちろん、アメリカはその後に攻撃のチャンスを失うわけではなく、「いったん在韓米軍撤退→アチソンライン方式」という手もある。あるいは、もはや自国の安保問題ですから「勝手に単独開戦」もありでしょう。

次回に説明しますが、私的には、意外と、わざと文在寅(ムン・ジェイン)当選後に開戦にもっていくのではないかと、睨んでいます。

その理由は、彼があのノ・ムヒョン氏の後継者だからです。

極秘情報ならぬ私の極秘妄想

それはそうと、私の極秘“妄想”と断っておきますが、グアムのアンダーソン基地にはすでに小型の核兵器が持ち込まれているのではないでしょうか。

そして、いつでも爆撃機に搭載できるようにスタンバイされている。どうやら第二波以降の攻撃の時から使うつもりらしい。

つまり、米軍は最初からファースト・ストライクで金正恩を仕留めるつもりはない。どうやら今回の第二次朝鮮戦争は、核戦争になるように設定されているようだ。

Takaaki Yamada: