まずは速報から先に。
2017年11月29日未明、北朝鮮が過去最大級の弾道ミサイルを発射しました。
なんでも新型ICBM「火星15」とか。
ミサイルは高度4475キロに達し、約53分にわたり、950キロ飛行したそうです。
朝鮮中央テレビは、米本土全域を攻撃でき、核弾頭装着が可能だと説明しています。
ちょっとこれまでの経緯を説明すると、
第一に、9月3日、北朝鮮は水爆実験を成功させました。広島型の10倍の威力です。一説によると、この成功を受けて水爆弾頭の量産に入ったとも言われます。
第二に、今回の発射実験で米本土を確実に射程に収めるICBMを開発しました。
下は2017年7月に発射した「火星14」型ミサイルです。
しかも濁った黒煙がない。これは液体燃料の証。
ただし、液体燃料注入方式だと、いろいろと発射準備がかかる。それも一つの要因として、日米当局は事前に今回の発射の兆候を察知していました。
しかし、ノドンやスカッドは固体燃料型が多いので、実戦になればいきなり撃たれます。地下や坑道から移動式発射車両が出てきて、すぐにセッティングする格好です。
第三に、弾頭の大気圏再突入技術ですが、この進展具合がよく判りません。北朝鮮はクリアしたと発表していますが、専門家の見方は割れています。
もっとも、以前に触れましたが、大気圏「外」でも、EMP攻撃は可能です。
以上の三つの点により、北朝鮮は戦略目標である「米本土全域を射程に収めるICBM」の完成にたどり着くことができます。
しかし、第一と第二にはクリアしましたが、第三が不明瞭です。ま、どちらにせよ、北朝鮮は目的の達成まで「あと一歩」のところに来たわけです。
2017年1月2日の「させてたまるか!」ツイートに着目せよ
さて、今年の年頭、金正恩が「新年の辞」を公表しました。
それに対して大統領就任直前のトランプ氏がツイートしました。
以下がその時の記事でした。
まず、「北朝鮮がアメリカに到達可能な核兵器の開発の最終ステージにいる」と述べている。just statedというのは「まさにその状態にある」という意味でしょう。その危機的状況に対して、トランプ氏は「It won’t happen!」という己の言葉を続けている。数紙の新聞を見たが、どれも「それは起きない!」というふうに直訳している。(略)
日本語に翻訳するなら、「そうはさせない!」とか「させてたまるか!」というニュアンスに近いのではないだろうか。
この後、トランプ政権が発足しました。そして外交面では北朝鮮問題を最優先課題に位置づけ、今日まで来ています。
その原点が、この「そうはさせない!」という彼の決意です。
アメリカにしてみれば、何もしなくても、北朝鮮の巨大な核・ミサイル開発体制は自動的に進んでいく。そして、米本土必中のICBMが完成する。しかも、北朝鮮は世界中の反米反シオニスト国家や勢力相手に商売するだろう。核拡散の悪夢です。
アメリカが北朝鮮に妥協しても、結局は同じ事。なぜなら、反米反シオニスト国家は「核を持って恫喝すれば、最終的にアメリカはひれ伏す」と高をくくり、一斉に北朝鮮の真似を始めるからです。だから、かえって悪しき前例を作る自縄自縛になる。
だからアメリカが北朝鮮の核保有を認めると言っている専門家は馬鹿です。
対して、北朝鮮にしてみれば、9月の「収入9割り断ち」の国連制裁により、以後、じりじりと死んでゆく立場にあります。何もしなくても最後には死ぬわけです。
アメリカが対話の条件として掲げる「完全かつ検証可能な全面的非核化」は、金正恩独裁体制にとって自殺行為なので、選択肢としてはありえないでしょう。
そもそも、外交というのは主権国家同士の対等な交渉であり、一方が一方に対して一方的に要求を飲ませるものでありません。だからこれはハルノートと同種のもの。
以上のように見ると、米朝両国ともすでに後ろへ引けない立場でしょう。
いや、そもそも最初からその気はない。
アメリカは今回、ブッシュ時代の対イラク戦争とは異なり、開戦の「正当性」というものにことのほか注意を払って、一つずつ大義名分を積み上げている。外交努力のアピールもウザイくらい。そうまでして戦後の国際世論を見据える理由は・・分かりますよね。
北朝鮮もそれを意識していて、すでに戦時体制へ移行している。9月の水爆実験を経て、水爆量産化の道筋をつけたとも言われている。
それは真っ先に日本向けのスカッドやノドンに搭載されるわけです。いや、もう「搭載済み」か・・。最近は北朝鮮自身も日本を核攻撃することを隠さなくなった。
さらに、私たちは上空から降ってくるミサイルだけでなく、BC兵器にも注意しなければならない。突然、天然痘や炭疽菌の患者が大量発生したら、それは都心の人混みや電車の中などで北朝鮮の工作員が生物兵器を使用したというサインです。
意外と北朝鮮側のそういった軽挙なテロが開戦の引き金になるかもしれない。
トランプが「そうはさせない!」を実行する時が近づいている。