(私は現在、何の因果からか、「リアル情報」と「超自然情報」の両面から、近未来の世界大戦を予測する作業に没頭しています。その結果、まず極東と中東で局地戦が始まり、それが次第に米ロの代理戦争と化していって、最終的に世界大戦へと繋がっていくのではないかと心配しています。しかも、日本の運命に関してある信じ難い予測が浮上し、ひどく懸念しております。このサイトを立ち上げたのは、一つにはそのことを広く訴えかけるためです。結論から言うと、誰も信じないような悲惨な運命です。私はそれを回避する方法も考えましたが、たとえそれが有効な対策であっても、政治的・現実的に可能かどうかは、まったくの別問題です。実際、私の考える対策は、人々の支持を1%も得られないような中身です。よって今のところ、その悲惨な運命は実現してしまうのではないかと、胸が潰れる想いでいます。最近の一連の記事はその極東情勢に関する「リアル情報」です。「超自然情報」については「新世界より」のほうで触れていく予定です)
2016年2月に朝鮮半島情勢が根本から変化した理由
さて、本題。前回触れたように、北朝鮮の核・ミサイル開発の成果は、地下の交流を通じて、世界中の反米国家や組織に拡散していく可能性がある。その一つとして有力視されるのが、すでに弾道ミサイルの取引実績のあるイランだ。それゆえイスラエルは自国の安全保障上、事実上イランの代理としてそれらの大量破壊兵器を開発しているに等しい北朝鮮の現体制を崩壊させる必要があると考えている。
当然ながら、同じ懸念はアメリカも共有している。そして、そのアメリカの忍耐が明確に一線を超えたのが、2016年2月に北朝鮮が実施した長距離弾道ミサイルの発射実験だったのではないか。韓国国防省によると、ミサイルの射程は米東海岸に届く1万2千キロだという。この情報には、とてつもない政治的重要性がある。
北朝鮮のミサイルとして、米本土の東部沿岸を標的に収めたのは、初めてのことだ。ただし、技術的にはまだ不安定のようだ。だが、北朝鮮はかつて準中距離ミサイルのノドンの改良を重ねて、次第に兵器として安定させていった実績がある。つまり、全米が北朝鮮の長距離弾道ミサイルの射程圏内に入るのは、基本的に「時間の問題」というわけだ。そしてその弾頭に核爆弾を装備するというのが、まさに彼らの最終目的なのである。
私は「ブッシュドクトリンが招いた米国の自業自得」で、次のように述べた。
「自国の安全保障を脅かす存在は先制攻撃してよい」というブッシュドクトリンの論理からすれば、当然、北朝鮮もまた米本土を先制攻撃しても許されるという理屈になる。(略)米にしてみれば、今度は自分が核で先制攻撃されかねない立場になった・・・それが今年2月以降の最新の情勢である。
私の知る限り誰も解説していないが、この2月の長距離ミサイル発射実験は「ブッシュドクトリンの意趣返し」だったに違いない。9.11後のアメリカは「悪の枢軸をぶっ殺す」と公言していた。そして、イラクのバクダッドを攻め落とした後、「次はおまえだ、北朝鮮!」と宣言していたのである。これは当時の金正日政権にしてみれば死刑宣告と同じだ。だから、北朝鮮は必死で核爆弾と長距離ミサイルの開発に挑戦したのだ。その彼らの悲願がようやく叶おうとしているのが、今年2016年の状況なのである。
「たとえ国際社会を敵に回そうとも国の独立のためには核武装する」
2015年10月に首都平壌で行われた、この北朝鮮の軍事パレードを見てほしい。映像の最後のほうに、トレーラーに載った巨大なミサイルが登場する。移動式の大陸間弾道ミサイルではないかと言われている。これはアメリカに向けた示威行為以外の何者でもない。
パレードではセーラー服姿の女学生までが行進している。映像を見る限り、軍靴の足音が聴こえまくりなのだが、耳に入らない人間もいるらしい。そういえば、北朝鮮の弾道ミサイルの発射実験を指して「人工衛星打ち上げ用のロケットだ」などと擁護していた馬鹿が少なくなかった。北朝鮮自身がもはや隠さなくなったのだから、彼らは俗に「二階に上がって梯子を外された」格好で、まことに哀れというほかない。
実際は戦争に反対する者ほど、軍事の現実を直視できなければならないわけで、幻聴と幻覚を患った者は退場したほうが運動全体のためだろう。
北朝鮮の「米帝憎し」は1950年代の朝鮮戦争から続くものだ。彼らにしてみれば、南朝鮮を滅亡寸前まで追いやったのに、米軍が介入したせいで統一を逃した。ブッシュ政権時代には公然と脅迫を受け、今また米韓合同軍事演習で「先制攻撃」や「斬首作戦」といった挑発を受けている。まさに恨み骨髄に違いない。
だから、彼らはアメリカのワシントンを狙える長距離核ミサイルを必死になって最優先で開発してきた。「これさえあればアメリカからも先制攻撃されないし、中国からも侵略されることはない」という考えなのだろう(むろん中国向けはもっと射程の短いタイプで足りる)。
はっきり言って、国家の安全保障政策としては、これ以上まともな感覚はない。国際社会やアメリカに好かれながら死んでいく道と、それらを敵に回しでも生き残る道の、どちらかを選べと問われたら、私だって迷わず前者を選ぶ。もし私が朝鮮人だったら、「たとえ国際社会を敵に回そうとも国の独立のためには核武装する」と考えるだろうし、金正恩を朝鮮民族の歴史における大英雄と見なすかもしれない。
もっとも、この独裁者は自身と体制の安泰を得るのが目的だろうが。
アメリカは数年以内に北朝鮮をやる
むろん、老獪なアメリカのこと。きっちり北朝鮮を処断する計画を立てている。
第一に、あと数年もしたら、ワシントンやその他の東部の都市を正確に攻撃可能な核ミサイルが完成してもおかしくはない。第二に、その兵器と技術がその他の反米国家や組織にばら撒かれる事態は何としても阻止しなければならない。
第一のリスクは北朝鮮一国が相手だが、第二の拡散リスクは不特定多数が相手のため、そもそもコントロール不可能だ。北朝鮮自身、外貨稼ぎ以外にも世界の反米勢力を後押ししたいという思惑もあるはずだ。仮に地球上のあちこちに分散するそういった敵から、一斉に核ミサイルで狙われたら、米の国防戦略は根底からひっくり返る。アメリカはそれを極度に恐れている。オバマ大統領は核安保に熱意を見せているが、別に“世界平和”というより、自国の安全保障のためにやっているにすぎない。やはり、あまりに無茶苦茶な空爆などをやってきたので、彼らも本心では報復が怖いのだ。
逆にいえば、長距離核ミサイルの技術が完全に確立するまでが対北攻撃の期限となる。おそらく、あと数年くらいがリミットと考えられる。アメリカはそれまでに決着をつけたいと考えているに違いない。