みなさん、こんにちは。
私は3・11直後に「今イノベーションが盛んなのは自家発電の分野である」として「電力の個産個消時代」および消費者の「電力自立の時代」が来ると書きました。
普及の目安は「それが系統電力より経済的か否か」です。
むろん、市場競争には、価格だけでなく、質やサービスも含まれます。
ただし、家電製品や自動車と異なり、電気にはそもそも品質の差がありません。
といっても、精密部品やハイテクの工場にとっては別です。電気周波数はモーターの回転と同期するため、周波数が定常でなければならず、そういう意味での「品質」の差は存在しており、その点において日本の電力会社はたしかに世界有数です。
印刷に例えるとやすい。モーターが一瞬変な動きをすると、印刷が一斉にズレる。精密部品やハイテクの工場にとっては、それが不良品に繋がるわけです。
ただし、それは製造業の話であって、一般家庭にはあまり関係ありません。
だから、われわれにとっては「1kWhあたりの価格がいくらか」が最重要です。
あとはめったに停電しないこと(=サービス面)くらいでしょうか。
そして今、自家発電は電力料金面で圧倒的な競争力を獲得しつつあります。
最近、私は次のような記事を書きました。
太陽光発電と風力発電に関しては、安い自作キットが普通にアマゾンで売られるようになりました。素人には難しいとされた配線も、たいへん分かり易くなっています。
上の記事では、950Wの太陽光と風力のハイブリッド・システムも紹介しました。
なんと、価格は約13万円。
そして、suaoki製の17、8万円の大容量蓄電池も紹介しました。
非常に単純化すれば、このシステムを3つと、大き目の蓄電池を設置すれば(むろん設置スペースがあるという前提で)、かなりの一般家庭が電力自立可能ではないか。
しめて56、7万円。
蓄電池をさらに1kWh強追加するとして、約75万円。
設置・配線がやはり素人には難しいという人は、工事屋さんや便利屋さんに10万円以下で請け負ってもらえばいい。さらにその分がプラスになる。
対して、電力会社との契約なら、20年間の電気料金は、平均的な家庭で2~300万円にはなる。比較すると、電力自立は半額以下。
圧倒的なコストパフォーマンスと言えるでしょう。
問題は、これが先端情報のため、大半の人がこの事実を知らないということです。
しかし、今はまだ世間の95%以上は気づいていないとしても、「グリッドオフのほうがはるかに経済的」という真実は、数年も待たずに周知されるだろう。
私は約8年前に「遅くとも両者の経済性は十年以内にクロスオーバーする」と予測し、「電力は個産個消時代へと向かっていく」と結論しましたが、どうやらその入り口に差し掛かったようです。「イノベーション」と「市場」が人々を新たな世界へと連れて行く。
そうなると、今のエアコンの設置・撤去のように、電気工事士が普通に「5、6万円でシステムの設置を請け負います」という時代になるだろう。
電気自動車と組み合わせてガソリンともさよなら
ただし、数kWh程度のバッテリーだと、夜間に風が吹かない限り、エアコンの使用にかなり制限を受けるのも事実です。
そこで、北米では先行発売されていましたが、テスラの家庭用蓄電システム「Powerwall」(パワーウォール)という選択肢もある。今年春から日本でも発売されます。
蓄電容量はなんと13.5kWh。それでいて壁に設置できるサイズ。
本体価格だけなら82万5千円ですが、付帯設備込みで99万円。
この後にはさらに高性能な「Powerwall 2」の発売も控えています。
ただし、これが賢い選択かというと、見方によっては微妙です。
私だったらEVを買ったほうがいいと思うかもしれない。
日産の「リーフe+」は、いわずと知れた第2世代リーフですが、62kWhのバッテリー容量があり、満充電時の航続距離はモードにより458kmあります。
初代は40kWhだったので、ほぼ1・5倍。
このEV(62kWhの車載バッテリー)と自宅を連系すれば、使い方次第で、テスラのパワーウォールを装備したのと同じ効果が得られます。
その上、「自家製電気」でマイカーまで走らせることができる。
すると、電力会社だけでなく、ガソリンともサヨナラできるかもしれません。
ガスもやめて「オール電化」にすれば、化石燃料をまったく使用しないライフスタイルになります。とくに比較的割高なプロパンガス世帯にとって助かる。東京でも東村山市あたりまで行くとプロパンガスになり、ガス代が異様に高くなります。
こうして、「天然ガス」や「石油」を使用しなくなっていく。
まさに家庭から始まる脱化石エネルギーであり、地球温暖化対策です。
エネルギー強者と弱者が生まれる
あるいは、テスラのパワーウォールやニッサンEVが高価すぎるという人も中にはいるだろう。そういう人は、ガス会社との契約は継続し、0・5から1kW程度の「ガス発電機」を装備する手もある。家庭用のスマートエネ制御と連結し、電力供給が逼迫したピンチの時にオートで作動してくれるタイプです。これは2、30万円であります。
ガスはまた給湯や調理などの熱供給にメリットがあることは言うまでもありません。
同じ電力自立でも、大容量蓄電池を入れてオール電化にするか、ガスだけ接続したままにして、自動制御で定常運転するレシプロ発電機を導入するか、選択肢です。
また「ついでに車をEVにするか」なら、追いガツオならぬ追い勝ち組になるかも。
こういった自己完結の電力システムが普及していくにつれ、家電製品も直流仕様が多くなっていくだろう。今は発電所由来の交流を直流にして蓄電して、それをまた交流に直して・・という無駄なことをやっています。家庭用蓄電池はその典型です。
で、PCを使う時は、それをまた直流に変換している(笑)。
自家発から蓄電池、家電製品まで、全部「直→直」にすればかなり無駄を省けます。素人の私からすると、エアコンや冷蔵庫をどうしていくのか、難しいとは思うけど。
ところで、こういった電力自立ができるのは、資金もさることながら、比較的環境の恵まれた土地で、自宅を所有する世帯に限られます。
だから、比較的土地が閑散としている郊外の一戸建てから増えていく。
しかし、あるエリアが点点点とグリッドオフしていく形なので、電力会社的には、従来の送電・変電・配電設備などのインフラは、ほぼ維持することが求められる。
しかも、人口減少と相まって、電力の顧客は減る一方。負の相乗効果です。
その上、FIT以降、グリッドの増強を強いられている。
つまり、売上は減るが、維持費は、現状維持どころか、逆に増えていく。
その分は誰に降りかかるのか。電力自立したくともできない人々です。
都会のマンションやアパートなどに住む消費者です。
いずれにしても、これから「電力自立の増加→電気料金のさらなる値上げ→さらなる電力自立の加速」というスパイラルが始まっていくだろう。
こうなると、電力会社は最終的にオワコンの運命です。恐竜と同じ。
対して、電力の「個産個消」時代の波に乗れる世帯は、大いに家計が助かっていく。
逆に波に乗りたくとも乗れない消費者は、毎年のように電気料金の値上げに直面することになる。悲鳴が上がる。彼らは「エネルギー弱者」とか呼ばれるだろう。
つまり、エネルギーを軸とした「格差」が社会に生まれる。
今年か、来年あたりが、その元年でしょう。
過去記事にあるように、私は8年も前に、ここまで予期していた。
だから、私はフリエネで人々と社会を救わなければならないと考えている。