第二次朝鮮戦争は、歴史上類のない、特異な戦争となると、私は予測する。
それは主に二つの特徴があると私は述べた。
今回は「二つ目」。ここからが、この戦争のいっそう異様な展開だ。
言ったように、開戦すれば北朝鮮が長距離砲やロケット砲でソウルを壊滅させるという一般的な懸念、およびそれをどう防ぐかという、バノンの言った「方程式」そのものは、ハイテク兵器の一挙集中・大量投入作戦により、ある程度、解決される。
当然、そういった被害の光景はあるが、想像していたよりも少ない。
その代わり、主として別の光景を見ることになる。
米軍が極端に無人化された戦闘を行うことに対して、北朝鮮側は逆に極めて原始的というか、人間力に頼った反撃に打って出るというふうに私は予想する。
猛爆撃を生き延びた朝鮮人民軍はどこに活路を求めるか?
しかも、指揮を執るのは「斬首作戦」を生き延びた金正恩その人かもしれない。
私は今回の軍事作戦では、北朝鮮の核・弾道ミサイル施設に対する「サージカル・アタック」そのものは、ほとんどうまくいくと思うが、しかし、金正恩指導部を除去する「斬首作戦」は当初失敗すると思っている。
この点では、やはり北朝鮮を舐めすぎている。例のブッシュ政権のイラク侵攻を目の当たりにして、故・金正日はさらに大深度の軍事施設の建設を行ったという。ここに大量破壊兵器や持久戦に耐えられるだけの物資を貯蔵備蓄していると思われる。
しかも、地下は長大なネットワークになり、独立した発電所も持っているはずだ。だから地表は破壊されも、指導部と精鋭部隊は地下で生き延びる。
過去2記事に記したように、朝鮮人民軍はそもそも地表で活動することすら難しい。夜中にコソコソと地下陣地から這い出てきても、すぐに無人機から攻撃される。
つまり、北朝鮮国内の地表では、何をしても米軍の「的」になるだけだ。
ならば、どうするか? 彼らは、まったく知られていない地下トンネルを使って、韓国内に直接出て来るはずだ。しかも、ソウルの近郊から続々と沸いてくる。
ちょうど、追い詰められたネズミの軍団が、地下道を通って地表に這い出て来る形だ。しかも、その軍団の中には、通常の人民軍部隊だけでなく、韓国軍の軍服を着た部隊や、一般市民に化けた部隊までがいるので、相当めちゃくちゃな戦いになるだろう。
当然、誰が味方で誰が敵か分からなくなれば、凄惨な市街戦・白兵戦になることも予想される。ただ、彼らの目的そのものは、はっきりしている。
おそらく、彼らが目指すのは、ソウルの電撃占領だ。しかも、米韓軍が容易に手出しできないよう、大量の市民を人質にしようとするだろう。
白昼の首都占領作戦と悲劇的な結末の可能性
それを考えると、彼らは役所が開いている白昼に「ソウル人質占領作戦」を決行する可能性が高い。企業や学校や病院すらも人質作戦の対象になるかもしれない。
まず、開戦と同時に、日韓に伏せている工作員によるテロや後方かく乱があるはずだ。非常に恐ろしいのは、BC兵器による市民や都市部を狙った攻撃である。
そのため、首都ソウルを守る米韓軍は、異常なほど緊張した状態に置かれる。朝鮮人民軍はそこへ陽動作戦を仕掛けるだろう。潜入済みの工作員や部隊によるものかもしれないし、一部の人民軍がいきなり出現して派手な戦闘をやらかすこともありえる。
こうして米韓軍をいったん引き付けておいて、首都中枢が比較的手薄になった間隙を見計らって、本隊はまったく別のトンネルから出現することになるだろう。
怖いのは、大量のBC兵器だけでなく、原爆まで持ち込むことだ。そうすれば首都を丸ごと人質にできる。もしかして、すでに部品を持ち込んでいるかもしれない・・。
だから、本当に怖いのは長距離砲やロケット砲よりも突然現れる「兵士」なのだ。
今回、空襲警報が鳴ったら、市民は地下街に避難する手はずになっている。在韓日本人もそうする。しかし、それで本当に難を逃れることができるのだろうか。
日本人・アメリカ人はいい人質になる。しかし、国家がそんな卑劣な作戦に屈するわけにはいかないから、結局は涙を飲んでの見殺しになるだろう。
北朝鮮も人質が役に立たないと知れば、むしろ報復の対象にする可能性が高い。つまり、安全だとタカをくくっていると「皆殺し」になるリスクもある。
このように、米軍の超ハイテク戦法に対して、北朝鮮側は極めて人間力的な戦術に打って出る可能性がある。地下に避難したら、かえって危険な可能性もある。
結局、米韓軍としては、大量の地上部隊を投入して市街戦を戦い抜くしか道はない。だから、最終的に侵攻部隊は駆逐されるだろう。米韓軍の勝利に疑いはない。
だが、結末は悲劇的かもしれない。つまり、原爆の自殺的使用である・・。
以上のように、第二次朝鮮戦争が勃発した場合、ハイテク戦術と原始的戦術の対照的な二面性のある、前代未聞といっていい、極めて異様な戦いになる可能性がある。
単なる私の妄想やフィクションであることを切に願う。