トランプ米大統領は1月30日に一般教書演説を行った。
演説の前のほうは、雇用問題や移民問題などの国内問題に当てていて、後ろの三分の一のところが安全保障・対外政策の内容になっている。
その前半がイスラム国やイランなどの中東関連で、後半が北朝鮮関連。つまり、北朝鮮の問題は演説の一番最後のほうで取り上げられている。しかし、それは重要度が低いからではなく、むしろ今回のスピーチにおける「トリ」の位置づけになっている。
そのパートに入ると、トランプは開口一番、こう言い放った。
北朝鮮の残忍な独裁政権ほど自国民を徹底的かつ容赦なく抑圧してきた体制はない。
そして、北朝鮮の核ミサイルの脅威を訴え、こう自身の姿勢を明確にした。
われわれは過去の経験から現状に自己満足し譲歩を重ねることは攻撃と挑発しか招かないと学んだ。
われわれを非常に危険な立場に置いてしまった過去の諸政権の過ちを私は繰り返すまい。
それから北朝鮮の体制がいかに「邪悪」かを説明する。その際に例として挙げられたのが、故ワームビア氏と、脱北者のジ・ソンホ氏。
紹介を受けたジ・ソンホ氏は、人々の拍手の中、松葉杖を高らかに掲げた。
トランプは彼を引き合いに出して、「すべての人の魂が自由の中で暮らしたいと切望していることの証拠」だとし、自由を守るために戦ってきたワシントンやリンカーンなどの先人たちとアメリカの歴史、またその記念像について言及した。
そして、次のように締めくくった。
われわれは英雄が過去にのみ存在するような国民ではない。(略)われわれの国は永遠に安全で強く、誇り高く、強力で自由であり続ける。ありがとう。アメリカに神の祝福を。
私には暗に「人々の自由のために北朝鮮と戦うぞ」と訴えているように聞こえる。
内容はスピーチライターが書いたものだが、いつもながら格調が高い。
対して、安倍総理は、日本の歴代総理の中では演説がうまいほうだが、今ひとつ力強さに欠ける。ただし、野党の党首となると、はじめから問題外に思える。
演説が格調高いのはヒラリーも同じ。あのレベルの女性議員は日本にはいない。日本の場合、女性議員の「数」以前に「質の低さ」が問題にされるべきだと思う。
残念ですが、スピーチのレベルに、彼我の「人間力」の差がにじみ出ています。
北朝鮮は人権や民主主義とは対極にある世界最悪の独裁国家である
当サイトでは、これ以外にも、過去二回のトランプ演説を解説してきた。
トランプは、国連総会で、韓国国会で、そしてアメリカ議会で、同じことを世界に訴えている。それは「北朝鮮の独裁体制がいかに邪悪で残忍か」ということ。
昨年の大きな変化は、金正恩体制が国民を飢えさせたり好き放題に殺したりしている事実を、欧米メディアが積極的に取り上げるようになったことだ。
実際、北朝鮮は独裁政権とその取り巻き特権階級の私利私欲のための国家だ。そういう体制を維持し正当化するため、彼らは世界に稀に見る階級社会をつくり、下層に固定された人々を事実上の奴隷として搾取してきた。また、大衆に対しては教育やメディアを通して徹底した洗脳を行い、反体制的な人物を厳しく取り締まっている。
なぜ朝鮮人が主体思想(チュチェ思想)なるものを基幹にして“自主的に”国を創ると、こういうアブノーマルな国家が出来てしまうのかは私にも分からないが、はっきりしているのは500年続いた李朝も類似の体制であり、その意味でもともと朝鮮の歴史に原型があったのは間違いない。それがスターリン的な近代の全体主義システムと結びついて、世にも奇怪な国家がこの20世紀に誕生した。奇妙なことに、朝鮮人韓国人が好んで振り回す“人類の普遍的道徳”からすると、これほど人道に反する邪悪な国家もないはずだが、彼ら的にはどれほど大衆の人権が毀損されようとも気にならないらしい。
いずれにせよ、北は人権や民主主義とは対極にある最悪の暗黒国家である。とくに反体制の烙印を押された政治犯に対する拷問その他の仕打ちは想像を絶する酷さだ。民衆から選ばれないある私的権力集団が、大衆に対してこれほどの圧政と暴力を好き放題に振るっている例は、今では欧米だけでなくアジアにも他に存在しない。
こんな異様な独裁国家にシンパシーを覚える部外者は、もはや地上には、在日朝鮮人と、日韓の左派・リベラル派くらいしか残されていない。こんな連中が「安倍独裁政権ガー」などと目を吊り上げて怒っているわけだから、もともと頭がおかしいようだ。
ただし、在日コリアンの場合は確信犯的な独裁体制の共犯者だし、また韓国の左派・リベラル派には民族主義への共感という事情がある。理解し難いのは日本人だ。どうやら“社会主義”への共感と戦前への贖罪意識の入り混じったイデオロギーからシンパシーを覚えるらしい。こういう連中が国内で今も確信犯の在日コリアンと一緒になって独裁政権の御用ジャーナリズムや社民・民進の政治家をやったりしているが、「戦後」には独裁政権の人道犯罪の共犯者として、間違いなく社会的制裁を受けることになるだろう。
「戦後」には圧政から解放された9割の被差別・被搾取階級の朝鮮人が社会の主導権を握るだろうから、どれほど容赦のない追求になるか、見ものだ。
つまり、共犯者をやってきた在日コリアンは、同じ朝鮮人から裁かれるわけだ。もはやこの期に及んで旗色を変えることは許されない。まあ、覚悟を決めることだ。
日本人でせっせと人道犯罪の共犯者をやってきた馬鹿連中は、恨むなら、朝鮮人のネオナチや工作員が民族エゴから吹聴している勝手な自己正当化や対日非難のデマ・戯言を真に受けてしまった、己の客観性のない善意と脳ミソを恨むことだ。
開戦の大義名分は完璧であり、かつ政治戦と経済戦にすでに勝利している米国
ともあれ、この度、米大統領が先頭に立って合衆国が公式に北朝鮮に対して繰り返し「道徳的悪者」の烙印を押した事実は重い。なぜなら、アメリカ人が戦争をする際にもっと重要な内的動機付けとなり、また対外的にも最強の大義名分となるからだ。
平たく言えば、アメリカ人が三度のメシよりも好きな「正義の戦い」の根拠となる。しかも、自由と民主主義と圧政に苦しむ人々のための戦いであるだけでなく、金正恩政権はアメリカを直接脅しているので今回は「自衛のための戦い」でもある。国内世論を盛り上げる上では、故ワームビア氏の一件も非常に大きな役割を果たしたようだ。
すでに指摘されていて、二番煎じになってしまうが、1月30日の一般教書演説はイラク開戦前のブッシュ演説と似ている。やはりトランプは対外的にはネオコン的政権なのだ。しかも、対外的に説得できるだけの十分な大義名分を確立しないまま先制攻撃に踏み切って国際社会の批判を招いたブッシュ時代の過ちを十分に考慮している。
トランプ政権はその教訓を元に、時間をかけて北朝鮮をうまく悪者にして国際世論の支持を取り付け、対北対応で中ロを半ば分断し、すでに敵を孤立化させた。
さらに、昨年の輸出収入9割断ちという「9・11」制裁以来、北朝鮮の苦境が伝えられている。弾道ミサイルを開発製造する資金が急速に枯渇しているという。
3月11日には制裁から半年になる。しかも、一冬を越させた格好だ。国連によると、また餓死者が出ているらしい。こうして経済面でも十分に弱らせつつある。
あとは本当に「実戦」だけとなった。
トランプ政権は、静かに、だが一歩一歩、攻撃の体制を整えている。
ワシントンポストによると、上の一般教書演説とあえて同日に、統合参謀本部副議長のポール・セルバは、米軍は北朝鮮の核・ミサイル関連の「大部分の施設を押さえることができる」と記者に語り、北朝鮮のへ軍事力行使に自信を見せた。
つまり、精密誘導ミサイルや爆弾の標的のプログラムがほぼ終わったということ。
大統領と軍人閣僚たちは、スティーブ・バノンの言う「方程式の解」を見つけたと思っている。だが、何度も言うが、金正恩は最後に必ず核兵器を使用するだろう。