みなさん、こんにちわ。
つい最近、1991年公開の映画『JFK』を再視聴しました。
ちなみに、日本公開は92年3月。私は映画館で直接見た世代です。
当時、物凄い迫力で、呆然とした記憶が残っています。『マルコムX』もそうでした。こういうレベルの社会派映画を送り出せるのがハリウッドの凄いところ。
主人公はニューオリンズの地方検事ジム・ギャリソン(Jim Garrison)。彼はダラスでのケネディ大統領暗殺事件に疑問を持ち、真相究明にキャリアを賭けます。
この映画自体、ギャリソンの著作を土台としています。
監督はあのオリバー・ストーン。近年は歴史ドキュメンタリーを作っています。
ジム・ギャリソンは日本公開の年の10月に亡くなりました。
現実の彼は、毀誉褒貶の多い人物で、捜査当時、かなり混乱していたことや、証言をとるために無理も辞さなかったこと、身内から批判があったことも事実です。
映画に関しても、幾つかの反証もあり、当然、監督個人の思い込みや印象操作などもありますので、すべてを事実だと鵜呑みにするのは危険です。
一応、ウィキペディア『JFK (映画)』が補完しているので、こちらのほうも参照を。
ちなみに、執念の捜査を行うギャリソンを熱演しているのがケビン・コスナー。
ケビン・コスナーは肉体派であると同時に知性も感じさせる俳優です。
対して、敵役のクレイ・ショーを演じているのが、あのトミー・リー・ジョーンズ。
ここでは画像を貼りませんが、缶コーヒーの「BOSS」でも思い出して下さい。
最近、ジョン・F・ケネディ暗殺事件を取り上げたことで、ふと、この映画をもう一回見てみようかなと思いました。レンタル屋でDVDを手に取ったら、なんと未公開シーンの17分を追加した「ディレクターズ・カット版」とあるじゃありませんか。
結果、まるで新作映画を見たような新鮮さに浸ることができました。200分を超える長丁場を感じさせない、一瞬たりとも目が離せない映画でした。
幾つかの問題点はあるが、それを差し引いても、現代史における重要な事件と、その背後にうごめく社会の闇の部分を描写した点で、必見映画の一つかなと思います。
トドメの一発は丘の板柵の後ろから行われた
さて、このケネディ暗殺事件ですが、いかに「異常」だったか。
映画でも描かれていますが、証人たりえる人物が次々と消されていく。
ジム・ギャリソンが「こいつに法廷で証言させよう」と接触して事情聴取した相手が直後に不可解な死を遂げます。CIAが徹底して口封じをやっていくわけです。
裏でCIAがコントロールするテレビや新聞も、ジム・ギャリソン本人の信用を失墜させようと、彼を攻撃します。その工作の存在は後に明るみになりました。
ところで、直接的な暗殺犯ですが、以前の記事ではマフィアだと述べました。
警察庁の科学警察研究所出身で、音響分析のスペシャリストである鈴木松美氏が、暗殺が行われた瞬間の現場の録音を分析しました。
発砲は4回。うち2発は不明瞭ですが、最初と最後の2発は比較的明瞭で分析可能でした。その結果、2発は異なる銃から発射されたこと、いずれも教科書倉庫ビルから発見されたイタリア製ライフル「カルカノ」の発砲音ではないことが判明しました。
音の「紋」は銃の構造から生じるもので、固有のものです。
これで「オズワルド単独犯行説」は科学的に否定されました。また、少なくとも2人以上の狙撃犯がいたことが判明しました。分析対象外の別の2発の存在と十秒程度の狙撃時間を考えると、「第三の狙撃者」がいたことも十分想像できます。
鈴木松美氏の分析では、ケネディにトドメを刺した4発目は、レミントン社製の「ファイアーボール」の紋に極めて近く、絶対にカルカノではありえないという。
映画『JFK』でも、弾丸が教科書倉庫ビル6Fからのオズワルドによる発砲ではないこと、グラシノールの丘から発砲があったことを追求しています。
当時、丘の板柵の裏から行われた射撃を、たくさんの人が目撃していたんですね。
のちに裁判でジム・ギャリソンはその人数を誇張してしまったようですが(笑)、それを差し引いても、何人かの人は確実にガンファイアを見ていた。
ちなみに、ファイアボールを使ってケネディを撃ったと証言したジェイムズ・E・ファイルズは、同銃の初期型はかなりガンファイアが大きく目立つと言っています。
だいたい、大統領を見ようと大勢の人が集まっていたから、丘の上のほうから発砲音がしたのを聴いた人もたくさんいたんですね。だから、中には真相を確かめようとした人もいた。ところが、板柵の前に“シークレット・サービス”を名乗る連中が陣取っていて、犯行の前後、人々がそこに近づけないようにしていた。
しかも、その板柵の裏手は駐車場になっていますが、そこの敷地の管理人も、バッグを持った怪しい男たちが板柵のすぐ裏に張り付いていたのを目撃していた。
それで彼も口封じされました。(後半につづく)