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イランから北朝鮮へ、中東での戦争は極東に飛び火する

1950年代の朝鮮戦争の直前のように、北朝鮮と中国がアメリカを「共通の敵」とする関係になった時、金正恩はどのように振舞うだろうか。

ヒントとなるのが、就任当初からの朴クネの強気な反日全力外交だ。あれはバックに中国がいるからこそできたものだ。まさに「虎の威を借りる狐」である。

今、朴クネは、獄中で臭いメシを食っているそうだが、同情には値しない。

あの時の朴クネの倣岸極まりない態度は、中国という強大国の後ろ盾を完全に得たと思った時の朝鮮民族の指導者が、他の周辺諸国に対してどのような振る舞いを示すかということについて、重要な示唆を与えてくれるものである。

そして、今まさに、あの時の朴クネと同じ位置か、それ以上のパートナーに収まろうとしているのが金正恩なのだ。しかも、経済制裁で国は内部崩壊寸前と来ている。

「金正恩は周辺地域に対する中国の“鉄砲玉”に収まる」と考えられるのではないか。

つまり、北朝鮮は中国にとっての「カード」と化す(又はもう化した)。

これはまた、中国の南シナ海・台湾問題と、朝鮮有事がリンクした、ということ。

つまり、中国が南シナ海・台湾からアメリカの影響力を駆逐しにかかる際には、「北朝鮮カード」を切る可能性が高い、ということである。



独裁者習近平はその時、台湾併合の好機到来と考える

私はどうもそれが近いような気がする。

なぜか。まず習近平自身の「対内的な政治的立場」というものが大きい。

習近平は二期目からは任期制を廃止して事実上の終身独裁者に収まったものの、国内からの批判や抵抗が強く、思想・言論の統制を強めている。

だから「何か大きな目に見える成果」をあげて求心力を高める必要に迫られている。

平たくいえば、彼はここらで国民の人気を勝ち取らねばならない立場だ。

しかし、経済面ではそれを望めないどころか、「一帯一路」政策の停滞や米中貿易戦争の激化、輸出の鈍化・雇用の悪化など、むしろ悪材料ばかりである。

残された手段が軍事面での成果だ。つまり、彼が軍事的英雄になる道だ。

折しも人民中国建国70周年が近い。そして毛沢東以来、人民中国がずっと遣り残してきた宿題こそが「祖国統一」、つまり台湾の併合である。

そこへ来て、中国打倒を鮮明に打ち出した米国が、先にイランのほうを始末しに掛かり始めた。トランプが馬鹿なのか、それとも政権メンバーみんながそうなのか分からないが、これは米国の重大な戦略ミスであり、中国にとっては逆に「好機」となろう。

米国の戦略ミスにつけ込んだ策士習近平が「北朝鮮カード」を切る

トランプ政権の面々は、極東で中国と激しく対立している時に、中東でイスラエルと一緒にイランと戦争を始めたらどんなことになるのか、想像できないのだろうか。

おそらく自信に浸りきっているのだろう。まさに「超大国の驕り」である。

まず、ロシアと中国が陰でイランを支援し、米軍が泥沼に引きずり込まれるように仕向けるだろう。12万の派兵では済まず、次々と追加を強いられよう。

つまり、イランを挑発して戦争に引きずり込んだつもりが、短期決戦では済まず、気がついた時には自分たちのほうが沼地に足をとられていた、というオチだ。

そして、中国は、米軍を疲弊に誘い込むや、米中対立にケリをつけようとするだろう。

このタイミングで中国が切るのが、温存しておいた「北朝鮮カード」である。

つまり、金正恩を使嗾し、南侵に掛からせる

「このままでは、貴国はどうせ経済制裁で衰弱死するだけだから、挽回のチャンスは今しかない。わが国も全力で支援してやるぞ」と。

中国にとって神聖な国是が台湾併合による祖国統一ならば、北朝鮮にとってのそれは、むろん南侵による祖国統一である。両国とも似たような目的を持つわけだ。

対イラン戦争が北朝鮮に連鎖し、もしかしてヨーロッパにも・・

しかも、北朝鮮はもともとイランと地下で同盟関係にある。

ブッシュ政権時代に同じ「悪の枢軸」認定された立場だから、イランがやられれば、次は自分の番だと、覚悟するだろう。よって、北朝鮮指導部は、各個撃破されるくらいなら、同時に連携して戦ったほうが少しでも有利になると考える。

これはイランの立場から見ても同様。イラン的にも、北朝鮮に開戦してもらって、少しでも米軍の兵力を分散させたいはずだ。よって、イランもまた北朝鮮を使嗾するが、他方でそれ以上に危険性が高いのは、欧米でのテロ攻撃を行うことだ。

これについては、イスラム系のテロ組織が「ジハード」と称して自主的に行うかもしれない。欧米のほうは当然、イランの支援を疑うし、しかもイスラム教徒全体を敵視するかもしれない。イラン的にはテロにとどまらず、欧州のイスラム教徒が決起し、内戦になってくれると助かる。とくに英仏は米・イスラエルを支援するだろうから、国内でイスラム過激派が決起すれば、英仏の軍事力も国内紛争に釘付けになる格好だ。

つまり、米国の対イラン戦争は、極東のみならず、欧州にも連鎖する可能性がある。

いずれにしても、北朝鮮が動けば、在日米軍は朝鮮半島に釘付けとなり、アメリカは二正面作戦を強いられよう。日本は、本来は関わる義理のない戦いだが、政治が愚かなので、わざわざ韓国を助ける側に回って、巻き込まれることになるだろう。

こうして、習近平は「北朝鮮カード」を切ると、次に自ら動くだろう。

その時、中国が具体的にどのような台湾侵攻作戦を計画しているのか分からないが、空母も動員して、ぐるりと包囲し、まず心理的に屈服させることを狙うのではないか。

とにかく北朝鮮が動いたら次は中国と思ったほうがいい。

Takaaki Yamada: