トランプは第一回の米朝首脳会談後の記者会見で、「近いうちに朝鮮戦争が終わる」という意味のことを語っていた。
現在、朝鮮戦争はあくまで「休戦」状態だ。
つまり、1953年の臨時的な措置が今の今まで続いている。
だが、「終わる」というのは、明らかに「終戦」状態を意味している。
米朝で正式な終戦協定が締結されると、国連安保理が「朝鮮国連軍」の終了を決議するので、横田に司令部のある朝鮮国連軍は、めでたく解体の運びとなる。
しかし、“国連軍”といったところで、実態はほとんどが米軍である。
おそらく、トランプが次の金正恩との会談を機に実現しようとしているのが、この朝鮮戦争の歴史的な「終戦宣言→協定」ではないか。
これによって、在韓米軍は実質その存在意義を失う。
北朝鮮は例によって、口先だけ非核化を公約しておしまい(笑)。トランプは「金正恩はすばらしい、彼の言葉を信じよう」と褒め称えて、やはりおしまい(笑)。
米朝がこれを機に「国交正常化→相互不可侵条約の締結」まで一挙に行くのかは不明だが、在韓米軍の撤退ならばすぐに続くものと思われる。
そもそも、“奇しくも”この頃、次期米韓防衛分担金の交渉が決裂するはず。
アメリカは前年度の5倍という非常識な値上げをわざと提示して、当然ながら文政権は難色を示している。これは韓国側から切らせようとしているのだろうと前に言った。
以上、トランプ政権による「ふっかけ」と「南北の戦争状態の正式な終結」という二大要因から、早ければ年内にも、韓国の文政権のほうから米韓同盟の終了・在韓米軍の撤退を提案しても不思議ではない。そもそもどんな同盟もいつかは終わるのだから。
アメリカからすれば、これはまた「北朝鮮・イラン地下同盟」の分断でもある。
逆にいえば、トランプが金正恩と握手して、「これから在韓米軍を撤退させるぜ、おたくと国交正常化もありえるぜ」と交渉している間は、北朝鮮が絶対にアメリカに反抗しないと確信できる時期でもあるから、遠慮なくイランを叩くことができる。
北朝鮮は長年の盟友イランを見殺しにする。
ま、戦前の日本もそうだったが、朝鮮を信用するほうが馬鹿ということだ。
第一次朝鮮戦争の終わりは、第二次の始まりでもある
さて、その後、韓国と北朝鮮は「連邦制」を目指すのだろうか?
そういえば、平昌冬季オリンピックでも、北朝鮮の「美女軍団」なるものがマスゲーム的な応援を繰り広げ、韓国人観客も一緒になって、やれ南北合同チームだ、私たちは一つだ、同じ民族同士だ、敵はあくまで日本だ、などと気勢を挙げていた。
前にも述べたが、甘い、甘い(笑)。
多くの韓国人も、在日コリアンも、「同じ民族同士の友情と友好による連邦国家協力体制」のようなものを夢想しているらしいが、幻想としか言いようがない。
金正恩の目的はあくまで南の完全併呑。
つまり、北による半島の統一であり、換言すれば大韓民国の滅亡。
それが金王朝三代の悲願。
彼らにとって「南朝鮮」など、そもそも米帝の傀儡でしかないのだ。
そして、国力的には小が大を飲み込む・・それを可能にするものこそ核兵器である。
たとえば、洋上で核爆発の威力を見せ付け、無条件降伏を迫る。
降伏後、韓国政府は粛清されよう。そのまま首を挿げ替えるように「朝鮮政府」となる。以後、国際的にも「北朝鮮」という表現が適切でなくなるかもしれない。
彼らは旧韓国軍を支配下に置くことで、より強力になる。
しかも、アメリカは、それを実現させはしないが、着手はさせるだろう。
なぜなら、これこそが第二次朝鮮戦争を引き起こすための罠だからである。
だから「米朝不可侵条約の締結」まではありえる。早ければ2019年内に。
北朝鮮も「米軍が絶対に介入してこない」という確証を得るまでは、絶対に南の併呑には動かない。だから、トランプはずっと「金正恩ヨイショ」を演じ続ける。
南侵誘発作戦であると同時に「中国誘い込み作戦」でもある
どの時点でアメリカが豹変するかは、まだ分からない。
なぜなら、タイミングには中東情勢と中国の出方も関わってくる。
国際情勢は様々な要因が複雑に作用しあう「生きもの」なのである。
しかし、以上のシナリオそのものは、かなり早くから用意されていたフシがある。
トランプは、在韓米軍の撤退に関しては、大統領選挙中の、非常に早い時期から言及していた。わざわざ外国を守りたくないのは彼の本心でもあるが、根本的にはロス長官やキッシンジャー顧問のシナリオに沿って動いているのだと思う。
トランプはやはり世界支配層に対する根っからの反逆者には見えない。
また、韓国政府はともかく、韓国軍のほうがあくまで北朝鮮に抵抗した場合、韓国は米軍の参戦いかんに関わらず、悲惨な内戦に突入する可能性がある。
なにしろ、金正恩が韓国に対して実際に核ミサイルを使用する可能性もある。
核攻撃について言うと、たいていの人が「そんな馬鹿な? 同じ朝鮮民族なのに、そんなことがあるはずがない」という反応をする。
それは幻想である。むしろ、原爆を使用すれば戦前の日本みたいに相手は早期に降伏するはずだと思考するのが独裁者である。
人道とか、同じ民族とか、そんなことを考えないから独裁者をやってられるのだ。
また、文政権が突き進む南北融和・統一を嫌って、韓国内の保守が政治的内戦に勝利するために北朝鮮に先制挑発を行い、朝鮮戦争を引き起こす「第三の可能性」についても、私は早くから言及しておいた。最近になってこの動きも胎動しつつある。
いずれにしても、極左の文が大統領になり、かつ北朝鮮に先制攻撃させる計画がうまくいかないならば、アメリカ又その奥の院は、開戦方式を「アチソンライン方式」に切り替えるのではないかという推測は、文政権誕生前から私が散々述べてきたものだ。
北朝鮮のほうも、在韓米軍撤退・米韓同盟解消後、「機」を見て、いよいよ韓国の併呑へと動き出す。核兵器で脅して韓国を屈服させても、韓国を見放した日米は、北による被核攻撃のリスクを背負ってまで、韓国に義理立てすることなない、と踏んでいる。
実際、北朝鮮から核攻撃されてまで「韓国を助けろ」などと主張するのは、韓国真理教の面々くらいなものだ。皮肉なことに、普通の日本人は介入反対で、むしろ普段から戦争反対を叫んでいたリベラル派ほど、軍事介入を訴えるかもしれない(笑)。
しかし、アメリカはどうだろうか? 私は「韓国を助ける」というよりも、半ば韓国を見殺しにした上で、なおかつ半島外から北朝鮮をエアシー攻撃するのではないか、と思っている。つまり、朝鮮半島内での地上戦は極力避けたいと思っている。
そして、言ってきたように、本命は中国のはずだ。
アメリカは散々中国を叩いて、当初は仲たがいしていた習近平の中国と金正恩の北朝鮮が再接近するように仕向け、再び両国を「血盟」関係にすることに成功した。
私は、朝鮮半島を「米中戦争」の主戦場にすることが米奥の院の真の狙いではないかと疑っている。もっといえば、朝鮮半島から北京・天津経済圏までを。