みなさん、こんにちわ。
7月28日夜、北朝鮮がICBM)「火星14」の発射実験に成功しました。
朝鮮中央通信によると、高度は3724.9キロに達し、47分12秒の間に998キロ飛行した」という。北は自身のミサイルに関する非常に細かいデータもちゃんと把握している。10分飛んで日本に着弾ですから、47分というと、飛距離がもの凄い。
「米全域射程」 ICBM、飛距離最大1万キロか7/29(土) 22:49配信
(前略)ミサイル専門家のデビッド・ライト氏は(略)最大飛距離は1万400キロになると試算。北朝鮮からの距離が9500キロの西海岸のロサンゼルス、1万400キロの中部シカゴなどが「射程内に入る」との分析結果を発表した。
出典(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170729-00000080-mai-pol)
ついに射程1万キロ台、米本土の西半分を照準に収めたわけです。例の「ロフテッド軌道」で発射したため、室蘭に設置されたNHKのカメラに着弾の様子が映りました。
それにしても、なぜこうも急速に飛距離が伸びていくのでしょうか。
その理由がこちら、以前の記事でヒントを述べています(赤字部分)
このように、動画では、元開発者の口から、
潜水艦は二隻あり、一隻から4発のSLBMを撃てる
対日攻撃の第一の目標は沖縄である
原発・ガス施設などが攻撃の対象
先日噴射テストした機体は80トン級の新エンジンを4基まとめている
などの貴重な情報が次々と飛び出します。
旧ソ連がよく使った方法ですが、いったん信頼性の高い小型エンジンの開発に成功すると、今度はそれを「束ねていく」手法で、どんどん飛距離を伸ばすことができるんですね。ま、これは単純化したもの言いで、大型化していくにつれ様々な課題が出るし、今回のモノもその80トンクラスが否かは知りませんが、基本的には同じことです。
北朝鮮も第二次朝鮮戦争が核戦争になると予測している
で、火遊びをしている三代目の金正恩ボンボンは、「米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきりと立証された」として、こんな脅し文句を言った。
「アメリカがたび重なる警告にもかかわらず核のこん棒を振り回すなら、われわれが見せつけた核武力でたっぷりとしつけてやろう」
北朝鮮キム委員長「米本土全体が射程圏内 明確に」 7月29日 18時51分
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170729/k10011080131000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_003)
報道ではミサイルにばかり焦点を当てていて、一番肝心なこの「核」については、総じてスルーしています。しかし、本当はここが大事なんですね。
私が以前から次のように警告していることは、当サイトの読者ならご存知のこと。
「グアムのアンダーソン基地にはすでに核兵器が届いていて、アメリカはB-1B爆撃機で北朝鮮を核攻撃する予定だ」と。
私の知る限り、これはまだ誰も言っていないはず。北朝鮮も公式声明で類似のことを言うようになったから、世間も気づいてもよさそうなもんですけどね。
専門家の皆さんは、細かなデータ的な知識はよくご存知ですが、一番根本的なことは知りません。これは表には出て来ない情報なので仕方ありません。別に北朝鮮は妄想でアメリカが核の棍棒を振り回しに来ると喚いているわけではない。
私は別に北朝鮮の立場を擁護するつもりはないが、こういうのは善悪対立ではなく、本当はどっちもどっちと思っていたほうが真実に近いです。
そういえば、元NATO軍最高司令官でオバマと大統領候補を争ったウェスリー・クラーク氏は、2007年になってから、9・11直後に「中東7カ国打倒計画」が存在していたことを暴露しました。正確に言うと、軍のトップクラスの自分でさえ何も知らされないまま一方的に「雲の上」から方針が降りてきたと、怒っているわけです。
このケースと同じ様に、第二次朝鮮戦争の「戦後」だいぶん経ってから、米政府の誰かが真相を暴露するでしょう。
「第二次朝鮮戦争が勃発した時、私たちはそれまでリアルタイムで見てきた経緯から、誰も望まないのに愚かさと偶然の積み重ねでエスカレートしていった果てにこんな悲劇が起こったと信じるだろうが、実際には何年も前から決められていたのだ」と。
で、2006年の「ポスト冷戦戦略の大修正」時に決まったというのが私の説です。
ついに「中国の政治利用」を終わらせたアメリカ
さて、北のICBMの発射を受けて、7月29日、トランプ大統領がさっそくこんなツイートをしました。(*下から上への順)
「中国には非常に失望した。われわれの愚かな過去のリーダーたちが、中国が年間に何千億ドルも貿易で儲けることを許してきたのに、北朝鮮問題に関して彼らはわれわれのために何もしてくれない、単に口先だけ(just talk)だ。われわれはこんな状況が続くことを許すつもりはない。中国はこの問題を簡単に解決できたというに!」
アチャー、激おこプンプンですね。
でも、今からちょうど一ヶ月前にはこう言っていたんですよ。
「北朝鮮問題の件でわれわれを助けようという習主席と中国の努力にはたいへん感謝しているが、うまくいっていない。少なくとも中国が努力したことは知っている!」
もちろん、私はこんなものは本音ではないと、散々言って来ました。
問題はこの態度の変化をどう読むか、ですね。
どうやら、4月初旬の米中首脳会談からスタートした「中国の政治利用」が終わった、ということではないでしょうか。
私は前々からこう言っています。
アメリカは、中国が本当に北朝鮮問題を解決できるとは思っていない。わざわざ米中貿易を人質にして習近平を巻き込んだ最大の理由は、「中国ですら対話で解決できなかった」という既成事実を作るためであったと思われます。
例の「100日猶予」は、7月16日で終わり。上のツイートは、それが本当に終わったと公式に認めたようなものです。
しかも、私が予想していたよりも、一歩、対中強硬的です。てっきり「中国はよく頑張ったが、それでも無理だった」と総括するのかと思っていましたが、「われわれは中国にチャンスを与えたが、結局何もしなかった」と、まとめる気かもしれません。
これは「戦後の分け前はおれだけのもので、おまえ(中国)にはやらん」という流れに繋がっていく伏線になっているかとも考えられます。
米軍トップの発言は何を意味するのか? 裏を読むべし
というわけで、時を同じくして、米軍高官から、次々と軍事行動の可能性に関する発言が相次いでいます(以下赤字は筆者)。
米国で高まる「軍事行動」論 北のICBM開発進展受け 2017年7月29日産経新聞
(中略)「軍事的な対応の選択肢についても話し合った」
米軍が28日に発表した、ダンフォード統合参謀本部議長とハリス太平洋軍司令官、韓国軍の李淳鎮(イ・スンジン)合同参謀本部議長との電話会談に関する声明は、今回の危機で北朝鮮に対する軍事行動の可能性に公式に言及した異例の内容となった。
(略)同省は既に複数の作戦案を提出済みとされる。
(略)米軍の現役将官が次々と軍事的選択肢を行使する可能性について公然と語り始めたのだ。ダンフォード氏も今月22日にコロラド州で開かれた安全保障関連の会合で「多くの人が軍事的選択肢を『想像できない』と言うが、北朝鮮に核兵器を(米本土に)撃ち込む能力を持たせる事態こそが想像できない」と指摘した。
ダンフォード統合参謀本部議長とハリス太平洋軍司令官のほか、ミリー参謀総長もこの数日前に、ICBMの技術的進歩による北朝鮮の米本土攻撃能力について「大方の予想を超える早さ」とし、危機感を表明しています。そして戦争は「人命やインフラで大きな代償を伴う」としながらも、「朝鮮半島での戦争は恐ろしいが、ロサンゼルスで(北朝鮮の)核兵器が爆発するのも恐ろしいことだ」と述べました(出典)。
私などが改めて説明するまでもありませんが、アメリカはシビリアン・コントロールが徹底していて、高級軍人は政治への介入を自ら強く戒めています。
その人たちがこういう発言を公然とする段階になった、ということです。
しかも、上の発言は、暗に「われわれは朝鮮半島がどうなろうが、米本土の安全保障を優先する」と、語っているに等しい。
今、ホワイトハウスのほうがスキャンダルで揺れているので、ペンタゴンとの歩調がうまく合わさっていないかもしれない。私も「いつか」は分からない。もしかするとトランプ辞任が先に来て、マイク・ペンス副大統領の下での戦いになるかもしれない。
しかし、米政府として戦争する腹はもう決まっていると考えていいと思います。
【筆者記事】
1500兆円の損失と630兆円の借金で「影の政府」に衰退させられた日本
クリントン夫妻とロックフェラー(前編)Clinton and Rockefeller
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現在のB-1Bは、核兵器搭載能力を持っていないのでは?
こんにちは
過去記事で書いたことですが、
最新の小型核兵器は、まったく普通の爆弾と同じ外観をしており、戦闘機でも爆撃機でも何にでも搭載できるらしいです。