今、多くの知識人や専門家の人たちが私のサイトを見に来るようになっています。
私は「自分は知識人・言論人ではなく、専門家ではない」と繰り返し断っていますから、皮肉なものです。プロ筋までが「山田がまた何かネタを出すのではないか」と期待して当サイトに来るものですから、前回・前々回はあえてギャグをぶちかまして肩透かしを食らわせたところがあります(笑)。変に期待されても困る、と。
さて、本日2017年9月3日の昼、北朝鮮が6回目の核実験を行いました。
朝鮮中央テレビは「ICBMに搭載可能」である「水爆の実験に完全に成功した」と公式発表しています。
前回の十倍の爆発力とかで、100キロトン(広島型で16キロトン)クラスではないかという推定もあります。事実なら確実に水爆だと思われます。
アメリカは早朝から大手ニュースもライブで報じています。
多くの人が「これで戦争が確定したのではないか」と直感したと思います。
前々から予告していた“リミット”がとうとう訪れた
私は北朝鮮をめぐる情勢について、2016年の時点で、たくさんの予測を公表しましたが、一貫して核戦争になると明言してきました。
今でこそ、その危機が叫ばれるようになりましたが、私が言い始めた頃は、本当に専門家ですら「北朝鮮のミサイルなんてどこに飛ぶか分からない」と大真面目で公言していました。ましてや、核戦争の可能性など、失笑モノでしかありませんでした。
私は昨年の段階で以下の三つを予想しました。
1・2017年の米新政権発足から朝鮮半島情勢が急激に戦争に向かうこと。
2・仮に「アメリカ・ファースト≒新孤立主義」のトランプが当選しても、選挙時の考えを180度ひるがえして、北朝鮮を積極的に滅ぼしにかかること。
3・米本土を確実に捕える核ミサイルの配備が「リミット」であること。
他にもたくさん予想していますが、とりあえずこの三つを今は取り上げます。
上の1と2についてはすでに現実化しました。
いよいよ3が実現しそうな気配です。
北朝鮮は7月、ICBM「火星14」の発射実験に成功しました。とくに7月28日夜に発射したものは、米本土の一部にまで届く可能性が高いものです。
また、ワシントンポスト紙は、DIA(米国防情報局)からの情報として、北朝鮮がすでに弾道ミサイルに搭載可能な小型の核弾頭を持ったと報じています。
そして今回、水爆の実験に成功です。ただ、これが弾頭に搭載可能であるとする北朝鮮の発表はハッタリの可能性もあります。ミサイル自体、兵器として安定していない可能性も高い。しかし、どちらの課題も、もはや解決は時間の問題です。
よって、米本土向けに実戦配備できる安定した性能にはまだ届かないとしても、「来年中にはそれが可能になる」という観測は、やはり正しいのではないでしょうか。
私は3の条件が米国にとっての「リミット」だと、ずっと言ってきました。というわけで、とうとうリミットの時期が来たか、近々来ようとしている、ということです。
次のような意見は相手にしなくていい
巷間には次のような意見もあります。
「それを言うなら中ロも同じじゃないか。米本土向け核ミサイルを持ったからといって、中ロは米国から攻撃されていない。同じ様に北朝鮮も結局は容認されるだろう」
しかし、中ロは公然とアメリカを核で脅したりしていないし、プーチンも習近平もファナティックな独裁者とは見なされていません。
彼らはまた核と弾道ミサイル技術の拡散に関しても一定の責任を持っています。
しかし、北朝鮮は反米・反シオニズム国家と連携しています。核ミサイルの完成だけでなく、それ以上に拡散が問題なのです。アメリカはリスク管理の考えが徹底しているからこそ、それがコントロールできなくなる事態を一番嫌うのです。
ユダヤ人が中東への拡散を非常に懸念している点も重要です。
「アメリカは核保有国を攻撃したことがないから、北朝鮮を攻撃しない」という専門家の意見もあります。ま、歯牙にもかける必要はないでしょう。
朝鮮半島の情勢が大規模紛争に発展すると警告したプーチン大統領
さて、8月29日の「日本列島越え」中距離弾道ミサイル発射を受けて、トランプ大統領は次のように呟きました。
「話し合いは答えじゃないぜ!」(他略)
対して、ティラーソンやマティスは相変わらず「対話したい」という、反対のメッセージを発している。トランプ政権は内部分裂しているのだろうか?
あまりにも態度が大統領と乖離しているので、鈍感な人でも「???」と思い始めている。これも、どうやら私が言ってきたことがドンピシャリでしょう。
ただの役割分担ですよ。私は「戦後の国際世論も見据えて対話の努力をしているふりをしているだけ」と喝破しましたが、いずれ他の人も追従するだろう。
こんなものは臭い芝居です。彼らにも政治的な立場があります。そろそろ、政治的な公式発言をそのまま真に受けるのはやめたほうがいいのでは。
第三者の視点で一番状況をよく見ているのがプーチン大統領です。
彼はほんの二日前、こんな発言をした(*傍線太字筆者)。
北朝鮮情勢、大規模紛争に発展する恐れ=ロシア大統領 2017年9月1日
ロシアのプーチン大統領は1日、大統領府のウェブサイト上で、米国と北朝鮮の対立が大規模な紛争に発展する恐れがあると警告し、北朝鮮に圧力をかけるのは誤りとの見解を明らかにした。(略)朝鮮半島情勢は「大規模な紛争に発展する手前」まで悪化したと指摘した。「北朝鮮の核ミサイル開発計画を圧力のみで中止させられるとの見方は間違いで無益だ」とし、北朝鮮がミサイル開発を凍結する代わりに(以下略)。
(出典http://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-putin-idJPKCN1BC4EF)
状況に対する認識は、私もプーチン大統領と同じですが、ただ最後のところは同意しかねる。そもそもアメリカの背後にいる勢力は、北朝鮮に圧力をかけて核開発を中止できるとは思っていない。思っていないにもかからず、圧力をかけている。なぜなら、最初から戦争するつもりだからです。しかも、核戦争になると分かっている。
もっとも、プーチン大統領ですから、とっくに承知の上かもしれないが。
これは米朝戦争なんですね。隠れたところで、イスラエルの安全保障も関係している。
だから、これも何度も言っていますが、まだ言う人が絶えないのでまた言いますが、韓国人・朝鮮人・日本人の犠牲が出る出ないは、関係がない。
ポリティカル・コレクトネスの立場からそれを心配するポーズは取らなければならないだけの話。だから、1994年の第一次核危機回避の事例はまったく通用しない。「なんでオレたちの身が危ないのに、韓国人や日本人の命なんか心配してやらねばならんのか」というのが、あちらさんの本音なんです。だいたい、戦争で死ぬのはオレたちじゃなく、朝鮮人のほうだ、とトランプ自身が裏で喋っているわけですよ(以下参考記事)。
で、バノンは、なるべくアメリカを対外戦争に関わらせまいとして、報復攻撃を受けるソウルを引き合いに出して、政権内で孤立して、結局クビになった。
もはや北朝鮮と戦争することを隠さなくなったトランプ
さて、9月3日の水爆実験を受けて、トランプの最新の反応です。
ええと、下からの順になりますが、もう省略しますけど、
「やつらの言動と行動は合衆国にとって非常に敵対的で危険であり続けている」
「北朝鮮はならず者国家だ。中国は助けてくれているがうまくいってない」
「対話路線は無駄だと韓国も分かってきたか。やつらが理解できる方法は一つだ!」
この「rogue nation」(ならず者国家)は、ブッシュ元大統領がサダム・フセインのイラクなどに対して貼ったレッテルですよ。同じ言葉を使った理由は自明です。
というわけで、アメリカによる対北空爆は時間の問題でしょう。
ただし、いったん国際社会による石油禁輸を行うプロセスを踏むとしたら、やや時期は延びる可能性もあります。だいたいその時の大統領がトランプとも限らない。
しかし、何度も言っていますが、トランプだから戦争をやるわけじゃない。
忘れてはなりません。誰が大統領になろうが関係がない。
実際に軍縮を進めたオバマでさえ、結局はシリアへの猛空爆に踏み切った。
戦争する・しないを決めているのは、大統領の上にいる連中です。