ダンフォード統合参謀本部議長、ハリス太平洋軍司令官、ミリー参謀総長らの最近の発言を引用して、私は彼らの本音を、前回の北朝鮮関係記事で以下のようにまとめました。
暗に「われわれは朝鮮半島がどうなろうが、米本土の安全保障を優先する」と、語っているに等しい。
ところが、私は「語っているに等しい」などと記しましたが、トランプ大統領が影で本当にそう言っていたことが分かりました。
北朝鮮がミサイル実験を止めないなら戦争になる
8月1日、米共和党の大物議員であるリンゼー・グラム氏が、NBCテレビの人気番組「TODAY」に出演し、トランプ大統領と交わした会話を明かしました。
内容はNBCテレビのサイトでも字起こしされています。
この「TODAY」ショーは、実は重要な鍵になっていて、後半のほうで触れます。
Sen. Lindsey Graham: Trump Says War With North Korea an Option
Graham said that Trump won’t allow the regime of Kim Jong Un to have an ICBM with a nuclear weapon capability to “hit America.”
トランプは金正恩体制がわが国に打撃を与える核兵器搭載可能なICBMを持つことを認めないと、グラハムは言った。
“If there’s going to be a war to stop [Kim Jong Un], it will be over there. If thousands die, they’re going to die over there. They’re not going to die here. And He has told me that to my face,” Graham said.
もし(金正恩を)ストップするための戦争になったら、それは向こう側(over there:朝鮮半島)で起きる。仮に何千人が死ぬとしても、向こう側で彼ら(朝鮮人)が死ぬことになる。こちら側では死なないと、彼(トランプ)は私に向かって語った。
Military experts have said there are no good options for peacefully stopping North Korea, although the National Security Council has previously presented Trump with possibilities that could include putting American nukes in South Korea or killing Kim Jong Un.
以前から国家安全保障会議(NSC)はトランプに対してアメリカの核を韓国に置くか、又は金恩正を殺害する可能性をプレゼンしているのだが、軍事専門家たちは平和裏に北朝鮮を止めるよい方法はないと言ってきた、
Graham said military experts are “wrong” that no good options exist.
よい選択肢がないとする軍事専門家たちは「間違っている」とグラハムは言った。
“There is a military option to destroy North Korea’s program and North Korea itself,” he added.
「北朝鮮の計画と北朝鮮自体を破壊する軍事的選択肢がある」と付け加えた。
(筆者注:どうも北朝鮮自体を破壊してしまうことが、アメリカに被害が及ばないという意味で「平和的」な解決法だと言っている気がします)
Ultimately, with North Korea showing no signs of slowing down its missiles testing, a military option can’t be discounted, Graham said.
北朝鮮がミサイル実験をスロウダウンさせないなら、最終的に軍事的選択肢は避けられないと、グラハムは述べた。
“I’m saying it’s inevitable unless North Korea changes because you’re making our president pick between regional stability and homeland security,” he added.
グラハムは「北朝鮮が変化しない限り、わが国の大統領に地域の安定と米本土の安全保障の選択を取らせることは避けられない」と言い、こう付け加えた。
“He’s having to make a choice that no president wants to make. They kicked the can down the road for 20 years, there’s no place else to kick it.”
「彼はどんな大統領も望まない選択を迫られつつある。北朝鮮は20年間も缶を蹴っとばしたが、もはや蹴る余地はない」
なぜ大統領ですら「TODAY」ショーから出演要請が来たら断れないのか?
現在、マット・ロワー(Matt Lauer)が司会を務める「TODAY」ショーですが、全米三大ネットワークの一つNBCの看板番組です。
朝の情報ニュース番組で、こんなふうにガラス越しに外が見えるスタジオになっています。どこかで見たことありませんか?
そう、日本の同様の番組は、この「TODAY」をモデルにしたんです。
実は、ここから出演要請が来たら、大統領だろうが何だろうが断ることはできません。
なぜだか分かりますか、みなさん?
全米トップクラスの人気番組だから?
小島よしおではありませんが、「そんなのカンケーねー」です。
現在、NBCの本社があるのが、このロックフェラー・センター。しかも、その中心に位置するGEビルディングにある。
センターのセンター。
つまり、GEビルディングは、前田A子さんの顔面みたいなもの。
このビルの一階が「TODAY」ショーのスタジオなんですね。
そして、このビルの上層階がニューヨークにおけるロックフェラー家の拠点になっている。ロックフェラーの怖~いオジさんが、実際に住んでいる場所です。
実際に調べたことはありませんが、どうせNBCの資本関係を辿っていくと、オーナーもロックフェラー系列の金融機関や財団に行き着くのではないでしょうか。
1975年、昭和天皇が訪米した際、ロックフェラーの私邸に泊まったことは有名です。しかし、実際にはロックフェラーが呼んだというのが真実です。
理由が何かは私も知りません。たぶん、トライラテル(三極委員会)の創設に関係していると思う。日本が本当に「西側国家」に「昇格」したのはこの時期です。
本当は、ビルダーバーグに呼ぶつもりだったんですが、主催者のナッサウ公が反対したために、別枠を作らざるをえなかったんです。
要は、彼らは天皇陛下でさえ呼びつけることができる、ということです。
ブッシュ・Jにしろ、クリントンやヒラリーにしろ、トム・クルーズにしろ、自分をその地位へと押し上げてくれたのが本当は誰かを知っていますから、「TODAY」ショーから出演要請(インタビューという形でも)が来たら、必ず出るわけです。
「あ、ロックフェラーさんが『朝鮮半島で戦争をやるぞ』と言っている」
で、今回、リンゼー・グラム上院議員が、「ちょっと番組に出て、トランプ大統領と内密に話したことを喋ってくれ」という要請を受けたようだ。
外交問題は上院になります。私はこの人のことは、まったく知らなかった。
普通にウィキペディアなどを参考にしたところ、どうやら東部エスタブリッシュメントで、国防族で、ジョン・マケインとも非常に親しい間柄らしい。
これで、なぜ「TODAY」で「リンゼー・グラム」なのか、という理由が想像つきます。たぶん、ロックフェラーが全世界のお仲間たちに向けたメッセージの意味があると思います。私たちには分かりませんが、仲間の人たちはピンと来るんですね。
「あ、ロックフェラーさんが『朝鮮半島で戦争をやるぞ』と言っている」と。
今現在、北朝鮮問題は、米ニュースでの扱いも決して小さくないし、とくに西海岸では市民レベルで大きな関心事になっています。
「北朝鮮のミサイル発射を騒いでいるのは日本だけだ」などと言う人がいますが、明らかな嘘ですね。とくに学生のワームビア氏の死亡以来、北朝鮮に対する日米の温度差がどんどん解消されていっているのは、以前の記事で述べた通り。
とくに、7月28日夜に北朝鮮がICBMを発射して、金正恩が「米本土全域を射程に収めた」と声明してから、米世論は完全に開戦に傾いたと思います。
アメリカのいう対話とは「全面降伏しろ」という意味
さて、グラム議員が「内幕」を暴露してしまったので、トランプ政権側はマスコミから問いただされる羽目に。
サンダース報道官は軍事行動を含む「すべての選択肢がテーブルにある」と、暗に肯定したのでしょうか(下、8月1日)。
対して、ティラーソン国務長官は「火消し」に回った感じです。
トランプ氏「北朝鮮のICBM続けば戦争になる」、米共和重鎮議員が明かす 国務長官は「火消し」図る 2017.8.2
(中略)ティラーソン国務長官は1日午後、国務省で記者会見し、「北朝鮮の体制転換や体制崩壊、朝鮮半島統一の加速化を希求しない。38度線の北側に兵力を送り込む口実を探したりもしない」と述べた。火消しに。(略)北朝鮮に対して「われわれはあなた方の敵ではない。だが、当方に容認し難い脅威を与えていることには対抗しなくてはならない」とした上で、北朝鮮と「いずれかの時点で対話をしたい」と表明した。
ティラーソン氏が自ら記者会見を行うのは異例。
(http://www.sankei.com/world/news/170802/wor1708020010-n1.html)
興味深いことに、ヘイリー国連大使やサンダース報道官といった女性陣が「軍事行動もありえる」とタカ派発言をしている。
逆に、マティス国防長官やティラーソン国務長官が「対話」「外交的解決」「平和的解決」を訴えている。
ま、こういうのは役割分担ですね。ただし、前者が本音で、後者が政治的な嘘。
私はマティスが外交的解決をしきりと強調する理由をこう推測しました。
今の時点で、戦後の国際世論に神経を尖らせている。すでにそこまで見据えて、自国が国際社会の非難の的にならないよう布石を打っている。
つまり、アメリカは戦争が悲惨なものになることを予測していて、今から戦後の国際世論対策をしているのだと思います。
外交担当のティラーソンは今回、われわれは北朝鮮の体制転換を求めていない、核開発を放棄すれば対話の用意があるなどと示しましたが、これも欺瞞。
2003年のイラク戦争の後、リビアのカダフィは「自分もやられる」と感じて、大量破壊兵器の開発を自主的に放棄しました。
そして、「われわれを見習って北朝鮮とイランも核開発を放棄すべきだ」とまで口にしていました。しかし、機先を制したつもりが、結局は無残な最期を遂げました。
どうやら、西側への妥協後、銀行に20兆円ほど預金するように要請されて、そのまま踏み倒されたらしい。どっちが強盗かという話です。
要するに、ティラーソンは「おまえたちが全面降伏するなら対話してやるよ」と言っているわけです。少なくとも金正恩の主観ではそう聴こえる。
だから「おれを殺すというのなら、核ミサイルを撃つ」と叫んでいるわけです。
いずれにしても、今回、トランプの本心が分かったのは収穫でした。
彼はこれまで金正恩にコケにされっぱなしでした。
初の大国同士の首脳会談という晴れ舞台や、7月4日の米独立記念日で、わざわざミサイルを撃たれ、公式声明でも挑発されまくり。
しかも、就任半年で、支持率も最低のところにきています。
だが、ここへ来て、米国内の世論が盛り上がってきた。それに「やられたことはやり返す」というトランプの個人的性格と、彼の政治的状況が重ねれば・・・。
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