北朝鮮の核・ミサイル開発が凄まじい勢いで加速しています。
ついこの前、米本土に届くICBMを発射したと思ったら、先日は水爆の実験です。160キロトンと訂正されましたので、広島型の10倍の威力です。
それらの開発には、実は日本の存在が欠かせませんでした。
開発の資金面について触れたのが以下の記事でした。
実際には、基本的な開発のほとんどは、故・金正日の時代に行われたんですね。
それは「キム親子三代の悲願――北朝鮮の核開発物語」と題して以下に記しました。
その時の資金を担っていたのが、朝銀などの日本からの送金です。それが原因で朝銀はショートしたわけですが、野中広務などが手を回して、その朝銀に1兆4千億円もの公的資金を突っ込んだ。それでいて、朝銀はまた破綻している。
「加計学園に税金○○億円を投入した」などと鬼の首でもとったように騒ぐのはいいが、朝銀の件も糾弾しなければ人間として信用されることはないだろう。
さて、今回は開発のハード面について見てみたい。やはり、使われてきたのは日本製の電子部品などでした。また、日本からの密輸が大きな役割を果たしていました。
再び、金昌烈(キム・チャンヨル)氏の『朝鮮総聯の大罪 許されざる、その人びと』(宝島社)からお借りしたいとおもいます。
(以下引用 137~146)
活発化する北朝鮮の産業スパイ
(前略)現在では北朝鮮のスパイ活動は下火になっているのはないかと考える人もいるだろう。今は東西冷戦も終わり、南北首脳会談が行われる時代なのだから、過去のことはひとまずおいて、日朝が早く国交正常化することだけを考えた方がよいという見方だ。
しかし、北朝鮮によるスパイ活動はけっして下火になってはいない。いや、ますます日本・韓国に対する情報収集や謀略工作の必要性を感じ、これを強化しているとも言える。
その証拠となる最近の例としては、二○○○(平成一二)年一二月に摘発された「新宿百人 町事件」を挙げることができる。この事件では工作員・康成輝(カンソンヒ)が日本にキリスト教系のダミー団体を設立して二○年以上も日本に潜み、潜入してきた工作員に情報を伝えたり、韓国に地下革命組織を組織するよう指令を行っていた。
今日の北朝鮮のスパイ活動の狙いはどこにあるのだろうか。
その一つは、核兵器や弾道ミサイルなどの大量破壊兵器・先端兵器のために必要な技術や部品を盗み出すことだ。先に紹介した技術者工作員の例に見られるように、これは今や在日朝鮮人工作員の最重要任務と言ってよい。
北朝鮮の兵器は日本の電子製品の塊
北朝鮮のミサイルをはじめとする各種の兵器の部品の多くが日本製品であることは、日本でも一部のジャーナリストなどによって、早くから指摘されてきた。今日では、すでに常識になっていると言ってよい。
たとえば、一九九八(平成一〇)年に韓国海軍によって撃沈された有名な半潜水艇の例をみよう。(略)
ふつうのコタツ板ほどしかない狭い船室の中に、酸素吸入器をつけた四人の工作員が入って、 韓国への浸透(潜入)を図ったのである。(略)装備品は八五種七六二点だが、そのうち日本製であることが明らかなものが一八種七〇点もあった。割合では、二一パーセントにも達する。
とくに上部に備えられたレーダーや、船の位置を算出、確認するGPS機器が目立つ。これらはすべて日本の古野電気の製品だった。遠距離通信に使われるHF通信機などはアイコムの製品だった。(略)
北朝鮮がこうした製品を輸入するルートは主に次の四つだ。
- 民生品として直接合法的に輸入して、軍事に転用する。
- 香港やマカオなど第三国経由のルートを使う。
- 日本国内(秋葉原など)やその他の国で買ったものを持ち帰る。この際、輸出が禁止されている軍事転用可能な電子部品も、ポケットに入れたり、手荷物に忍ばせたりして、密輸する。
- いわゆる不審船(万景峰号も、公然とした不審船と見るべきであろう)に積み込んで密輸する。
リストに最も多く登場した古野電気は、漁船やプレジャーボート用のGPS、レーダー、魚群探知機(深度測定機)などの分野で、世界的な企業だ。(略)つまり、北朝鮮がその気になれば、世界中どこででも買う ことができるということだ。
また、ユーゴ級潜水艇の潜望鏡に取り付けられていたキャノンのカメラレンズは、銀行やコンビニェンスストアに設置されている監視カメラに組み込まれているものだ。この監視カメラは、日本国内のどこででも簡単に購入することができる。
これらの企業は、とくに九八(平成一○)年のテポドン発射以後は、たとえ合法的なものでも北朝鮮に製品を輸出したことはないと証言している。しかし、これらは秋葉原で簡単に買うことができる。(略)
もちろんノドン、テポドンなどの弾道ミサイルも、これらの潜水艇、半潜水艇と同じく、いやそれ以上に多数の日本製品が使われている。
日本製品はこうして密輸される
一九九九(平成一一)年に韓国に亡命した北朝鮮のミサイル技術者の李福九(リボクク)氏によれば、日本から輸入される軍事関係品で最も多いのはマイクロチップなどの半導体部品だ。北朝鮮では、ミサイル制御の電子回路を貼りつける基盤も、接着の材料も、それらの部品を洗う洗浄液もすべてが日本製だ。電子回路が正常に作動しているか、チェックするテスターなどの計測器ももちろん日本製の部品から作られている。
日本から北朝鮮への電子部品の密輸は、北朝鮮で軍需産業を統括する第二経済委員会の工作員と、商社に偽装した在日朝鮮人工作組織の共同作戦による。
第二経済委員会の担当者は万景峰号の船員として日本にやって来ることが多い。かつて朝鮮総聯系で、北朝鮮への電子部品密輸に最も大きな役割を果たしたのは東海商事という会社だった。ここは総聯直営商社のうち、最大規模を誇る会社だ。(略)
ともあれ第二経済委員会の担当者は北朝鮮から万景峰号に乗って、部品の買いつけに来る。彼らは、総聯系商社の担当者に案内されて、秋葉原の電気街を物色し、必要なものを購入する。そして巧みに税関の目を逃れて、貨客船・万景峰号で北朝鮮に運び出すのだ。(略)
米国からの帰途、来日した李氏は秋葉原を訪れ、どちらを向いても北朝鮮のミサイル開発に使われている製品があふれていると指摘し、日本の無防備と平和ボケを嘆いた。(略)
また、日本はただちにスパイ防止の軍事機密保護法をつくり、軍事情報をきちんと管理することが必要だ。日本に敵意を持つ北朝鮮のような国に重要な軍事情報を知られないようにしなければならない。
摘発される北朝鮮への軍需物資密輸
また二○○三(平成一五)年二月には、工学機器メーカーの「セイシン企業」が朝鮮総聯系の企業から注文を受け、ミサイル関連の機器を北朝鮮に輸出していたことが分かった。セイシン企業は一九九三(平成五)年末、粉砕機「ジェットミル」と関連部品のレーザーマイクロサイザーなどについて、東京都内の企業から注文を受けた。(略)
発注した企業は朝鮮総聯の傘下団体・在日本朝鮮人科学技術協会(科協)幹部が役員に就くなど、朝鮮総聯と関係の深い企業だった。(略)
ジェットミルは新潟港で、科協から北朝鮮国家への提供品として保管された。送り先は、人民武力部(国防省)の傘下企業だった。(略)
このジェットミルはミサイルの固体燃料製造に使われるとともに、塗料を作るためにも使われる。(略)
セイシン企業の社長・植田玄彦は「ジェットミルが軍用に使われるとは知らなかった」としらをきっている。いざという時には、「染物工場に納入されたはずだ」「塗料の原料を粉砕するものだ」などと弁明する用意があったわけである。(略)
このジェットミル輸出に総聯が深くかかわっていたことは言うまでもない。つまり、北朝鮮と総聯、そして関連企業が巧妙に連携して、北朝鮮の大量破壊兵器の開発を進めていたことなる。恐ろしいことと言わなければならない。
(以上引用終わり)
北朝鮮はついに対日「水爆攻撃」能力を持った
金昌烈(キム・チャンヨル)氏がこの本を上梓したのが2003年9月。
それから14年が経ちました。
今にして思えば、氏の言葉は予言めいていました。
本当に「恐ろしいこと」になってしまいました。
ちょうど半年前、2017年3月6日、北朝鮮は「4発同時発射」の弾道ミサイル実験を行いました。その4発のスカッドミサイルは、ほぼ等間隔で正確に着弾しました。
スカッドは東京や横浜も攻撃可能です。だいたい北朝鮮自身がその「4発同時発射」について「在日米軍基地を攻撃する」ためのものと説明しています。
もう大言壮語だけじゃないんですね。
スカッドに「水爆」の単弾頭を積んで、「複数同時発射」して「狙った場所に正確に着弾」させることも可能になったわけです。
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