私はかねてから次の持論を掲げてきました。
第二次大戦後の世界秩序は2017年でおしまい。
2018年度から新秩序が確立されるまでの過渡期に突入する
過渡期というのは、古い社会の崩壊と新しい社会の芽吹きとが同時進行するカオスの時代です。これまで信じられてきた常識や権威が揺らぎます。とくに戦後的なもの(たとえば憲法、平和主義と占領体制、保守と革新の対立軸、大企業神話、電通を頂点とするマスメディアなど)ほど凋落する。人々は何を信じていいか分からずに右往左往します。エロ・グロ・ナンセンス・刹那主義が流行ります。当然、争いや軋轢も多発します。
ただ、経済がしっかりしていたら、何とかなる。ところが、実はこの経済が一番やばかったりする。と言うと、「そんな馬鹿な、アメリカだって日本だって連日、株価が上がって、経済は極めて好況じゃないか」と反論する人もいるでしょう。
歴史では、1929年の世界恐慌をきっかけにして各国がブロック経済に走り、持たざる国家であった日独伊が対外拡張に打開策を求めて英米と対立し、世界大戦へと繋がっていったと習います。第二次大戦の遠因は世界恐慌だったんですね。
その世界恐慌のきっかけになったのがNY株の大暴落でした。
1929年の株価大暴落の本質は何だったのか?
始まりが1929年10月24日、いわゆる「暗黒の木曜日」(Black Thursday)です。ただし、下げ幅でいうと、10月28日、29日のほうが大きかった。この二日間で25%も下げました。だから29日のほうは「悲劇の火曜日」(Tragedy Tuesday)とも言うらしい。
当時のチャートを見てみましょう。
最高値は386ドル。1929年の9月につけました。
見ての通り、そこからどーんと真っ逆さまです。
最安値は40ドル。1932年6月につけました。ピークから約2年9ヶ月後です。
ほとんど10分の1くらいになってしまったんですね。モルガンやロックフェラーはこの底値で株を買い漁って、当時の米経済の6~7割を手中に収めたと言われます。
1861年から1865年まで南北戦争がありました。その後にアメリカ経済は大躍進したんですね。新興企業が続々と誕生し、経済が高度成長を続けました。
大きな視点でいうと、その繁栄がずっと1929年まで続いていた格好です。
で、「彼ら」がその戦後64年間の富の蓄積を見事に掻っ攫っていった。そもそも南北戦争終結後にアメリカにどんどん投資したのが「彼ら」でした。
モルガンやロックフェラーも、そうやって「彼ら」が作った子財閥に過ぎません。
その刈り取りとしてのイベントが世界恐慌だった、というのが私の見方です。
ちなみに、アメリカ投資の前に「彼ら」がやっていたのが、中国にアヘンを売りつけることでした。その時にも空前の儲けを手にしていたんですね。
昨年12月の「玉蔵さん&山田トークイベント」ではその辺の説明を少ししました。
まあ、それは置いといて、当時の株価の上昇はどこから始まったのでしょうか。
改めて調べてみて、はっきりしました。
1921年の8月だったんですね。
この時にダウ平均はわずか64ドル。ここが起点でした。
その約8年後、1929年9月にはピークの386ドルをつけます。
ちょうど6倍です。
この「起点からの時期と倍率」という概念に注意を払ってほしい。
80年代の日経平均株価のバブルと現代のアベノミクスの異常性
さて、私は日本のバブル経済の崩壊も、彼ら世界支配層による“刈り取り”だったとの説を唱えています。(下記、参考記事)
これに協力したのが中曽根や宮沢などの売国奴でした。
下の日経平均株価のチャートは、社会実情データ図録さんからお借りしたものです。丁寧な解説のついた、とても分かり易いチャートです。
では、その始まりはどこだったのでしょうか。
それが1982年9月でした。6910円です。
そこを起点として、7年数ヶ月かけてピークに達したわけです。
倍率はというと、約5・6倍です。
ちなみに、社会実情データ図録さんのチャートでは、現在の状況もカバーしているので、ついでに解説しておきましょう。
たしかに安倍政権が発足(実質2013年初め)してから株価が上昇しているのは一目瞭然です。逆に、民主党政権時代は、底値の当たりをずっとうろうろしていたんですね。
今年1月23日、終値ベースでは約26年ぶりの2万4千円台を回復しました。
しかし、日銀の金融政策は異常だと私は思っています。銀行の保有する国債をバンバン買い入れて代わりに大量の資金を流す。そればかりか、投資信託を買って、株価吊り上げの手助けをする。私は最初「え、これが中央銀行の仕事なのか? 法律に引っ掛からないのか?」と唖然としたものです。そうやって営利企業と同様のことをしてまで日経平均を押し上げている。それを知っている外資もどんどん買い入れている。
その結果としての、今日の株高です。私は世界支配層のシナリオでこういう無茶なことをやっているのではないかと勘ぐっています。
では21世紀版のNY株大暴落はいつ来るのか?
ただ、もっと危ないのはアメリカのほうですね。
NY株は連日の最高値更新です。
2018年1月20日には、史上初となる26000ドルを超えました。
今回の「バブル」はいつ始まったのでしょうか。
チャートからすると、2009年3月の約6627ドルのところです。
ちょうど、リーマンショックの約半年後に株価の最安値がきた格好です。リーマンショックとは、2008年9月に米投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことに端を発する世界的な金融危機のことで、当時は百年に一度の危機とも言われました。
ということは、現在(1月24日)は2万6210ドルなので、起点から9年弱かけて約4倍の価格に達しているわけです。繰り返しますが、
1929年のNYダウの大暴落・・・約8年かけて6倍の膨張
1990年の日経平均株価の大暴落・・・7年数ヶ月かけて約5・6倍の膨張
という前例からすると、現在のNY株価は、起点からの時期は熟しているものの、倍率がまだ低いように感じられます。
仮に6倍なら39762ドル。5・6倍なら37111ドルです。
よって、過去のバブル崩壊のレベルにはまだ遠いように感じられます。
しかし、注意しなければならないのは、第一に、ダウのチャートをご覧になれば分かるように、2017年から上昇カーブが反り返ってきた、ということです。
2017年の初めころは2万ドルくらいだったので、1年で5千ドルも上げた計算になります。つまり、株価の値上がりにグンと加速がつき始めた状態です。
第二に、過去の大きな暴落は、なぜか10月に起きているということです。
すると、上昇カーブが強まっていることからして、もしかすると、あと9ヶ月の間に1万ドル以上も値上がりする可能性がありえるのではないか。
つまり、2018年10月中にもNYダウが3万7千から4万ドルの間に到達するのではないか、ということです。起点から5・6倍~6倍のところです。
そして、そのポイントに来たところで、過去のように、盛大に崩壊する・・・。
ドイツ株もバブルに向かっている
ところで、ドイツも同様のプロセスにあるようです。
下はフランクフルトDAX(ドイツ株価指数)です。
ドイツ株でもやはりリーマンショックの約半年後に最安値がきていました。
2009年3月はじめに3690の底指数をつけています。
そして、今現在(1月24日)は約13560指数。約3・67倍の膨張率です。
やはり、盛大に破裂するにはまだ低い割合に思えます。
どうやら、日米と欧州株式市場の株高はもうしばらく続きそうです。というのも、「いったん上げてから落とす」というのが「彼ら」の手口だからです。これはバブルを崩壊させる時の成功体験ですから、次も同じ手口に違いありません。
今度は、NYダウの暴落に始まり、日経平均や独DAXや上海やその他に連鎖する「世界同時暴落→世界恐慌」というパターンではないかと思われます。
そうやって第二次大戦後に樹立された戦後秩序のフレームが強制的に叩き壊されるわけですね。おそらく「彼ら」的には、世界大戦も引き起こして一挙に「新世界秩序」へと持っていくつもりだろうと思います。世界恐慌は人々を戦争に駆り立てる役割も担っているということです。メディアに出て来る国際政治の専門家たちは、世界支配層の作った価値観のフレーム内で育てられてきた権威のため、本当のことは知りません。
ただし、私は前々から言っていますが、トリガーとしては日本の大震災のほうが先かもしれません。今のNY株が起点から6倍に膨張しなくとも、その手前のところで関東大震災が起きれば、その時点でゲームは終わり、同様に世界は恐慌に突入です。
この、どちらかのパターンになるだろうと、私は著書でも警告しました。
備えあれば憂いなし・・・今こそこの言葉を思い出してほしい。