みなさん、こんにちは。
アメリカはオバマ政権末期から南シナ海で「航行の自由作戦」を実施しています。
トランプ政権になってから、中国は「アメリカの覇権に挑戦するライバル国家」として位置づけられ、より作戦の頻度(又中国のいう“挑発”度)も増しているようです。
私は以前から、同海域ではいつ軍事衝突が起きても不思議ではなく、もはや第三次世界大戦の発火点であると述べてきました。
先日、非常に危うい場面がありました。
米艦艇に中国駆逐艦が接近 南シナ海 アメリカ軍が非難 2018年10月2日
アメリカ軍は、先月30日、中国が実効支配する南シナ海の人工島の周辺で艦艇を航行させる「航行の自由」作戦を実施した際に、中国軍の駆逐艦がおよそ40メートルの距離まで接近したことを明らかにし、危険な行動だとして中国側を非難しました。
事件の舞台となったのは、南沙諸島(スプラトリー諸島)のガベン礁人工島周辺。
下の資料はやや古く、造成中のものですが、今では基地が完成しています。
今回の米海軍の作戦艦艇がイージス駆逐艦「ディケーター」(USS Decatur)。
米海軍は接近の瞬間を写真で公表しました。
この事件はアメリカでも大きく報道されています。
暗視カメラの映像なんでしょうか。
前方を進む中国の艦船が、米駆逐艦の進路に侵入したという感じです。
ちょっと分かりにくいですが・・・どうやら「蘭州170号」で間違いなさそう。
例によって中国側の報道官は、自国の領海・主権と言い張り、米軍を非難しています。
しかし、2016年7月、オランダ・ハーグの国際司法裁判所は、その主張を退ける判決を下しています。そしたら中国は「そんなものが何だ」と開き直っているわけです。
ちなみに、領海(territorial sea)とは、12海里(約22.2km)まで。この水域は沿岸国の主権が及ぶ範囲と認められています。200海里よりも向こうが公海です。
中国がいかに「自国の領海」と主張しようとも、すでに国際司法の判決は出ている。
である以上、米海軍が南沙諸島の人工島の12海里以内に入って「航行の自由作戦」を行っても、あくまで公海上の航行と主張することができます。
仮に衝突したら、米軍側は「被害者」と「国際法」の二重の大義名分を得られます。
というか、意図的にぶつかってきた時点で相手による「攻撃」要件が成立するので、その場で反撃しても正当防衛が成立します。
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