1997年、IMF金融進駐軍を受け入れたエリツィンのロシアは、「西側」の一員としてサミットのメンバーに迎え入れられましたが(→G8化)、2014年のクリミア侵攻を機にプーチン・ロシアはサミットを追放されました(再びG7へ)。
ところが、トランプ大統領はそれを「戻せ」と言い始めた。
<トランプ氏>「ロシア、サミット参加を」6/9(土) 毎日新聞
【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領は8日朝、2014年以降、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の枠組みから排除されているロシアについて、「会合に参加すべきだ」との考えを示した。カナダで同日始まるG7サミットへ出発するのに先立ち、ホワイトハウスで記者団に語った。
トランプ氏は「なぜロシアがこの枠組みに入っていないのか。交渉のテーブルにつかせるために、復帰させるべきだ」と述べ、G8の枠組みで開催すべきだとの認識を示した。
一方、ロイター通信によると、ペスコフ露大統領報道官はトランプ氏の発言に対し「ロシアはG7以外の形式を重視している」と述べた。(後略)
もともと大統領選前も以後も、トランプ氏が親ロシア的で、ヒラリーが反ロシア的でした。ヒラリーはプーチンのことを「ヒトラー」とまで呼んでいた。
ただし、こういう個人感情以前に、アンチ・ロシアはG7としての決議であり、方針だったんですね。その時はオバマが米大統領で、プーチンと鋭く対立した。
つまり、トランプがロシアをサミットに戻すべきだと訴えているということは、西側(G7)としての一致した方針に反していることになる。
また、国内産業優先の保護貿易政策でも、彼はEU・日本と対立している。
最近はG7の中でのトランプのアメリカの孤立が浮き彫りになっています。
世界支配層は決して一枚岩ではない、その内部対立の顕れこそトランプだ
各国の首相や大統領の上に位置して“大方針”を決めているのが「超国家勢力=影の政府」ですから、表面的にはトランプはやはり世界支配層と対立しているように見える。
私はもともとトランプが大統領になる予定はなかったと見ている。
つまり、「影の政府」にとって、想定外の出来事。
ただし、大統領選でのトランプ候補の勢いを見て、とりあえず彼に「鈴」をつけた。それが2016年5月のトランプのキッシンジャー邸訪問。
キッシンジャーは組織の「ワイズマン」として、個人の資格で「300人委員会」の一席を持っている稀有な人物です。大半は財閥一族や貴族の「代表者・当主」で一席。
トランプがキッシンジャー邸に挨拶に向かった様子は全米にライブ中継されました。これは世界支配層の「仲間内に対するメッセージ」でもあったと思う。
ただし、世界支配層も決して一枚岩ではない。
世界支配層は欧米の政治と経済を裏面から支配する巨大な組織です。しかし、人間集団の常として「内部対立」を抱えています。
一つの国家の中や、一つの企業の中にも、常に内部対立があるのと同じ。
たとえば、日本の中にも、様々な政党があり、政党の中にも派閥がある。
「影の政府」も「世界の完全な支配」という究極の目的を共有し、各自が役割分担しているが、それでも集団同士の利害対立が常にある。
たとえば、「アメリカ 対 欧州」や「ユダヤ 対 キリスト教徒」。
ユダヤ人同士でも対立がある。国際ユダヤと民族派ユダヤ。イスラエルに住んでいる人と、ヨーロッパに住んでいる人では目線が違う。
「ロックフェラー 対 ロスチャイルド」みたいな、企業グループの対立もある。企業の前線にいる人間にとっては、死活問題ですから、必死でしょう。
「石油 対 原子力」などの産業対立もある。
「イギリス 対 フランス」のような国家間の対立もある。国家次元の問題では、世界支配層の人間といえども、自分の国家を取るのが当たり前です。
ロスチャイルド家の英仏家などは、2世紀前からいがみ合っている(笑)。
つまり、内部対立は人間集団の常だから仕方ない。しかし、それで世界支配層としてのフレームそのものが壊れるわけではありません。
ちょうど、日本政府・国内の中で激しい内部対立をしても、日本という国そのものが揺るがないのと同じことです。それは一段次元の低い対立なんですね。
私は、おそらく、世界支配層の中の「シオニスト強硬派」がトランプ支持に回り、その他大勢と対立しているというのが真相だと思う。ややこしいのは、元から世界支配層と対立してきたアメリカ民族派もまたトランプを熱心に支持しているということ。
それゆえ、トランプは世界支配層そのものと対立しているように見えるが、正確には「世界支配層の多数派」と対立していて、小数派はむしろ彼の側だということ。
だから、これは「トランプ 対 影の政府」のように見えて、実際は内部対立なんですね。
私はロシアとの全面戦争を防ぐためにも、トランプさんには二期目もぜひ大統領をやってほしいと願っています。
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