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「美味しんぼ」の雁屋哲氏が語る「鼻血場面騒動」の真実と近況

出典:美味しんぼ原作者雁屋哲さんインタビュー https://www.youtube.com/watch?v=zW9H5ykOovU

当サイトをずっとご覧の方なら、食べ物系の話題で、私がしばしば「美味しんぼ」の場面を引用することをご存知かと思います。

マンガはずっと愛読していましたね。

単行本は、一、二巻を除いて、すべて揃えている。

朝日新聞の論説委員にもファンが多い。どうやら、自分たちを主人公の東西新聞社に投影していて、ライバルの帝都新聞を読売だと思っているらしい。

そういえば、最新の「美味しんぼ」が読めなくなって久しい。

2014年の「鼻血場面騒動」がきっかけで、連載休止へと追い込まれたためです。

当時からの私の率直な感想を言うと、なんであんな大騒ぎするのか分からなかった。

言ってしまえば、たかが一作品の、一場面である。

雁屋氏は自身が体験したことを描いたと言っている。

雁屋氏がそれを描くのは自由。ただし、それを批判するのもまた自由である。

しかしながら、私の見るところ、「風評被害バッシング」がどんどんエスカレートしていった。当時、原発事故問題に関して風評を垂れ流すものがいたのは事実。ただ、それに対するバッシングも、「美味しんぼ」に関する限り、明らかに過剰だったと思う。

たかが鼻血の場面を描いただけで、「美味しんぼ」が連載休止にまで追い込まれたのは異様である。表現の自由に対する全体主義的抑圧の勝利であり、日本社会の恥・敗北だ。

その「美味しんぼ」の作者の雁屋哲氏が、ブログで興味深いことを書いている。

私は雁屋氏の主義主張にすべて賛成するものではないし(当たり前だ、違う人間同士なのだから)、韓国に対する歴史観は大きく異なるが、それでも氏の言論や表現の自由は尊重しなければならないと考える。とくに数に威を借りたバッシングは醜悪で許し難い。

下のブログ記事は、これまで公にされていない当時の裏話が満載であり、是非ともリンク先で全文一読してほしい。ここでも少し紹介させていただきたい(赤字は筆者)。



「雁屋哲の今日もまた」の「奇怪なこと」(2019-04-15)より

奇怪なことが私の身辺に起こったので、ご報告します。 大変に長くなりますが、事の次第で仕方が無い。 お読み頂けれ…

奇怪なことが私の身辺に起こったので、ご報告します。(略)

話しは2014年に遡ります。

その年の4月末に発売された「ビッグコミック スピリッツ」誌の第22・23合併号に「美味しんぼ 福島の真実編」第22話が掲載されると、突然、新聞、テレビ、週刊誌、インターネットで私に対する非難が巻き起こり、しかも、国会議員、大臣、最後には総理大臣まで乗り出してきました。

安倍晋三首相が「美味しんぼ」を風評被害を巻き起こすと非難するのがテレビで流されました。

その回の「美味しんぼ」で、主人公の山岡が福島の取材から帰ってきた直後に食事中に鼻血を出す場面が描かれています。

この、鼻血がいけないと言うのです。

これでは、福島は放射線量が高くて危険なところであるように思われる。

それは、福島に対する風評被害を生み出す、のだそうです。

「風評」とは「デマ」「うわさ」のことです。

しかし、この鼻血が出た問題は根拠のないことではありません。

私自身が、福島の取材から帰って来た次の日の夕食時に突然たらたらと鼻血が出始めたのです。(略)

さらに、その頃から、非常な疲労感を覚えるようになりました。(略)

鼻血は一回だけでなく、翌日また出ました。(略)

割り込みます。

このように、雁屋氏は、現場を取材して自身が体験したことを、マンガの主人公に仮託したに過ぎない。いったい、その何が悪いのだろうか?

政治的要素のある表現に、何らかの批判は付きものだし、人が100人いれば、1割2割は批判するものだが、果たして国を巻き込んでの騒動は妥当だったのか?

大臣や安倍総理がわざわざ言及するほどのことだったのか。

マンガの当該箇所を見れば、別に彼が福島に悪意があったとか、貶めようとしたわけではないことは一目瞭然だ。“傷ついた”福島市民がいたかも知れないが、不特定の市民感情を無制限に考慮していては何も表現できなくなってしまうのも事実。

しかも、下を読めば、雁屋氏の体験がますます尋常ではないことが分かる。

私は取材の最後に、2013年4月に、埼玉県に避難していた福島第一原発事故の際の双葉町の町長井戸川克隆さんを訪ねました。(略)

で、私が「理由が分からないのに突然鼻血が出まして」といったら、(岐阜環境医学研究所の所長の)松井先生は「やはり」と仰言います。

同時に、福島取材で色々と力を貸して下さった、斎藤博之さんが、驚いて、「えっ!雁屋さんもなの!僕もそうなんだよ。あれ以来何度か出るようになった。病院に行っても理由が分からないと言うんだ」

すると、取材にずっと同行してくれていた安井敏雄カメラマンが、「僕もそうなんですよ」と言います。

なんと、福島取材に行った我々取材班4人の中の3人が鼻血を出していたんです。

ついでに私が耐え難い疲労感について言うと、斎藤博之さんも、安井敏雄さんも「ああ、私もそうですよ」「いや、ひどく疲れてたまらないんです」といいます。

驚いたことに、それを聞いて井戸川前町長が、「私も鼻血が出ます。今度の町長選の立候補を取りやめたのは、疲労感が耐え難いまでになったからです」(略)

その後、斎藤さんの体調は回復せず、歯茎からも血が出るようになり、2017年に脳梗塞で亡くなりました

「福島の真実編」は約1年にわたる取材と二巻におよぶ長期連載編であり、雁屋氏と「美味しんぼ」取材班はその間、繰り返し現場入りしていた。

こういうリスクを負っただけでも、敬意に値すると思うのは私だけだろうか。

ここで雁屋氏が匿名人ばかりを出して「ほら、私以外にも鼻血を出していた」と主張していたら、私はここで読むのをやめたが、こんなふうに実名ばかりを出している以上、疑いを差し挟む余地はない。しかも、一人の方は「歯茎から出血」のち死亡である。

この後、岐阜環境医学研究所の所長の松井英介氏は、放射線だけの影響とは断定できないとしつつも、それがいかにして鼻の粘膜や毛細血管を傷つけ、鼻血に至らしめるを科学的に解説している。つまり、「鼻血」表現は、どうやら一定の科学的根拠を有するものであり、人々に分かり易い情緒的でセンセーショナルな訴求手法であるかのように、今に至るまで誤解されているのではないか(ただしその手法を濫用する者がいるのは事実だが)。

さて、そんなふうにして雁屋氏はバッシングされるのだが、連載誌の「編集部は私よりもっと大変な目に遭って」いたという。以下つづけよう。

担当の編集者から「朝から抗議の電話が鳴り止まずに、編集部全体が困っています」と聞かされたときには私は驚きました。(略)

私は、このブログに「私に文句のある人は、私のこのページ宛てに書いて貰いたい。編集部に電話をかけると、編集部が迷惑するから」と書きました。

それで編集部に対する電話攻撃が収まったから思ったらその逆でした。(略)

おかしなことに、私のこのページには一件も文句の書き込みはありません。

安倍晋三首相の言葉に躍らされて私を風評被害引き起こす悪者扱いするような人たちは、ただ騒ぎたいだけで私に直接文句を言ってくる根性も勇気も無い人たちなのだと私は思いました。しかし、そんな単純なことではないことが後になって分かりました。(略)

その時編集長から詳しく聞いた話は私の想像を絶するものでした。

編集部には電話が20回線引いてあります。

その20回線の電話に朝10時の業務開始時間から夜7時、時には10時近くまで電話が鳴り止まないというのです。

それもいきなり怒鳴る、喚く。電話を受けた編集者が返事をすると、その返事が気にいらないと喚く。返事をしないと、なぜ返事をしないと怒鳴る。それが、1時間にわたって続くのです。(略)

編集部員はその度に応対しなければならないし、電話回線は塞がれてしまい、作家との打ち合わせなども通常の時間に出来ない。

そういうことが、毎晩続く。(略)

私はこの電話攻撃は大変に不自然だと思います。(略)

電話をかけてくるのは最初に私が考えたような普通の市民ではない。特殊な人たちだと私には分かりました。普通の抗議電話とは違います。(略)

私個人に対してではなく、小学館を標的にした行為です。

小学館に謝罪をさせた方が社会的に効果が大きいからです。

これは、そのような意図を持った指導者が脅迫のプロたちに命じてさせたことだと思います。

編集部員に対する脅迫の仕方が、あまりに手慣れている。普通の人間には出来ないことです。

世の中には、様々な企業に難癖をつけるのを職業にしている人間がいます。

企業を脅して、嫌がらせを続けて、企業にことを収めるために何らかの金品などを差し出させるのが目的です。(略)

編集長によれば出版社は読者と称して電話をかけてきた相手には丁寧に応対しなければならないのだそうです。(略)

実に卑劣な連中です。

本当に卑劣な連中で、読んでいて、私も腹が立った。

出版社の良識につけ込んで、えんえんと相手の時間と労力を奪って、仕事をできなくさせる。そうやって泥沼に引きずり込み、精神的にも疲弊させ、降参(連載休止)にまで追い込んでいく・・。純粋に政治的信条から出た行動だとしても卑劣。

金をもらって、こんな嫌がらせをやっているとしたら、ますます卑劣。

こういう連中は、いつか、必ず、報いを受けるだろう。

それにしても、編集長の対応も、ややぬるい。

そういえば、私もふと思い出すことがある。元横綱の朝青龍が現役時代に韓国の記者に対して「このキムチ野郎!」と怒った出来事があった。

あの後、なぜか、右翼団体が両国で朝青龍を非難する街宣を続けていた。しかも、高砂部屋のそばまで乗り付けて、拡声器で糾弾するのである

それが物凄いスピーカーの音量である。当時、私は警察に「ここは住宅街のど真ん中だから、早く注意して止めさせろ」と電話したことがある。

だいたい、なんで朝青龍が韓国の記者を怒鳴りつけたら、“右翼団体”が地元まで来て執拗に抗議しなければならないのか。

この“右翼団体”は何なのか? よほど暇なのか?

いや違う。こいつらは金を貰って動いているクズに過ぎない。

話を戻すと、スピリッツ編集部に対して行われた執拗な抗議活動は、明らかな威力業務妨害事案である。ちゃんと、社の顧問弁護士を使って、警察に告訴して、正式な捜査をやるべきだった。匿名で人の背中を刺すやつらは、表に引っ張り出されることをことのほか恐れる。

ちょうど、Gブリが光の当たっている場所を嫌うように。

そうやって相手の素性を割って、自社の雑誌でさらし者にしてやればよかったのだが・・。

さて、この後、雁屋氏と当時の編集長のメールのやり取りが載せられている。

どうやら、在中日本大使館などの国家機関も関係した、有象無象の妨害・疎外の出来事が、雁屋氏と当時の関係者に対して、今も起きているようだ。

やるせないのは、権力と、権力にぶら下がった者たちだけでなく、明らかに普通の人たちも“空気を読んだ”のか、雁屋氏に対する村八分に加担していること。

(略)その後も何度か頼まれて幾つかの集まりに出席したのですが、そこに集まった人たちの態度が何かおかしい

私から、一歩引いて接する。よそよそしい

以前は「美味しんぼ」の原作者と言うことで、非常に好意的に親しく私の話を聞きたいと言う態度を取る人が圧倒的に多数でした。しかし、今は、私を見る目つきが違う。関わり合いになるまいとするように、用心深く私から引く。

私の話しも、話半分程度に聞いている、という感じがするのです。

どうやら、「風評を流した加害者」との汚名に今も苦しんでおられるのが雁屋氏の近況のようだ。

今になって雁屋氏から距離を取ろうとする人たちに言いたいが、こんな時にこそ、人間の器量が問われていることに気づいてほしい。

そうやってバッシングされ、疎外された雁屋氏の気持ちは私も分からないではない。

ある種の匿名者たちは、それをよいことに、政治的に異なる立場の人たちに、簡単にレッテルを貼り、汚名を着せ、社会的評判を貶め、葬ろうとする。

しかも、あの「鼻血表現騒動」のあった頃の日本の空気は、原発問題とエネルギー問題の論争で、いつも以上にピリピリしていた。

当時、私は「アゴラ」というサイトで、エネルギー論をよく書いていた。

で、何かを書くたびに、原発肯定派からは「原発を否定するお花畑の自然エネ論者」と思い込まれてバッシングされ、逆に原発否定派からは「原発推進派の池田信夫の手下の工作員」などと思い込まれてバッシングされたのである(笑)。

両者に共通しているのは、私の文章をまともに読まずに(あるいは“読めない”のか)、少しでも自分と違うと思えば、感情的に攻撃してくることだろう。

とにかく、「何々の手先」とか「工作員」とか「回し者」とか、卑劣なレッテルを貼ってくる有象無象の連中が、掃いて捨てるほど現れた。

当時私が書いた記事は、「新世界」サイトの下部からすべて見ることができる。

ちなみに、私は万一にも「原発推進派の手先」とか「工作員」などと誤解されぬよう、記事を掲載した「アゴラ」からは一円たりとも執筆料を受け取らなかった

「アゴラ」にはPVに応じて執筆料がもらえる仕組みがあり、ヒット記事が比較的多い私はかなり稼げたはずなのだが、それでもあえて受け取りを拒んだ

つまり、一文の得にもならないこと承知で、エネルギー論議に時間と労力を割いた。

それでいて原発肯定派と反原発派の両派から悪口を言われまくるのだから、踏んだり蹴ったりである(笑)。仮に、「私が正しい事を天(神様)だけが知っていればよい」という思考の持ち主でなかったら、とてもではないができることではない。

また、「アゴラ執筆陣は裏で申し合わせているに違いないのだ」と勘ぐっている馬鹿がいるが、少なくとも私は自分の好き勝手なことを書いて、それで通っていた。

だから、当時のエネルギー論争の中で、あえて記事収入の道を断って、孤高の論陣を張っていた私ほど、中立的な者はいなかったはずである。

ま、しょせん、匿名で「回し者ガー」と叫ぶしか能のないトンビ連中には、鷹の志は分かるまい。今見れば、やはり私のエネルギー論ほど正しかったものはないと思うが・・。

おっと、つい私のグチになってしまったが、とにかく、雁屋氏を疎外したところで、社会にとってよいことは何一つない。マンガの連載も再開してほしい。

だいたい、鼻血表現程度で、ギャーギャー騒ぎ立てる神経のほうがおかしいのだ。

しかも、その表現弾圧に何らかのプロ筋が関わっているとしたら、そっちのほうが人間の自由と権利にとってよほど重大問題であり、許せないことだ。おれはサヨクでも何でもないが(なぜか右翼呼ばわりされるが)、この問題に関しては徹底的に雁屋氏の表現の自由側に立つ。小学館もいちいち抗議に屈してマンガのページを差し替えるな。

ところで、雁屋氏は最後のほうで、こう記している。

「一つの国が滅びるときには必ずおなじことが起こります」

そういって、以下に雁屋氏が続ける警鐘は、傾聴に値する。

そこのところは、ぜひ本文で目を通してほしい。

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