加計学園 何が問題? 本質をズバリ解説【1・選考における疑惑】

事件・時事




これから数回にわけて「加計学園問題」あるいは「加計学園疑惑」の“本質”とは何かということを追及し、併せて私の考えも述べていきたい。

前川元事務次官・朝日新聞サイドに立つ側も、安倍総理・官邸サイドに立つ側も、この問題を「正 VS 不正」の構造で捕えているように思える。

つまり、こちらが正しくて、相手が不正なのだ、という具合である。これは人が己の中のバイアスに自覚的でない場合に陥りやすい罠の一つではないかと思われる。

前者を例にとるなら、前川氏が記者会見等の機会を利用し、「行政が歪められた」から自分は立ち上がったというふうにうまく世間に印象付けたことで、この問題が「正 VS 不正」の構造だという認識が広まった。ところが、私はどうも「不正 VS 不正」というのが本当ではないかという気がしている。つまり、彼もまた腐敗を代表しているのだ。

しかも、そうでありながら「どちらにも理がある」というケースでもある。つまり「正 VS 正」の側面も持っている・・。これが私の中で浮上した真の構造である。

ともあれ、結論を急ぐ前に、まずはこの問題の交通整理をしてみよう。



獣医学部新設に至ったこれまでの経緯

獣医学部は1966年の北里大学での開設を最後に文部省(現・文部科学省、以下、文科省)の方針によって新設が認められてこなかった。

かねてから四国にだけ獣医学部がなく、加計学園・今治市(いまばりし)・愛媛県は、獣医師の不足を理由に2007年から新設を求め続けた。

2009年には四国4県の知事が連名で新設を求めた。

しかし、2014年までに計15回申請したが、すべて却下された。背景には業界団体である日本獣医師会の反対と、文科省の岩盤規制があると言われている。

このような状況下、2016年1月、今治市が「国家戦略特区」に認定される。

この制度の趣旨は、公益に叶う政策ならば、国・自治体・民間業者の三者が規制改革について協議しつつ、従来の縦割り行政や省庁間の縄張りを踏み越えて、政治主導で一挙に実現していこうというもの。認定を行う特区諮問会議の議長は総理大臣

この安倍総理を長とする諮問会議が、自治体の長年の訴えに応えた格好だ。

業者選定における疑惑のポイントとは?

さて、この時点で獣医学部新設に名乗りを上げていたのが、愛媛県の郊外にある「加計学園」と「京都産業大学」の二校

しかし、新設を認める条件の文書原案が突如、修正される。

2017年6月半ば、「総理のご意向」などと記された複数の文書が文科省内にあったことが、松野大臣から公式発表された(以下一部)。くだんの文書原案は、2016年11月に内閣府から文科省に送られたメールの添付として存在した。

同省が記者会見で配布した21枚の資料の冒頭部分

同省が公表したところによると、元の原案は以下だった。

(前略)全国的見地から、現在、獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を可能とする認めるため、関係制度の改正を直ちに行う。

ところが、萩生田光一官房副長官から次の加筆修正指示が出された(赤字部分

(前略)全国的見地から、現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限りおいて獣医学部の新設を可能とする認めるため、関係制度の改正を直ちに行う。

修正された箇所

当該メールの差出人と宛先等。下に「内閣府」の文字が見える

この「広域的に存在しない地域に限り」新設が可能という修正により、京都産業大学は欠格となる。そして同年11月9日、諮問会議はこの文面で決定した。

2016年11月9日開催の国家戦略特別区域諮問会議とその出席メンバー

かくして獣医学部新設は加計学園に絞られた。

そして、2017年1月、内閣府と文部科学省はこの条件で公募を行い、加計学園が特定事業を行うと見込まれる者として正式に選ばれた。

加計学園には今治市から37億円の土地が無償提供され、また建設費の半額の96億円は同市と愛媛県が負担するという。

ちなみに、日本獣医師会は「決定撤回もしくは1校のみ」を求め、関係大臣らに伝えて働きかけていた。そして選定後、蔵内会長はその活動が実ったと述べた。

このまま順調であれば、同校の獣医学部は2018年4月設置されるという。

「2・文科省の内部文書の是非」へとつづく。

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