金正男氏の暗殺については、現在諸説あって、「米軍暗殺説」とか、「中朝再接近を目論む中国が実は真犯人説」とか、いろいろと出ていますが、次のニュースを見ると、やはり普通に「金正恩が邪魔者を消した」と結論してもよさそうですね。
北朝鮮の金正恩委員長が出席した故・金正日総書記の誕生日を祝う中央報告大会で「金総書記の後継問題が解決した」と報告がされました。朝鮮中央通信によりますと、金総書記の誕生75周年を祝う中央報告大会で、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長は「金総書記の指導の継承問題を完璧に解決したのは千年、万年の未来とともに末永く輝く最も貴い業績だ」と強調しました。また、12日に発射実験した新型弾道ミサイルに言及し、「民族最大の祝日である金総書記の誕生日を輝かしく飾った」と話し、金委員長の指導のもと「アメリカの対北朝鮮敵視政策を断固、粉砕しよう」と呼び掛けました。
金正日総書記生誕75年「後継問題が解決した」と報告北朝鮮の金正恩委員長が出席した故金正日総書記の誕生日を祝う中央報告大会で「金総書記の後継問題が解決した」と報告がされました。 朝鮮中央通信によりますと、金総書記の誕生75周年を祝う中央報告大会で、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委...
やっぱり中国が金正男氏を担ぎ上げかねないから、邪魔だったんですね・・。
それにしても、金正男氏は気の毒です。この人はラーメンが好きで、偽名で秘密裏に訪日していた頃、あちこち食べ歩いていました。二つのドンブリがくっついて二種類の味が楽しめる赤坂ラーメンという店がありますが、正男氏もファンだったという。今にして思えば以前私が食べた時に隣で麺を啜っていた暑苦しいデブは彼だったのかも・・。
さて、前回言いましたが、日米首脳会談中に弾道ミサイルをぶっ放したことで、結果的に日米同盟は強化されました。トランプにその場で「同盟国日本を100%支持する」と約束させた安倍さんの大勝利です。もう帰国して笑いが止まらない人生絶頂の時じゃないかと想像します。中国にしてみれば「何ちゅうことをしてくれたんじゃ、おのれは!?」と、ただでさえ激おこプンプン状態だったのに、今度は持ち駒の金正男まで消された。
さすがに私も「そこまでやるかよ、おい・・・」と絶句しました。
それは属国朝鮮が中国の頚木から永遠に脱するための切り札だった!
金正恩も同じ東アジア原人ですから、当然、中国の面子を潰すことになるのは知っています。逆に言えば、彼にはそれだけの自信、否、「切り札」があるということ。
それで私は確信しました、「北朝鮮が核ミサイル保有国になった」というのは100%間違いのない事実だと。おそらく、北朝鮮は射程1300キロの「ノドン」ミサイルの性能には一定の自信を持っているはずです。これで北京、天津はおろか、上海まで狙えるんですね。私たちはつい対南・対日・対米兵器だと思い込んでいるわけですが、実際にはいざという時のための「対中戦略兵器」でもあるんですね。
しかも、現有核弾頭が20発前後、準中距離弾道ミサイルも固体燃料・移動発射台方式に転換中。いつでも好きな時に、どの国よりも真っ先に首都北京を灰にできる・・・これが金正恩の自信の背景です。すでに何基かは実戦配備済みでしょう。仮に中国軍が攻めてきても、相手を道連れにはできる。だから中国も、もう手出しできない。
それゆえ私は次のように推理します。故金正日の誕生日記念の直前に、あえて中国の手持ちカードの金正男を消すという、挑発とさえ受け止められかねないリスク行為を敢行したのには、中国に対する次のようなメッセージも込めていたからだ、と。
「どうだ、おまえたち中国はもう朝鮮半島に攻めて来られまい! われわれはもうおまえたちの言いなりにはならないぞ!」
おそらく、これが隠れた真相ではないでしょうか。しかも、これは亡きオヤジの悲願でもあったので、亡きオヤジへの報告も兼ねていたのではないか。
そして、何よりも、これは朝鮮民族の歴史的な悲願ではなかったかと思う。
キム親子三代の悲願――北朝鮮の核開発物語
こんなことを口にしたら怒る人もいるだろうが、私が朝鮮人だったら、金正日と金正恩の親子二代を英雄と見なしたかもしれない。
実際、この二人の手腕には、ほとほと感心する。まず冷戦終結とソ連からの支援の停止というハードルがありました。だから、彼らは体制の生き残りのためにNPT(核拡散防止条約)を脱退し、核・ミサイルの本格的開発に活路を見出したわけです。
金日成が死亡したのが94年7月だったので、決断自体を下したのは彼だった可能性もある。ただし、時期的に見ると、開発事業の大半は金正日の時代です。
で、そうやっていったんは核開発をぶち上げておいて、次にその凍結を見返りとして、まんまと西側から援助を引き出すことに成功した。しかし、国際社会の裏をかいて、実際は秘密裏に核とミサイルを開発し続けたわけです。
ただ、明らかにアメリカにも責任があります。ブッシュ政権は北朝鮮を「悪の枢軸」の一国と見なして、「次はおまえだ、北朝鮮!」などと宣言していました。それで、米軍に殺られたイラクの惨状を見て、金正日は「生き残るためには米本土に到達する核ミサイルを開発するしかない」と堅く決意したわけです。以下の記事に書きました。
で、その後、とうとう最初の核実験に漕ぎ着けました。同じ頃、イラクの泥沼に嵌まった米の方針転換もあり、いったん「六カ国協議」で核施設稼動停止を約束して、北朝鮮も見返りの援助を貰います。しかし、またしても西側を出し抜いた。
こうして、北朝鮮はクリントン政権とブッシュ政権の二代をうまくやり過ごしました。そして2009年に核実験を行い、以後、ひたすら開発にまい進しました。
そして、2011年12月、金正日が死去し、金正恩が後を継ぎました。
言ったように、2013年の三度目の核実験強行以降、中国とも関係が悪化しています。今回の「ミサイル発射・暗殺」の「W挑発」で、敵対関係へと移行するかもしれません。
金正恩と習近平も、互いに相手を嫌っているようです。独裁国家ではこういった指導者の個人的感情が政治を左右する重要な要素にもなります。
金正恩は、昨年2016年には、戦略的忍耐(笑)のオバマ政権をあざ笑うかのように、二度の核実験と24発のミサイル発射実験という、怒涛の実験ラッシュをやりました。そして、ついに「ノドン核ミサイル」を実用化に漕ぎ着けたと推定されます。
そして物語の結末
これまで北朝鮮は、クリントン・ブッシュ・オバマの三代に渡って、うまく米国を欺き、又はやり過ごしてきました。そして核ミサイルを手に入れました。
おそらく、金正恩は今「これでもう怖いものはない」という一種の万能感に満たされているのかもしれない。ちょうど、素人が始めて銃を所持した時のような高揚感でしょうか。だから、調子に乗って、バーンと中国に三行半(離縁状)を突きつけた。
まあ、中国相手にはそれでいいでしょう。しかし、この男はやはりボンボンだ。というのも、自分よりもっと悪いヤツがいることを知らない。それが米・イスラエルとその背後にいる連中です。金正恩が残酷な独裁者といったところで、せいぜい数百、数千人を処刑した程度だろう。だが、彼らは同じ時期、その百倍のシリア人を殺害した。
おそらく、金正恩としても、まだ一抹の不安があるはずだ。それが米本土、とりわけ東海岸必中の長距離核ミサイルを完成させていないということ。だから「あとそれさえ手にすれば・・」と強く願っているはず。しかし、そうは問屋が卸さない。
結局、金正恩はさらなる悪によって消される・・そういう結末でしょう。
スポンサーリンク