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2017年9月11日、北朝鮮との戦争が始まった

奇しくもNY同時多発テロから16年目を迎えた先の9月11日、北朝鮮に対する国連安保理の追加制裁決議が可決した。

北朝鮮が9月3日に強行した水爆実験に対するものだから、異例のスピードだ。その3日後には当初案を各国に提示しているから、米国はかなり前から準備していたようだ。

私は米国が意図して9月11日に間に合わせたように思えてならない。

今回の制裁では当初、北朝鮮への原油や石油製品の供給を全面禁止する案だったが、上限を設定する「修正案」に変更された。これに対して、完全な禁油に反対する中ロ側に、全会一致の採択を優先した日米側が妥協したと言われている。

メディアでは「骨抜きになったのではないか」という解説も見られる。

果たしてそうだろうか。私はまったく逆に日米の大勝利だと直感した。

そして、同時に「これで戦争になった」と思った。



北朝鮮の輸出収入が9割減の衝撃

8月の記事で私はこんなふうに記した。

なぜ中国が送油管のバルブを閉めると第二次朝鮮戦争になるのか?
まず前回の記事で肝心なことを書き忘れていました。 仮に今の日本がアメリカの後方支援という形で北朝鮮と交戦状態に突入し、また憲法改正に踏み切ったら、これほど明確な「戦後日本の終わり」はないだろう。 さて本題。 さる8月5日、...

さる8月5日、国連安保理は北朝鮮に対する経済制裁を全会一致で採択した。

今回は従来の形だけの決議とは異なっており、中国やロシアも賛成して、北朝鮮の主要な収入源である石炭・鉄鉱石・海産物・鉛鉱石の輸出収入を断つ内容となっている。これで北朝鮮の年間輸出収入の三分の一を減らす効果があるとされる。(略)

しかし、なんとか石油の輸出禁止措置だけは先送りした格好だ。対北制裁措置は、残るは本当にあと石油禁輸だけ、というわけではないが、それに近い状況になった。

まず、前回の決議で、一気に北朝鮮の収入の三分の一を断った。

そして、今回の決議で、「繊維輸出」を禁止し、朝鮮人の海外への「出稼ぎ労働」に大きな制限をかけた(*新規就労が不可で、現在の契約も更新不可)。

この二つ合わせて、北朝鮮は年間約20億ドルの収入を得ていたと言われる。

これで、前回の制裁と合わせて、年間約30億ドルと目される北朝鮮の輸出収入の9割が断たれる格好になったわけだ。

エネルギー供給に関して言えば、液ガスが断たれ、石油関連の輸入が3割減となる。これだけでも発電所・工場・運輸・交通・国民生活などに大打撃である。

北朝鮮にとって失業問題の悪化も深刻だ。前回の石炭禁輸だけで、すでに30万人もの職が失われたとも言われている。

また、「繊維輸出」とは、要するに典型的な労働集約型産業である衣類加工のことだ。北朝鮮の女工たちが中国企業などの下請けをやっているのだ。また、男の労働者は中ロの建設現場などに派遣されているが、これが10万人弱いると言われている。

つまり、日米は、石油の全面禁輸を見送った代わりに、いわばその妥協をエサとして、北朝鮮の輸出収入を9割断つ制裁の合意を中ロから取り付けたわけだ。

「米国が中ロに大幅に譲歩した」といったところで、実態はこれである。

しかも、上は加盟国に法的拘束力を持つ「安保理決議」だが、米国はこれとは別個に「独自制裁」も進めている。

たしかに全面禁油に関しては将来に含みを残した形になったが、その代わり、米国は北朝鮮と石油や金融の取引をしている企業に対して独自制裁を始めている。

これにより、北朝鮮は銀行間のドル決済から締め出される。すでに石油取引絡みで、遼寧省の「丹東銀行」に金融制裁が実施された。中国の金融機関は一斉に北朝鮮との取引を停止した。だから北朝鮮の担当者は、現金で現物の買い付けを強いられている。

金正恩は「死に方」を選ばなければならない段階へと追い詰められた

こういうのを昔の言葉で「兵糧攻め」という。

これが戦争行為ではない、という見方は間違いである。

しかも、秀吉の「小田原攻め」や家康の「大阪冬の陣」よりも巧みなのは、北朝鮮の損害だけが続くことだ。日米はいくらでも待っていられるのである。

対して、北朝鮮はどうなるか。時間が敵になる。

北朝鮮が月に30万円の収入を得ていた労働者とするなら、突然、それが3万円に激減したわけだ。ただし、貯金が300万から500万ほどある(*金正恩個人が海外の匿名口座などに持つ個人資産が30億~50億ドルあるとされ、今後はその凍結が制裁候補に挙がっている)。30万円の収入でこれまでの暮らしがトントンだとすれば、来月から貯金を崩しながら生きていかざるをえなくなる格好だ。

こういうのを「ジリ貧」という。何もせずともジリジリと追い込まれていくからだ。

我が身に置き換えれば、たとえ耐久生活に移行しても、1年後くらいには破滅することが予測できるはずだ。例えるなら「ゆっくりとした死」である。

この制裁を解除するには、非核化の要求を飲まなくてはならない。

だが、金正恩個人にとって、それもまた「死」ではないだろうか。この点に関しては、「アメリカのいう“北朝鮮との対話”は最初から成立しない」で詳しく述べた。

アメリカのいう“北朝鮮との対話”は最初から成立しない
当記事は、前回の「アメリカは最初から“外交的解決”なんかする気はない」と密接に関係しています。 多くの人が公式声明とか公式発表の類いに騙されている。 左派・リベラル派などは、日本政府のそれは疑ってかかるくせに、米政府が北朝鮮に「...

北朝鮮が非核化を証明するためには、国中のあらゆる秘密の施設や軍事機密に査察官が自由に立ち入り調査できるよう、取り計らう必要がある。

つまり、全面降伏と同じこと。核・ミサイル開発は金日成・金正日時代から始めたことだから、これは金正恩のような独裁者にとっても政治的には不可能だ。

しかも、そうやって国を明け渡しても、身の安全が保障されるわけではない。カダフィは核開発を自主放棄して、それで西側に内乱を扇動されて殺された。

つまり、金正恩の視点でいえば、このまま何もしなければ、ジリ貧で死ぬだけ。

他方で、非核化という“全面降伏”をしたところで、実質「死」と同じ。

座して死ぬか、白旗を掲げて死ぬか、それとも戦って死ぬか・・・もはやこの三つしかない。9月11日の決議によって、彼は「どの死に方がいいか」という選択を突きつけられた格好だ。つまり、外交は終わったということ。

逆に言えば、その日に戦争は始まった、ということ。

案の定、今回の決議を受けて、北朝鮮も発狂している。

いつも発狂しているので分かりにくいが、「日本列島を核爆弾で海に沈めてやる」とか、「米国人を狂犬のように棒で打ち殺す」とか、明らかに今までとはトーンが違う。

これが一国の公式表明とは狂っているが、戦争を覚悟したとすれば、納得もいく。

もはや金正恩がどの道を選んだかは明白ではないだろうか。

そうすると、9月11日をもって、広義の戦争は始まったということである。あとは「実戦」がいつ来るかだけで、それは時間の問題だ。

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