高齢ドライバーの運転ミスは以前から懸念されていましたが、約一月前に例の「池袋プリウス暴走事故」で母子2人が犠牲になって以来、連日のようにクローズアップされている感があります。今日は俳優の杉良太郎が免許を自主返納したニュースが話題でした。
たしかに、自動車の運転は、判断を誤ると「走る凶器」へと急変します。警察は高齢で運転が危うくなったドライバーに対して「免許自主返納」を求めています。
しかしながら、自主であれ、強制であれ、高齢者から免許を取り上げることには大きな問題もあります。とくに地方。都会はバス・電車・タクシーなどの交通機関を気軽に利用可能ですが、地方では「車がないと生活できない」という悩みをよく聞きます。
しかも、今や70代や80代の一人暮らしという方は何百何千万人もいる。マイカーがないと、事実上、自宅に独りで閉じ込められてしまう人は多いのです。
つまり、地方にはマイカーで外出できなくなったら命に関わる人々が無数にいる。
ゆえに「高齢で運転判断が鈍った者からは免許を取り上げろ」という極論に基づく解決策では、かえって別のところで死者が増える可能性も高いです。
幸い、現在、自動運転の技術が急激に進歩しています。
最新のBMW3シリーズあたりは「手放し運転」も可能らしい。
私は高齢ドライバーの車両に対して一律に「AIサポート」の搭載を義務付けたらよいと思います。つまり、自動運転までは行かないが、その少し手前のシステムです。
たとえば、AIシステムが、信号機の色、車線はみだし、スピードの出しすぎなどを常時監視して、事故の可能性を検知したら「ハンドル権・ブレーキ権」を行使する。
池袋の事故では、プリウスが一般道で物凄いスピードを出し、赤信号を無視していましたが、この種のAIが搭載されていたら、自動ブレーキで事なきを得たでしょう。
「70歳から一律この装置の設置を義務付け、それ未満でも判断力に問題ありと診断された人には義務付け、未載車に乗ることは禁止」くらいが法的に妥当かなと考えます。
また、この政策によって大きな需要が生まれる点も経済的なメリットです。
巨大市場が生まれれば、価格も下がり、性能もどんどん向上します。これはまた日本が世界の「自動運転ヘゲモニー」を制する上でも大きな助けになるでしょう。
当局の規制が技術革新等にプラスの効果をもたらした事例として、1970年のカリフォルニア州の通称マスキー法(Muskie Act)があります。
ここで上の規制を設ければ、高齢ドライバーの事故抑止に繋がると共に、日本の自動車産業の発展にとってもきっとプラスになると思います。
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