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なぜ近い将来にドル基軸通貨体制は崩壊していくのか

MUFGコインを発行する三菱UFJフィナンシャルの“顧問”を務めるジェームス・サッスーン卿(Lord James Meyer Sassoon)、2012年

私は今後、史上初の「グローバル通貨」となるであろう「世界統一電子マネー」について語りたいと思っている。その前に書いておきたいことがある。

昨年、パナマ文書騒動が持ち上がった時、以下の記事で次のように記した。

【パナマ文書・超真相シリーズ第4弾】さて、本稿は一連のシリーズの締めくくりである。前回までの記事で、「パナマ文書」を含めた一連のプロセスの終着点が「世界恐慌」と「NWO」であることに触れた。そして、世界支配層にとって世界恐慌とは「収穫祭」で

アメリカがドルの防衛に躍起になっているというのは、あるレベルまでは事実なのだが、その上の集団になると、ドルも、FRBも、国連も、その時々の道具であり衣服にすぎない。そして、彼らはいよいよそれを捨てようとしている。今後、ドルは紙切れ、FRBは悪者扱い、国連は発展解消され、すべてが「世界統一仕様」に変更されるだろう。

実はずっと前から、世界の通貨統合の際にはドルとFRBは切り捨てる予定になっている。パナマ文書とタックスヘイブンの問題も、この文脈で見ないと本質は分からない。というのも、「影の政府」の本当の歴史を知っていれば、カリブ海のタックスヘイブンなどというものが昔から「影の政府」の金融治外法権だったことは常識だからだ。

カリブ海の中心が本当はジャマイカ島で、なんでそこにイアン・フレミングのような引退したMI6の元メンバーが悠々自適の余生を送っているのか、なぜ今も英連邦の一員なのか、誰か言うだろうと思っていたが、誰も言わない(というか知らない)。

仕方がないので、いつか私が記事にしようと思っているが、要はこの問題が持ち上がった時、私が一番疑問に思ったのは「なぜわざわざ自分たちの特権を潰すのか?」ということだった。しかし、答えは考えるまでもない。結論からいえば「もうそんな特権なんか必要ない」ということ。

実は、それが「グローバル通貨」とFRBの切捨てにも関わってくる。そしてそういう本題の「前ふり」として、前回や今回の記事がある、とご理解ください。

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ドル特権は自然の摂理に反する

私の見立てでは、ドル基軸通貨体制を崩壊へと導く三つの圧力ないし要素がある。

第一は、言うならば、自然の摂理である。

アメリカ人が本来の労働以上に豊かな暮らしを手に入れている代わりに、誰が余分な労働を強いられているのだろうか。それは当然、アメリカ人以外の人々ということになる。

つまり、ドル本位制とは、アメリカが自国以外の国を事実上の“金融植民地”として広く薄く支配するシステムに他ならない。換言すれば、ある帝国が他の世界を犠牲にすることによって空前の繁栄を享受し続けているわけだ。

いかに有史以来最大の血を流して築き上げた大戦後の秩序・戦勝国特権とはいえ、こんな不公平な仕組みが長続きするわけがない。これは本質的には不自然な状況だ。よって、それを矯正し、バランスを回復しようとする自然の摂理が働いている。

また、どこかに負荷を蓄積するシステムの場合には、「累積矛盾」という考え方が適用される。ちょうど人が背負った籠に一キロずつの錘を入れていくようなものだ。ある一定のレベルを超えると、突如として耐えられなくなり、システムが崩壊を始める。

通貨は「信用」それ自体でもあるので、負荷には心理的なものも含まれる。かつて英ポンドの信頼を大きく低下させたのが南ア戦争だったが、アメリカの対イラク戦争はそれに匹敵する失策だった。

「大量破壊兵器の存在」という虚偽の理由を口実に一国の内政に干渉し、公然と暴力を振るった挙句、その後、満足に統治すらできないという醜態は、アメリカの威信を著しく低下させた。

この戦争ではまだサダム・フセインという分かりやすい悪者がいたおかげで、世界の世論が二分するに留まった。仮にアメリカがまた世界の人心を失うような政治的失策をやらかせば、アメリカの国璽を押した紙切れに世界中が決定的な疑いを持つキッカケとなり、ドルの信用が維持できなくなるだろう。

中ロがドル本位に反旗を翻した

第二に、挑戦者の存在だ。これは自然の矯正力とは反対に、人為的に打倒しようとする動きである。これまでもイラク、イラン、リビア、ベネズエラなどがドル取引に異議を申し立てたが、アメリカに各個撃破されるか、あまりに孤立しているために世界から無視されるか、どちらかだった。だが、ついに中ロという大国が反ドルのタッグを組んだため、これまでの各個撃破戦略は通用せず、世界も無視できなくなっている。

言ったように、アメリカの覇権を支えるのがドル基軸通貨体制である(逆の言い方もできる)。だから、その覇権を打倒するには、ドル基軸通貨体制を切り崩せばいい。

だが、アメリカが長年かけて構築したグローバルなシステムである。とくに現代の国際間の金融取引やオンライン・システムの基本は、70年代にアメリカの官民が構想したものだ。穿った見方をすれば、彼らは“植民地”を金融で支配する受益者だから、表向きの理由はどうあれ、ドル支配を永続させるべく、多大な労力と資金を注ぎ込んで、すべて自分たちでコンピュータを使った新たな金融のハード・ソフトを開発してのけたのだ。

だから、国家といえども、簡単には逆らえない仕組みになっている。たとえば、2005年、北朝鮮のマネーロンダリング問題で、米財務省がマカオの「バンコ・デルタ・アジア」を制裁すると、金正日がひっくり返って中国に助けを求めた。BDAの巨額のドル預金が凍結されただけでなく、世界中の金融機関と取引できなくなったからだ。世界でもっとも孤立している北朝鮮でさえ、ドル取引から締め出されると死活問題になるのだ。

だから、中ロも長期構想でドル本位制を切り崩そうとしている。まず、バックにロックフェラー・ロスチャイルドが控えている新興財閥から、プーチンが最終的にロシア経済の主導権を取り戻したのが2003年の末頃。以来、欧米とは「新冷戦」に突入した。

一方、2005年、胡錦濤は全人代で国家中央軍事委員会主席に選出される。胡はそれ以前に党総書記、国家主席に就任しており、ようやく江沢民の院政を脱して「三権」を掌握した格好だ。中国は元々、欧米に対抗するための政治同盟「上海協力機構」を発足させていた。だから、胡錦濤とプーチンは、アメリカ一極支配に対して、両者の利害が一致する格好で手を結んだ。

これは「三国志」で言えば、実力ナンバー1の魏に対して、ナンバー2の呉と3の蜀が同盟したようなものだ。

だから、翌年、胡錦濤が訪米した際、ブッシュ政権は露骨に冷遇したのである。

拡大する一方の非ドル経済圏

それから十年余り。この「地球三国志」の決着はついていない。ただし、サブプライムローン問題とリーマンショックもあり、アメリカ・ドル体制は確実に弱体化している。

大雑把にいえば近年、北米・EU・日本のG7の経済規模は、世界経済のだいたい5割である。一方、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの五カ国から成る「BRICS」の経済規模は、今やその半分に達している。しかも、国土面積では世界の32%、人口では45%を占めており、G7を超えている(ウィキペディアより)。

それだけの経済圏が脱ドル取引を拡大させているのだ。しかも、インドのポテンシャルが発揮されるのはこれからと見ていい。BRICSの特筆すべき点は、独自の資本金をもつ「BRICS新開発銀行」を新設し、IMFと世界銀行の向こうを張ろうとしていることだ。

これにロシアを中心とする「ユーラシア経済連合」と、中国を中心とする「上海協力機構」が重なっている。

ロシアはこのユーラシア経済連合と各国との貿易協定を拡大させることで、自国通貨決済を徐々に拡大していくことを目論んでいる。

一方の中国は、早くから人民元の影響力拡大と、相対的なドルの影響力低下に力を入れてきた。数年前にはIMFのSDR(特別引出し権)を基軸通貨とする独自の提案をしている。人民元やルーブルをパッケージさせたSDRが市場で取引される(=流動性を持つ)ようになると、国際取引におけるドルの地位も低下するという算段だ。

また、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を開業した。アジア開発銀行に取って代わる政治的意志を含むことは明白だ。将来的にはこのAIIBとBRICS銀行で、ドル本位制に食い込もうというのだ。

さらに、この脱ドル化の動きに、メルコスール(南米共同市場:南米諸国の関税同盟)も合流しつつある。現在、南米全体の人口の約7割に当たる約2億6千万人、域内GDPの75%を占めるまでになっているという(ウィキペディアより)。

このように、国際取引におけるドルの寡占状態は徐々に崩れつつある。そもそもユーロが登場した時点で、ドル基軸通貨体制の一角が崩れた。そこへ公然と中ロが反抗し始めたことで、とくに2012年以降、非ドル決済の割合が急拡大しつつある。しかも、ここ最近になって、ある気になる動きが伝わってきた。それがサウジアラビアの動向だ。

言ったように、金の裏づけを失ったドルは、「ワシントン・リヤド密約」によって現代文明の基幹資源である石油とリンクすることにより、その価値と国際性を維持することができた。これまでもロシア・イラン・ベネズエラなどのおなじみの反米メンバーは、石油を売った代金としてドルではなく、ユーロや円を欲し始め、ユーロ建て・円建ての国際取引も実際にスタートした。

しかし、OPECとりわけサウジが動かない限り、ドルと石油のリンケージが断たれる心配はなかった。ところが、サウジは、オバマ政権の中東政策の頃から強い不満を抱き始め、ドル取引オンリーから片足を抜けつつある。

これはドル基軸通貨体制にとって決定的な事態だ。しかも、これはサウジが内戦に巻き込まれたり、外部の侵略を受けたりしても、同じことである。なにしろ今やサウジの周辺はすべて戦火に巻き込まれている。なんでサウジだけ無事ですむ保障があるだろうか。ドルは今や石油という最大の担保にまで見放されつつあるのだ。

日本の大震災が「世界経済の心臓発作」を引き起こす

さて、以上の第一と第二の負荷がすでに掛かっているところへ、まったく予期していなかった「ある偶発的要因」が重なるとしたらどうだろうか。

それが第三の要因――日本の大震災勃発と、つづく社会・経済の大混乱である。

この日本の非常事態が「アメリカ破産」と「ドル基軸通貨体制の崩壊」へと連鎖し、アメリカを中心とする冷戦後の政治・経済の枠組みにトドメを刺す格好になるのではないか。さらに「世界恐慌」のキッカケともなり、結果的に全世界が混乱状態に陥っていくのではないか……これこそ私が危惧する近未来である。

実は、私が個人的に有力視しているのがこの「心臓発作説」。ある日、突然、大崩壊するというわけ。おそらく、「影の政府」ですらコントロールに慌てるほど。

「関東大震災」と「南海トラフ地震」をあわせた被害額は300兆円以上と推定されている。しかも、1605年の「慶長地震」のように、両者が連動する可能性もある。奇しくもその被害額は、日本の対外債権とほぼ同程度。

別個に発生しても凄まじいが、仮に両者が連動して「平成関東南海トラフ大震災」と化した場合、世界経済に与える衝撃は計り知れない。

単純にいえば、この被害額相当の復興資金が官民で必要になる。当然、運用中の債権の現金化を迫られる。問題は当事者の日本だけがそう思うわけではなく、世界中の運用担当者がそれを予想して一斉に処分しに掛かることだ。

現在、投資銀行やファンドは手元資金の数十倍のデリバティブ取引を行っている。一方、世界のGDPは100兆ドル弱。つまり、実体経済は1京円ほどに達しているが、金融市場を駆け巡るデリバティブ額はその何倍もある。

それが一斉にパニックに陥る事態を想像しほしい。私は日本のトリプル安を予想するが、それだけで済むはずがない。必ずアメリカ経済を巻き込む。米国債とドルも叩き売られ、金利の急上昇を招く。その後は、日本の財政破綻の後を追うはずだ。そして日本同様、アメリカ連邦政府もまた、国債の自己引き受けへと追い込まれるだろう。

しかも、「対外債務」だからアメリカのほうがもっと悲惨である。

「日米共倒れ」は必ず中国も巻き込む。そして、世界経済の上から1・2・3位の国が倒れたら、当然、EU・アジア・その他の地域も悪影響を免れない。世界の株・債券市場は崩壊し、失業率が急上昇する。

かくして、来たる日本の大震災は、結果的に世界経済を道連れにする。そして世界的な金融危機は「世界恐慌」を引き起こし、主要国の同時破綻を招来する可能性もある。

むろん、断っておくが、この第三の要因が重なってドル基軸通貨体制と世界経済がショック死するというのは、私の勝手な予測である。ただ、大きな視点でいえば、ドルの基軸通貨体制はすでに崩壊のプロセスに入っているため、仮にそのようなドラスティックな事態が起きなくとも、いつか終焉することは予定調和だと思われる。換言すれば、日本の大震災は崩壊の直接的な引き金になるが、仮になくとも、それはいずれ起きる。

だから、ドル本位制(≒現アメリカ経済)の自壊と、日本の巨大地震の、どっちが先か分からない。先に「NY株の大暴落→世界恐慌」のほうが起こっても不思議ではない。私は世界恐慌の原因は、この二つのうちのどれかだと思っている。

いずれにしても、もはや一国家の通貨では世界経済を背負えない。各国の間からも「確固たる国際通貨の新設」のニーズが高まる。もっとも現実的なのは、G20・OECD・国連などのレベルで、世界銀行による世界統一通貨の発行に合意することだろう。

「影の政府」がそこまで狙っているか否かは分からない。仮にそうならなくとも、彼らは世界的な電子通貨を作り、その利便性でもってグローバル通貨にしてしまうだろう。私たち消費者も企業も「なんと便利なことか!」と狂喜し、いっそうのめりこんでいく。

だから、彼らの「世界統一電子マネー」は「グローバル通貨」としての成功が約束されている。かつて、彼らは数十あった神聖ローマ帝国の通貨を一つのドイツ通貨にまとめ上げた。そして1990年代にはヨーロッパ各国の通貨を一つのユーロにまとめ上げた。彼らはこういう「通貨統合」にかけては昔から天才なのだ。

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