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旧社会党土井たか子と自民党金丸信の闇

先日、村山元総理、福島瑞穂氏、河野洋平氏、落合恵子氏らが参列して、土井たか子氏の「お別れの会」が開かれた。私は何も知らない十代の頃、はつらつとした感じの土井たか子氏に好感を持っていた。日本初の女性首相になってくれればいいな、などと無邪気に考えていた。それを思うと隔世の感を覚えると同時に、いろんな意味で残念でならない。

今にして思えば、社民党は北朝鮮の操り人形に等しかった。この国は拉致事件について「捏造」などと指弾し、慰安婦問題については「20万人強制連行→性奴隷化→大半を殺害」説を公に主張していた。北朝鮮労働党と親しい社民党は長年、この同国の公式見解を丸飲みして対国内で代弁し、要求されるがまま対北国交正常化と賠償の実現を目指していた。

当然、02年に金正日が日本人拉致犯罪を公式に認めて以降、社民党と土井たか子氏のこれまでの対北姿勢に批判が集中した。とりわけ土井氏に関しては、拉致被害者家族との面会は全て拒否したばかりか、その情報を流した疑いまで浮上した。

だが、どうやらそれだけに留まらないらしい。実は、拉致問題で日本中が大騒ぎだった頃、警備会社で作る業界団体に再就職していた公安OBから直接、話を聞く機会があった。彼は北朝鮮のスパイを追っていた現場の人間である。それだけに貴重な裏話をたくさん聞くことができた。彼によると、土井氏は「拉致事件の捜査をやめろ」と、警察庁や警視庁に圧力を掛けていたという。「数回ほど怒鳴り込んで来た」こともあったらしい。

つまり、彼女は警察の捜査の妨害までしていたのである。この話は当時も流布されていたが、警察の中の人から裏づけを取れたわけだ。

それにしても、ほとんど「共犯者」なのに、なんで捕まえないのか? 私は愚問を発した。公安OBは「スパイ防止法がないから」と答えた。

もっとも、今では別の理由も知っている。本当は、与党の自民党からして腐りきっていたから、というのが答えだろう。一例を挙げると、90年の「金丸訪朝」。当時、自民党の大物議員だった金丸信と社会党の田辺誠が金日成スタジアムでマスゲームによる歓待を受けたことは話題になった。金丸信は金日成との会談で拉致問題について切り出さなかったばかりか、80億ドル(約1兆円)の賠償を約束した。

当時、ソ連はゴルバチョフによる改革、中国は天安門事件により、体制が動揺していた。中ソという後ろ盾を一挙に失った金日成は、体制の生き残りをかけて外貨獲得に血筋を上げていた。わざわざそれに応えようとしたのだ。「熱烈歓迎」される道理である。

北朝鮮は元々、日韓の国交正常化に猛烈に反対していた。だが、それによって韓国が国家予算の数倍もの資金を獲得すると、今度は一転して「うちとも国交正常化して賠償せよ」と日本に迫り始めた。その道具としてフルに利用したのが、労働者の強制連行問題であり、慰安婦問題だったようだ。そして冷戦の終結が見えてくると、一段と対日工作を強化した。

批判はあるだろうが、大局的に見た場合、国交正常化も一つの選択肢だろうと私は思う。だが、せめて拉致事件(*88年の時点ですでに国政レベルで問題化していた)の解決もしくは拉致被害者の送還くらいの交換条件を提示するのが、政治家であり外交ではないのか。

この話のキモは、北朝鮮に1兆円の賠償をつぎ込むと、最終的に5%のキックバックとなって当時自民党の最大派閥であった経世会に還流されるという点だ。どうやら金丸信はこの真っ白な500億円にしか興味がなかったようだ。だが、日本国民にとって幸いだったのは、金丸信が馬鹿過ぎたことだ。なんと合意事項に「戦後補償」なるものまで盛り込んだ。いったい、戦後の何について北に補償しろというのか。このドジのおかげで、世論だけでなく党内からも批判が沸き起こり、訪朝での合意がうまく白紙になった。

結局、この自民党の最大派閥は、東京佐川急便の献金問題というカネで倒れることになった。5億円ものヤミ献金を受けていた金丸信も起訴され、政治生命が絶たれた。ただし、罰金が20万円ということで、世論の激昂を誘った。

今の私は、土井たか子と金丸信が生きている間に、ちゃんとした法の裁きを下すことができなかったのは残念だと思っている。また、現在、外患誘致罪はあくまで「武力の行使」に限定されているが、拉致事件のように、想定外だった卑劣な対日犯罪・テロの存在も顕在化した。外国と共謀して日本人の生命財産を危うくする行為は、やはり「外患」と呼ぶほかないと思われる。そろそろ現実に合わせて「外患」の定義を広くし、終身刑を設けることも検討してほしいと思う。

2014年11月28日「アゴラ」掲載

(再掲時付記:繰り返しになりますが、同罪が「武力の行使」に限定されているのは間違いです。外国政府機関による日本人の拉致犯罪の手引きや共犯も、許しがたい外患誘致です。国民の安全を保障しないなら、国の存在意義が問われるでしょう。絶対に処罰すべきです。)