西側のロシア悪魔化宣伝とその反作用としてのロシア民族主義の暴発が日本を有史以来最悪の危機に陥れるだろう・・しかもそれは数年後だ!

テロ・紛争・戦争・崩壊
出典:Foreign Policy




世界支配層は次なる世界大戦を想定していますが、むろん相手は、今なお服従しない中ロをはじめとする反西洋諸国です。

これまで何度も言っていますが、とくに本丸はロシアです。

その前に北朝鮮とイランを各個撃破する戦略でしょう。

中国のほうは、軍事的にはさして脅威ではないんですね。「弱い犬ほどよく吠える」というのはまさに中国のこと。しかも、私は内乱になる可能性が高いと予想する。

習近平が共産党独裁体制を自殺へと導き、自主的民主化の道筋をつけたら、世界一の超大国になる道が開けるが、現実には反対に独裁強化をやっている。

対して、ロシアの体制は比較的安定している。それは今の秩序が2000年に生まれたばかりだからだ。つまり、プーチンは事実上、新ロシアの建国の祖です。

現在、映画などを通して、西側の市民に向けたプロパガンダが行われています。

日米は友人同士であり、共に協力して強大な敵と戦うべきなのだ。

かつての連合国の軍人や市民は、強大な独裁国家を相手に勇敢に戦った。私たちはその祖父たちの不屈の精神を改めて思い出し、見習うべきだ。

以上の、ひそかに進行する大衆操作については、前回の記事で述べました。

昨年は“偉大な”ウィンストン・チャーチルの映画が作られたから、来年か再来年には“偉大な”FDRの映画が制作され、アカデミー賞を総なめすることだろう。

他方、「敵」に対しては、これとまったく逆のことが行われているんですね。

つまり、「悪魔化」です。特にその対象になっているのがプーチン・ロシア。



ロシアフォビアを煽る陰険な欧米メディア

ロシアは異形の国家だ、非民主的だ、現状変更勢力だ、プーチンは独裁者だ、自由と民主主義の敵だ、ウクライナを分裂させて攻撃している・・

西側メディアがそう喧伝することが多くなりました。

ロシアへの嫌悪を煽るのが、NYTやWSJ、CNN、フォーブスやエコノミストなどの欧米支配層メディアです。一か月ほど前だが、私が腹を立てた記事がある。

それがオーエン・マシューズなる記者の書いた、ニューズウィーク誌の「プーチンは第3次世界大戦を目指す Putin Is Preparing for World War III?(2017年12月26日)という記事です。典型的な西側の偏見と情報操作に満ちた文章です。

マシューズはプーチン政権について、「国内の難局から国民の目をそらし、団結させるには外敵の脅威を持ち出すのが一番」とか、「恒常的な戦争状態という神話で政権の延命を図る必要」があるのだとか、「ロシア政府が本気で、戦争間近と信じている」らしいとか、皮肉と偏見をたっぷり効かせて書いている。

おそらく、日本の専門家たちはこの文章を読んでも同意するばかりで、疑問に思わないだろう。なぜなら、西側の知識人と同じ価値観を植えつけられてきたからだ。

私はロシアがどうなろうが知ったことではないが、ただ真実には忠実でありたい。

反ロシア主張にはたしかに事実の部分もある。クリミアを強引に編入したり、ウクライナ東部の内乱に関与したり、周回遅れのナショナリズムを鼓舞したりしている。ドーピング・スキャンダルでは、ロシアにも非がある。つまり、半分はロシアが悪い。

ロシアはたしかに未だに半民主国家であり、プーチン政権も半独裁政権です。プーチンを批判したジャーナリストも何十人も殺されている。おかしな強権国家です。

しかし、大きな視点で言うと、このマシューズ(に代表される欧米メディア)の記事は、欧米のほうがロシアを追い込んでいるという因果関係を逆さまにしている。

世界支配層の戦略家だったマッキンダーはロシアのことを“ハートランド”と呼びました。多くの人にとってロシアは辺境の後進国です。なんで“ハートランド”なのか。根本的には「広大なユーラシア国家のロシアを支配せずしてわれわれの世界支配の完成もない」という考えから来ています。つまり、彼らの見方が反映された用語なのです。

だから、彼ら的には、ロシアを従えるためには戦争すら辞さない。

対して、プーチン・ロシアとしては、西側と戦争なんかしたくない。今やったら完敗することを承知しているからです。しかし、西側の世界支配層がロシアを追い詰めて属国化を企む以上、対抗して戦争の準備をせざるをえない、ということです。

マシューズの記事は、いかにも欧米の世界支配層メディアらしい陰湿さで、こういった真実は伏せて、ロシアが被害妄想に駆られて、国内の矛盾の矛先を外敵に反らせているのだと嘲笑っているわけです。言ったように、それは片面の事実に過ぎません。

アンフェアなロシア叩きに内心で恨み骨髄に達しつつあるロシア国民

こういった欧米メディアやジャーナリストのゲスさについては、われわれ日本人も痛感しているはずです。たとえば、NYTなどのメディアは、執拗に日本の戦争犯罪を取り上げ、「日本は過去を清算しない」と世界に喧伝しています。実際には、それはアメリカをはじめとする欧米諸国に当てはまることです。彼らは自分たちが過去にジェノサイド等の最悪の戦争犯罪をやり、かつ一切の謝罪や賠償もしない身でありながら、まるで生贄のように日本だけを非難する。ロシア叩きは、それと似た構造の卑劣さです。

このアンフェアなバッシングに対して、日本人がそうであるように、ロシアもまた「なんでわれわればかりが叩かれるのか?」と、益々、被害者意識を募らせています。

そういえば、つい最近こんな記事がありました。(*赤字筆者)

「ロシア嫌悪」が冷戦中より悪化、ロシア外相 欧米に警告1/22()

【AFP=時事】ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は21日、欧米諸国の「ロシアフォビア(嫌悪)」が冷戦(Cold War)中よりも悪化しており、ロシア政府には尊重されるべき「レッドライン(譲れない一線)」があると警告した。

(略)「ロシアフォビアはかつてないほど高まっている。冷戦中もこれほどではなかった」と述べた。その上で「当時はある種のルール、礼儀があった。現在はそれらがすべて排除されている」と主張。

(略)さらに、「可能な限りあらゆる手段を使ってロシアに制裁を科そうとする試み」を非難し、米国と欧州連合(EU)による制裁は「不条理で根拠がない」と述べた。

ラブロフ外相の言葉から、ロシア側がひどい侮辱を感じており、忍耐の限界を試されている状況が伝わってきます。こういう他者の気持ちは、相手の立場にたつとか、相手の目線で考えないと、なかなか分かりません。

2017年8月には、アメリカ議会で対ロ制裁強化法が成立しました。トランプ大統領でさえ署名せざるをえない形でした。

昨年12月には、IOC(国際オリンピック委員会)が、国家ぐるみのドーピング・スキャンダルを理由に、平昌冬季五輪へのロシアの参加権を取り消しました。

危険なのは、これに対してプーチンだけでなくロシア国民が怒っていることです。

むろん、ロシアにも問題はありますが、特定の国にだけ苛烈な制裁を課すことには慎重でなければなりません。なのに、ロシアに対してはどのように侮辱的に振舞っても容認されるという、軽蔑的な空気が醸成されつつあります。それをラブロフ氏は控え目に「当時はある種のルール、礼儀があった。現在はそれらがすべて排除されている」と表現しているわけです。実際には、それは、「日本に対しては何をしても許される」という、レイシズムを含んだ韓国の狂った反日にも匹敵する「ロシアの悪魔化」なのです。

そんなふうに例えれば、ロシア国民が西側諸国に対してどれほど怒りや屈辱感を溜め込んでいるのか、少しは理解できるのではないでしょうか。

(ロシアでは不気味なほど極右勢力が勢いを増している)

問題の根幹は日本が巻き込まれるということ

はっきり言って、私的にはロシアがどうなろうが知ったことではありません。

旧ソ連は火事場泥棒的な対日参戦をして、満州で日本の軍民を大量虐殺しました。また、北方領土を奪い、60万とも言われる日本人を強制連行し、強制労働させました。これらの戦争犯罪について、ロシアは一言の謝罪すらしていない。

それは、戦時中の朝鮮人の徴用のように、強制だが、一方で給料はあり、日本人と肩を並べて働いたという事例とはまったく異質の、本物の捕虜虐待・奴隷労働です。

しかも、もっと言えば、ロシアとNATOが戦争したところで、知ったことではありません。ただし、彼ら同士で勝手に殺しあってくれるならば、の話ですが。

問題はまさにこの点なのです。日本は事実上のNATO軍の一員として、また米軍の対ユーラシア前線基地として、ロシア軍から完全に攻撃対象になると予想されます。

上のラブロフ外相は最近、次のことも主張しています。

ロシア外相 日本の弾道ミサイル迎撃システムを批判 2018年1月16日 8時1分

ロシアのラブロフ外相は、日本が導入を決めた弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」について、ロシアへの脅威になるとして懸念を表明しました。

(略)ミサイルの迎撃だけでなく、「攻撃能力もある発射装置が使われている」と指摘しました。そのうえで、開発に携わっているアメリカが実質的な運用も担う可能性を指摘し、反発しました。

むろん、日本本土を防衛するためのイージス・アショアにロシアが文句つける権利はありません。まず自分たちが日本向けの核ミサイルを撤去すべきだ。ロシアのクレームなんか一顧にする必要はないが、ただ、彼らの無意識的な非難姿勢から、戦争になったら日本を核ミサイル攻撃するつもりだということが、逆に読み取れます。

欧米に付き合わされて日本までがロシアと戦争させられる、というか一方的に核攻撃される可能性のほうが高い・・こんな馬鹿な、理不尽な話があるだろうか。

この辺の想定というか、危機を読み取る感覚というか、日本の専門家や学者や政治家は非常に鈍い。左派・リベラル派も鈍い。安倍総理も北朝鮮と中国ばかり見ている。

しかし、世界支配層が自分たちの野望にとって最大の障害であり倒すべき敵と見なしているのがロシアなのだ。である以上、対ロ戦争の可能性は十分にありえる。

昨年末のトランプ大統領による「国家安全保障戦略」、今年1月19日のマティス国防長官による「国家防衛戦略」、そして同30日の「一般教書演説」は、いずれもアメリカの国防戦略をはっきりするものでした。

アメリカはその中ではっきりと中ロをライバルと名指ししている。しかも、まるで同じカテゴリーに属すると言わんばかりに、ローグ・レジーム(ならず者政権)やテロリスト・グループなど並んで、同じ文脈の中で取り上げている。

つい最近、フランスのマクロン大統領が徴兵制の復活を表明しました。18~21歳の男女を対象にして一定期間、兵役や訓練を義務化するというのです。

また、スウェーデンも7年ぶりに徴兵制を復活させるそうです。

スウェーデンははっきりとロシアを仮想敵国に定めています。フランスは明示しませんでしたが、対中東だけでなく対ロシア戦も睨んでいることは明らかです。

イギリスとロシアの関係悪化は日本のメディアではあまり報じられていません。

昨年、英国防相はロシアを念頭に「先制攻撃の手段として核兵器を使用する選択肢を排除しない」という意味の発言をしました。また、ロシアの空母を指して「おんぼろ」と表現すると、今度はロシア国防省がイギリスの新鋭空母「クイーン・エリザベス」を指して「手頃な標的」にしかならないと言い返しました。

英空母「クイーン・エリザベス」。なぜこの時期に日英が準同盟化するのか。イギリスの仮想敵国はどこなのか。日露戦争の再来か、よく考えるべきだ。

世界支配層直下の欧米諸国は、もうロシアとの決戦を想定している。

欧米とロシアとの対立のエスカレートは、おそらく日本のメディアでは意図的に報道が抑制されている可能性がある。なぜなら、日本を事実上のNATOの一員に組み込んでいかねばならない敏感な時期にあって、彼らの決戦に巻き込まれてしまうとの論議が日本国内で沸き起こることは、CIAにとって一番避けたいシナリオだからです。

しかし、事は全日本人の生命が掛かったテーマです。大げさではなく、私は有史以来、最大の危機が目前に迫っていると焦燥している。安倍政権がそれを想定できないなら、今こそ野党が最優先で提起していかねばならない大問題のはずだ。だが、無能すぎて、モリ・カケがどうのこうのと、相対的にどうでもいい問題ばかりを取り上げている。

今年3月、プーチンは再びロシア大統領に当選するだろう。

任期は2018年5月から2024年5月まで。

このままでは怒れるロシアの民族主義がその間(おそらく任期の後半)にも爆発する可能性がある。しかもロシアは必ず先制攻撃を選択するだろう。

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