金正日は「寅さん」、息子はキアヌ・リーブスの大ファン

アニメ・マンガ・映画他
懐かしい(笑)




故・金正日の映画好きはよく知られていました。

しかし、毎日のように私設映画館に入り浸るほどの映画狂だったとは知りませんでした。それを教えてくれたのが、将軍サマと一緒に映画を鑑賞していた藤本健二氏です。

その影響は「王子たち」にも及んでいたようです。ある米俳優に憧れ、アメリカブランドのサングラスまで掛け始めたそうな。果たして、その人物とは・・。

もう上のアイキャッチ画像でバレてますが、藤本氏のエピソードをどうぞ。

金正日の私生活―知られざる招待所の全貌

(以下、同書P72~77から引用)



幻に終わった映画「寅さん」シリーズのテレビ放映

金正日がとても映画好きなことは周知のとおりである。

どこの招待所にも、自宅にも映画館を設けている。それはいま日本で流行っているようなホームシアターのようなチャチなものではない。本格的な映画施設なのである。

銀幕のいちばん前に金正日ファミリーのためのロイヤルシートが用意され、横には鑑賞中いつ眠くなってもいいようにロングソファが並べられている。(略)

映画館の規模は各招待所でそれぞれ異なるが、どこも階段教室のような構造になっていて、いちばん上からはスクリーンを見下ろすようになっている。

もっとも大きな映画館は元山招待所で、ロイャルシートに続いて一列七、八の一般シートが三列あった。席が足りない場合は、食堂から椅子を運ばせていた。元山招待所の映画館は規模だけでなく、スピーカーの臨場感も抜群であった。(略)

驚くのは、どこの外国映画であろうと字幕スーパーではなく、朝鮮語の吹き替え版であることだ。しかも、オリジナルの俳優 の声質にこだわって、本当に似ている声優を起用している。例えば、『釣りバカ日誌』の西田敏行の吹き替えは気味が悪いほど似ていた。(略)

北朝鮮で撮られる映画は金正日自らがチェックし、撮り直す箇所を電話で指示するほど熱心であった。

金正日の映画の趣味は実に幅広い。日本映画であれば、『男はつらいよ!』シリーズは第一作から最終作品となった第四十八作まですべてのフィルムを所有しているほどの大の寅さんフリークなのだ。

寅さん役の渥美清氏が亡くなって、さぞかし淋しい気になったことであろう。

なぜ金正日はあれほどまでに寅さん映画が好きだったのだろうか。

おそらく、あのほのぼのとしたところと、好き勝手に日本全国を放浪していた自由人の寅さんにあこがれていたのだろう。アメリカの偵察衛星から逃れるために、毎日居所を変更せざるを得ない金正日とは正反対の立場の寅さんに・・。

宴会中に金正日は、映画「寅さん」を北朝鮮でテレビ放映するか本気で迷っていると語ったことがあった。しかし、それはとうとう実現しなかった。あの寅さんをテレビで観て、国民がだらけるようになってはと懸念したらしい。

おそらくいちばんの問題は、寅さん映画の内容に、革命や思想が導入されていないためなのだろう。(略)

決して北朝鮮人民は、寅さんを観てだらけはしないと思う。

「寅さん」は、誰が観ても楽しい映画ではないだろうか。その証拠に、金正日将軍様も奥様もお嬢様も王子様も全員で笑って楽しんでいたではないか。

もし放映をすれば、放映の日には平壌じゅう、いや朝鮮民主主義共和国じゅうの家から笑い声が聞こえてくるかもしれない。

シリーズ四十八作をすべて放送することになれば、月四回としてもちょうど一年間、毎週一度笑い声が全国から聞こえてくるかもしれないのに・・・。

映画三昧の日々

金正日から、「座頭市の映画もよく観た」とも聞いた。

「勝新太郎の殺陣はたいしたものだ!」と感嘆していた。(略)

金正日はアメリカ映画にも非常に詳しい。

特に金正日がスクリーンを食い入るように観た映画は、アメリカの歴史映画だった。権力争いのストーリーが、王子たちを巡る現実と重なって見えたのかもしれない。

SPモノのアメリカ映画も好んで観ていた。クリント・イーストウッドの『ザ・シークレット サービス』やケビン・コスナーの『ボディガード』がお気に入りで、スクリーンに目が釘付けになっていたことを思い出す。

金正日自身を護衛するSPたちを映画館に呼んで観させていたほどだったのだ。(略)

『007』シリーズもほとんどフィルムを揃えているようだった。『007』はスパイ映画だから、何か学ぶところがあったのかもしれない。

金正日は、俳優としてのメル・ギブソンをきわめて高く評価している様子であった。金正日自ら、「メル・ギブソンはハリウッドでは最高のギャラをとっている」と解説していた。一方、女優で評価していたのは、なんと吉永小百合だった。

兄王子のお気に入りがキアヌ・リーブスだったので、金正日ファミリーは彼の映画もよく観ていた。作品の中でキアヌ・リーブスがかけているアメリカブランド「OAKLEY」のサングラスを頼まれ、日本に買い出しにきたときに上野のアメ横をさんざん歩き回って探して、購入して王子に渡したこともあった。

兄王子は、ジャン・クロード・バンタムも好きで、何本も彼の映画を観ていた。

彼の体つきに魅力を感じて、自分も鍛え始めたらしく、兄王子の体は素晴らしい筋肉質になってきた。

以上述べてきたように、金正日とそのファミリーはとにかくほとんど毎日のように映画を観ていた。(略)

映画が終わるのは、だいたい夜中の二時頃だった。

(以上引用終わり)

「兄王子」とは長男の金正哲(ジョンチョル)で、弟のほうが金正恩ですね。

お気に入りがキアヌ・リーブスで、その影響で藤本氏にサングラスの買い付けを頼んだとなると、当然、あの「マトリックス」を観たと考えられる。

ちなみに、藤本氏によると、兄王子は性格が優しいが、あれこれと人を動かすリーダーには向いていなかったよう。親父は後継者として弟の金正恩を選んだんですね。

兄のほうは筋肉質に、弟のほうはあの通りデブになっていった。

あと数本くらい紹介したいですね。

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