みなさん、こんにちわ。
台風すごかったですね。
私は仕事のために出かけていて、いろいろと大変でしたが、過ぎ去った直後には、夜空に満月が光輝いており、星空がきれいで、その点は得したなと(笑)。
ま、本当に大変なのは2020年5月だと、私は思っていますけど。水と食糧は必ず備蓄しておくように、関東・東海の人々に改めてご忠告申し上げておきます。
さて、本題ですが、私が「ずっと見たい」と思いながら、
今の今まで見ることができなかった古い劇場用アニメがある。
それが1982年に公開された『FUTURE WAR 198X年』(東映)。
監督は実写系の舛田利雄氏。『二百三高地』や『大日本帝国』、『零戦燃ゆ』などの戦争大作でも有名で、高度経済成長時代の日本映画界のヒットメーカーでもある。
この作品は、巷間のレンタルビデオ店などで、まずお目にかかれることはありません。少なくとも、私は、今まで何十店と覗いた中で、一度も見たことがない。
そんなレアな作品がユーチューブで“公開”されていたんですね。
(動画は現在削除されています)
Future War 198X Uncut English Subtitled
たまたまたどり着いて、速攻見ました。
まあ、これは正規公開ではないので“オススメ”するのは問題がありますが、とりあえず見たい方は、消される前に見たほうがいいかなと。
ただ、安易な娯楽として期待せず、少し覚悟して見たほうがいいかもしれません。
冷戦時代のリアルな戦争シミュレーションにして反戦要素もあり
私は見て本当に良かった。想像以上に凄い出来でした。
なにしろ、こういう絵柄(下)ですから、いわゆる“萌えアニメ”や“美少女バトルもの”とは正反対の領域を目指していると考えても決して間違いではありません。
ストーリーは描写しませんが、要するに、冷戦時代、米ソの行き違いから第三次世界大戦に発展してしまう話なんですね。東京にも核が落ちてしまう。
レーガン政権時代の「スター・ウォーズ計画」が大きなヒントになっている。
1982年の制作当時から見て、80年代のうちにICBMを撃ち落すことのできるレーザー砲搭載の宇宙衛星が実用化された、という設定になっている。
当時は、レールガンやレーザー砲でICBMを迎撃するシステムが盛んに唱えられ、レーガン大統領自身が信じていたと言われています。
実際には今でも困難ですが、ようやく時代が当時の構想に追いつきつつある。
物語はアメリカがその種の宇宙防衛兵器を完成させたところから始まります。
当然、敵対するソ連は不利になる。それまでの核戦略が無力化されかねない。ソ連はその機密を盗み出そうとしますが、そこから両者の衝突が始まってしまいます。
物語では、ホワイトハウスとクレムリン間のネゴシエイトや、両首脳部が共に内部に抱える葛藤などが丹念に描かれていて、硬派な「政治映画」の側面もあります。
クレムリン内部の熾烈な権力闘争の脚本などは、フレデリック・フォーサイスばりの筆致で描かれている。また、東西国境に位置するNATO軍のミサイル部隊の一兵士や、ソ連海軍の原潜内部の話も登場し、それが後半の展開の伏線になっている。
結局は、両者の行き違いから核戦争に発展してしまうわけですが、そこから一転して人々が平和を希求する様子が描かれており、単純な戦争アニメで終わっていません。
冷戦時代の雰囲気をよく伝えているし、むしろ反戦的な趣も感じられる。
当時、戦争賛美モノとして反対された経緯
ところで、Wikipediaの「FUTURE WAR 198X年」によると、制作公開時に一騒動あったようですね。なんでも東映の労働組合が制作をボイコットしたとか。
制作準備段階だった1981年2月、東映動画の労働組合は本作の準備台本1冊を入手し、これがコピーされて職場で回覧される[3]。現場の従業員からは「戦争がカッコよくしかもリアルに描かれ危険」という意見が出され、組合は教職員組合やPTAにも呼びかける形で反対運動を開始した[3]。この運動は同年4月3日付朝日新聞に「組合が本作の一切の製作協力拒否を会社側に通告」という形で掲載され、この記事に関心を寄せた団体「日本母親大会」が反対運動に参加[3]。5月15日には日本母親大会や東京都教職員組合、「日本子どもを守る会」など38団体が日本教育会館で集会を開いて「戦争アニメを作らせないようにしよう」というアピールを採択し、7月17日に「『198X』に反対する会」が結成された[3]。
(略)監督の舛田利雄は、組合のボイコットを受けて作品内容をより平和を希求する方向に修正したと後年回想しており[6]、上記記事で「日本母親大会」の事務局長も自分たちが反対の声を上げたことで、シナリオの内容がどんどん変わったと述べている。
(略)当時、『アニメージュ』にエッセイ「月づきの雑記帳」を連載していた安彦良和は(略)「まじめな反戦映画になるだろうなどとは全然思わない。そういうものを目指して企画されたとも思っていない」と述べた上で、「大変月並みで通俗でマトを得ていない(原文ママ)政治認識をあたかも最もシビアな現実であるかのように錯覚して、その上に物語を築いてしまったこと」を「(本作が)犯してしまった最大の間違い」と批判した。
当時の反対運動がどこまで作品の平和的要素の盛り込みに貢献したかは不明ですが、少なくとも完成品は「戦争をカッコよく」描いたものでは絶対ない。
当時はマルクス主義者のようなカルトが大勢いました。で、彼らはソ連や社会主義陣営を悪く描くものに対して過敏に反応する傾向があった。また当時、KGBは日本国内の世論を親ソへと誘導(逆にいえば反ソの封じ込め)する工作もやっていました。
朝日新聞の内部には、ソ連のエージェント網も実在していた。マスコミ・知識人・労組幹部には、昔から中国・朝鮮・ロシアの情報機関の飼い犬が多い。こういった国がエージェントを使って日本の世論誘導をやっていて、踊らされている日本人も多い。
また、近年『ガンダム ジ・オリジン』で監督復帰された安彦良和氏ですが、では彼のイメージする冷戦時代における「最もシビアな現実」とは何であり、それがこの作品の土台となった「マトを得ていない政治認識」とどう異なるのか、興味あるところです。
米ソ首脳部の対立と戦争へと至るエスカレーションは、冷戦を題材にした映画や小説で散々描かれてきたテーマなので、そういう意味で「月並みで通俗」的だと批判しているのかもしれないが、現実を履き違えているという批判は的外れに思われる。
FUTURE WAR 202X年
さて、蛇足ですが(あるいはここが真の本題かもしれないが)、
実は「ICBMに対するディフェンス・システムの構築」と「それに対するロシア(と中国)の反発」という点に関して言えば、この作品は今でこそ現実味がある。
つまり、時代のほうが、ようやくこの作品に追いついてきたとも言える。
むろん、レーザー砲やレールガンではなく、SM-3やTHAADで弾道ミサイルを迎撃するというものですが、日本がまさにその最前線にいる格好です。
この作品は時代を先取りし過ぎていたかもしれません。
つまり、1980年代後半よりも、むしろ「これから」を暗示している。
だから「今だからこそ見たい」なのです。
当サイトでは、核戦争を描いた映画についてこれまでも紹介してきました。
私の考えでは、これから核戦争が起きるにしても、『渚にて』や『復活の日』のように人類滅亡寸前まではいかない。しかし、日本としては、核戦争後の「核の冬」と、中国の破壊された原発から来る重度の放射能汚染に警戒しなければならない。
一時的な「核の冬」により、北半球では、農作物はおろか、植物プランクトンの激減により、漁獲さえほとんどなくなります。それに重度の放射能汚染が輪をかける形なるため、極端な食糧不足が到来します。飢えと寒さへの備えが必要なのです。
今度の戦争にロシアが参戦するかしないかは、まだ微妙な点があり、私も判断に迷う部分がある。仮に参戦したら、即座に、軍事基地から離れなければなりません。
自宅がある、仕事がある、という人は離れることができない。そういう人は「ロシア参戦」の報が、そういった現実のしがらみを、思い切って断ち切る目安になります。
欧米の多くの富豪がわざわざ南半球のニュージーランドにシェルターを建設するのも、ちゃんと理由があるのです。
スポンサーリンク