スピルバーグ最新作『レディ・プレイヤー1』と『電脳の楽園』

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出典:READY PLAYER ONE - Official Trailer 1 [HD]  https://www.youtube.com/watch?v=cSp1dM2Vj48 以下同




みなさん、こんにちわ。

スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』を、もうご覧になったでしょうか。

今年の4月、スピルバーグ監督自身が宣伝のために13年ぶりに来日していました。

物語の舞台がバーチャル・リアリティの世界という斬新さもさることながら、大友克洋の『AKIRA』の“金田バイク”やガンダムも登場する点で話題になっていました。おかげで膨大なクロスライセンスの契約となり、制作は大変だったようです。

たしかに、大変ワクワクする映画で、私からも絶対オススメします。

実は、個人的には別の意味でも驚きだったんですね。

この映画は私が昔書いた小説『電脳の楽園』と似ていると思いました。

短編『電脳の楽園』 オール讀物推理小説新人賞 最終候補作
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このことは後半のほうで触れます。まずは、まだ見ていない人のために『レディ・プレイヤー1』とはどのような映画なのか、少し解説したいと思います。



『レディ・プレイヤー1』の世界と物語

原作は2011年に発売されたアーネスト・クラインの小説『ゲームウォーズ』です。私も未読ですが、クラインは1980年代のポップカルチャーをこよなく愛する人物だそうで、当然、その対象には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのスピルバーグ監督作品も多数含まれます。それで仮想世界の主人公はデロリアンに乗っているわけです。

物語の舞台は2045年。超格差社会で、多くの人々が無秩序なスラム街に住んでいました。人々の楽しみは、ゴーグルをつけてVR世界「オアシス」に現実逃避することです。

オハイオ州のスラムに住む若者ウェイド・ワッツもその一人です。「オアシス」ではどんなキャラクターにも変身できるし、様々なゲームや世界を体験することができます。

2025年に創業された「オアシス」は、すでに世界最大の企業になっていました。

ところで、この「オアシス」を作った創業者のジェームズ・ハリデーは少し前に亡くなっていました。しかし、独身だった彼はある遺言のVTRを残していました。

それが、広大な「オアシス」に3つの鍵を仕掛けており、それを手に入れた者が「オアシス」の継承権とハリデーの遺産を手に入れることができるという内容です。それぞれの鍵は「オアシス」内の何らかのゲーム内に仕込まれているという設定です。

遺言の発表以来、熱狂したユーザーたちは「3つの鍵」をめぐって「オアシス」中を探し回ってきました。その鍵はいずれもハリデー自身の人生がヒントになっています。

そして「第一の鍵」が「絶対にクリアできない過激なレースゲーム」にあることまでは分かっていました。映画では、そこが物語の出発点です。

主人公のウェイドは“デロリアン”に乗り込んで、日々、そのレースゲームに挑戦していました。そこで出会ったのが謎のVR美女のアルテミスです。

ここから急速に「謎解き」が進行していきますが、一方でウェイドたちは、世界2位のIOI社のソレント社長から目をつけられてしまいます。

ソレントは「オアシス」を手に入れようとして、「軍隊」と呼ぶ大量の人員を投入してまで「鍵」を求めていました。

幸運にも「第一の鍵」を手に入れたウェイドは、ソレントから巨額の報酬を提示されますが、跳ねつけます。そのため現実世界で命を狙われる危機に陥り、逃避行とその渦中での「鍵探し」を余儀なくされます。彼はVR世界の仲間たちと現実世界で出会い、助け合いながら、圧倒的なソレントの勢力と対決し、危機を乗り越えようします。

果たして、「3つの鍵」の真相とは何か? 創業者のハリデーはそこに何を込めたのか? すべての鍵を集めた時に手渡される「イースターエッグ」の秘密とは!?

スピルバーグ監督が送る究極のVR体験と鮮烈な未来世界!!

・・・とか何とか。

私の小説『電脳の楽園』と似ていた! 興味のある制作者はすぐに連絡を!

まさか、悪の親玉側の「メカゴジラ」と主人公側の「ガンダム」が戦う場面を見られるとは意外でしたが、これ以上はこれから見る人の楽しみに取っておきましょう。

さて、私が2006年に書いた『電脳の楽園』の話です。

短編『電脳の楽園』 オール讀物推理小説新人賞 最終候補作
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舞台は2030年。主人公は、貧富の差がますます拡大した東京の、とあるスラム街の一角に住む男です。貧困に喘ぐ労働者で、唯一の楽しみがVRゲームでした。

人々が夢中になっているVRゲームは、999種類もの「ユニバース」から成る仮想世界です。それにアクセスする装置が「エニグマ」と呼ばれる。

仮想世界の提供会社「ポセイドン社」は、元はベンチャーから始まりましたが、2030年には世界最大の企業と化しており、公海上の人工島に拠点を構えています。

どうでしょう、何となく『レディ・プレイヤー1』と似ていませんか。

「エニグマ」は、人の目に何らかの映像を見せたり、耳に音を聞かせたりする間接的なVR装置ではなく、ヘッドギアから直接、脳に電気信号を送り込むというものです。

そういう意味で、『レディ・プレイヤー1』に登場する「オアシス」よりも、さらに次世代のテクノロジーを採用していると言ってよいでしょう。

実は、私たちが存在していると思っている“現実世界”は、五感からの情報が脳内で再構成されたものです。そして、人の五感は主観的に翻訳された情報を伝達している。そこから私たちの脳に映し出されている世界は、実は一種の「虚像」と言えるわけです。

まあ、それはどうでもいいとして、私の『電脳の楽園』は、『レディ・プレイヤー1』とその原作である『ゲームウォーズ』よりも古い作品でありながら、テクノロジー面ではさらにその先を行っているわけです。ただ、実現はかなり先でしょう。

対して、ヘッドセット、体感スーツとグローブ、立体ムーブ装置なら、今でもあり、かつ日進月歩です。私的には、この「VR三種の神器」で十分楽しめます。

『電脳の楽園』は短編小説ですが、続編や長編も考えていました。受賞したら当然、書くつもりでした。あいにく「最終候補」で終わってしまいましたが・・・。

実は私が構想していた続編や長編も、『レディ・プレイヤー1』に似ているんですね。

私もまた、天才的な創業者が登場して、企業の継承や遺産の相続をテーマにしようと思っていました。そして、そのための「鍵」がVR世界に仕掛けられていることも。

私の場合、「ユニバース333、666、999」の三つの世界に謎解きのヒントが隠されているという設定で、それと現実のサスペンスを組み合わせるつもりでした。

だから、今回、スピルバーグ監督の最新作を見て、ようやく時代がオレに追いついてきたかと、愚考した次第です(笑)。冗談はさておき、本当に誰か、この『電脳の楽園』を映像化してくれないかなと、願っています。きっとハラハラドキドキする作品になる。

『電脳の楽園』を原作にすれば、『レディ・プレイヤー1』と似たようなドラマを作っても、とりあえず、パクリと言われることはありません。

当サイトで記事を書くと、数千人(記事によっては万台)の読者が目を通してくれるのですが、その中にテレビ局の番組関係者とか、ドラマ制作の関係者が一人くらい、いてもよさそうなものですが・・・。というわけで、興味のある方は気軽に連絡を

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