VRフレンドやVRパートナーを誰もが持つ時代

オピニオン・提言系
PS2「ICO」より




さて、前回はAIスピーカーの話でした。

無機質なスピーカーではなく、キャラクターにしたほうがいい、という話でした。

その続きです。そのAIスピーカーのキャラクターをプレステで創作できるようにするアイデアはどうでしょうか。プレステでキャラを創るソフト自体はすでにあるので、新しい点はそれを人工知能の人格にして人間と対話させるという点です。

幾つかの基本形を元にしてキャラクターの容姿や衣装を細かくカスタマイズするのは以前からよくあるシステムなので、詳しく説明しません。

創作キャラクターは、アニメ風CG風キャラだけでなく、リアル風(現実人間風)もあればなおいい。しかも、外見だけでなく、声や性格まで好みに設定できるようにしたらいいと思う。たとえば、性格が「明るい ⇔ 陰気」とか、言葉遣いが「丁寧 ⇔ 乱暴」といった尺度があって、針を左右に動かすだけで簡単設定可能にする。

私的には、とにかく明るいキャラで、いつも元気付けてくれるのがいいですね。逆に、おとなしくて、従順かつおしとやかなキャラがいいという人もいるだろう。

設定次第では、「テレビを点けて」と言うと、「自分でつけろ」などと言い返してくる生意気なキャラが出来上がったりするかもしれない。一時流行ったツンデレです。時には本気で腹の立つAIキャラだったら、あまり役には立たなくとも、実在感だけはあります(笑)。無口系や陰気系のキャラがいいという人も中にはいるだろう。

まあ、外観・性格とも好みの異性を創るというのが一般的でしょうが。



同じキャラがハードウェア横断的に登場すべし

むろん、キャラクターが好きという人でも、みんながみんな、自分で創りたいとは思わないでしょう。そういう人には、アニメや漫画の既成キャラも用意する。

ドラえもん、ミッキーマウス、ドラゴンボールのキャラなど。女性なら、黒執事とか、よく分からないイケメンキャラとか、いろいろあるでしょう。

アイドルや女優、タレントもいい。リアル系のキャラというわけです。

一つだけでなく、複数のキャラクターを“持てる”ようにすれば、その日の気分によって変えたりできるし、次第に自分の好みも分かってくるというものです。

いずれにしても、重要なことは、プレステで創ったキャラないし自分でセレクトしたキャラを、AIスピーカーの対話相手にすることができるという点です。

しかも、プレステやAIスピーカーのディスプレイだけでなく、PCやスマホ、スマートウォッチの画面などにも横断的に登場できるようにする。

最新の技術だと、「等身大キャラ」を3D立体映像として投影することも可能です。歌舞伎と「初音ミク」のコラボなどでも使用されました。こんなふうにあらゆる手段を駆使して、ユーザーの暮らしの様々な場面で、AR(拡張現実)としてキャラを登場させていく。事実上の家族と思えば、それほど不自然な話ではありません。

対ユーザー関係において常に連続性がなければならないAIキャラ

ただし、大事なことはキャラクターとしての「統一性・一貫性」があるということです。たとえば、AIスピーカーの猫キャラとラーメンの話をした後で、次にスマホを開いた時に出てきた同キャラがその話を覚えていないというのでは、興ざめです。

その猫キャラがスマホ上で「ならば、おいしいラーメン屋を検索してみようか?」と提案し、次にプレステの画面に登場した時に「あのラーメン屋はどうだった?」と質問するなどして、はじめてユーザーは、ハードウェアの向こう側にあたかも一人のキャラクターが実在しているかのような錯覚を楽しむことができるのです。

AIはそれ単体で学習してどんどん賢くなるだけでなく、ネットを通して他AIの経験も取り込むことができます。たとえば、1千体のマクドナルド接客専用AIがそれぞれ1千人を接客すると、データとしては100万人分になるんですね。

上のAIキャラも同じことです。ユーザーとの対話データを常にサーバに送り続け、「ビッグデータ」として経験値を蓄積していく。だから、こっちが話したことを覚えていて、それを会話に織り込んできたりすると、最初はかなり驚くと思います。AIスピーカーのキャラに話したことを、次に開いたスマホの同キャラがネタにしてきたりすれば、もっともびっくりするというか、人によっては薄気味悪くすら感じるでしょう。

こうして、ハードウェアに関係なくキャラが実在しているような錯覚に陥れば、人は“彼”をコミュニケーション相手としてふさわしい一個の人格と認識するでしょう。

バーチャル界のトモダチは永遠の友でありアシスタント

だから、無機的なAIに外見・性格共キャラ性を持たせると、それがパートナーとして容易に社会に受け入れられ、かつ急速に普及していく事態が想像されます。

なにしろ、何でも知っていて、何でも質問に答えてくれる超有能な秘書的存在であり、忍耐強い友達でもあります。社会人から見てもよきアドバイザーです。あまりの便利さ、その他の理由から、コミュニケーション相手として手放せなくなるでしょう。

よって、いずれ私たちのほとんどが固有のVRフレンドやパートナーを持つようになると思われます。これから生まれる世代にしれみれば、幼い頃からの友達であり、かつ死ぬまでそばに居続けてくれる、ある意味、親兄弟よりも近い存在になるかもしれません。しかも、そのAIキャラが親から子へと受け継がれていくことも考えられる。

「バーチャル界の」という意味で“バチャトモ”“バチャカレ”“バチャカノ”という用語も普通に使われるようになるかもしれません。「おれのバチャカノがよォ」というわけです。あるいは「あっち(バーチャル界)の彼氏」でも意味が通じるかもしれません。

友達がいないという人でも「信頼できるバチャトモ」なら作れると思いますよ(笑)。

自分の創ったキャラとプレステVRの中で“出会う”

さて、そんなキャラと「同じ目線で会えたら」とか「同じ空間を共有できたら」と、当然ながらユーザーは考えます。そして、その時こそプレステの本領発揮です。

まあ、プレステで“リアル系”のキャラを創った人の中には、ロボットの人格としてそのAIキャラを入れ、オリエント地方にあるという伝説の工業会社の門を叩くという人もいるでしょうが、そういう特殊な趣味の人の話はここでは止めておきましょう。

ここでなぜか深田恭子

とりわけ「プレステVR」なら、VR空間で“相手と会う”こともできます。体感グローブやスーツが発達すれば“触れる”ことも可能になる。

つい先日、バーチャル・リアリティについては記事にしました。

人が現実世界とバーチャル・リアリティを行き来する時代へ【VR】
みなさん、こんにちわ。 昨年はVR(バーチャル・リアリティ)元年でした。 文明の発達とフィクションの消費量はほぼ比例する。文明が発達すればするほど、人は仮想現実へと傾斜していく・・これは私の持論です。 人間は本能的に疑似体験を欲します。疑似...

バーチャル・リアリティという「あの世」に行くと、普段はAIスピーカーで対話しているキャラと、同じ世界のメンバーとして同じ目線で“会える”わけです。広大なVRワールドで、一緒に遊んだり、デートしたり、冒険したりできるわけです。

これほどソニーの得意な分野もないと思いますが・・。むろん、VRでなくとも、普通のプレステでも十分いけるでしょう。あくまで画面を挟んだ対面ですが、自分のAIキャラをRPGに登場させ、一緒に異世界を旅したり敵と戦ったりすることができれば、面白さもまた格別でしょう。だから、プレステとコラボせずして何がソニーのAIスピーカーか、というわけです。みすみす自身の強みを逃していませんかという話です。

あくまでユーザーの視点に立ってみましょう。

特別な「絆」を持つに至った“バチャトモ”と一緒に広大なバーチャル世界を旅し、難関をクリアするために助け合ったとか、一緒に火を噴くドラゴンと戦ったなどの「思い出」を共有できたら・・。AIキャラもその時の出来事をちゃんと覚えていて、普段の会話でネタにできたら・・。これほど面白い“ゲーム”も他にありません。

ユーザー、マジ泣き! まさかAIキャラが死ぬとは!

さらに、ゲーム的にいえば、そういったRPGの中でAIキャラクターが“死ぬ”こともありかもしれない。ユーザーはそんなことがあるわけがないとタカをくくっている。VRゲームの中で死んでも、VRを出れば復活すると勝手に信じ込んでいる。

しかし、現実世界に戻ってAIスピーカーやスマホのスクリーンを見ても、もう彼・彼女はいない。何度呼びかけても出てこない。別のキャラが代わりにしゃしゃり出てきて、「昨日から見ませんけど・・」などと言う。「おまえじゃない、彼・彼女を出せ!」と命令しても、そいつしか出てこない。ソニーの消費者相談室に抗議の電話を入れても無駄。

かくして、自分のAIキャラが本当に“死んで”マジ泣きするユーザーが続出する羽目に・・。こういうシステムを予告なしに入れたら、ちょっとしたセンセーションを巻き起こすのではないかと思います。きっと「おれのバチャカノを返せ!」とか、「あたしのバチャカレを生き返らせて!」などの抗議・悲鳴がソニーに殺到するでしょう。

その失意の中、ある日、“天界”からAIスピーカーに謎のメッセージが届く。

「伝説の○○城へ行け。そこで魔法の呪文とクリスタルを手に入れろ。そうすれば死んだものを復活させることができるかもしれない・・」

もちろん、新作VRゲームの購入が必要なことは言うまでもありません(笑)。

しかし、何年もの“付き合い”のある相手を復活させることができるなら、大半の人は迷わず買うかもしれない。

というわけで、AIスピーカーから、とんでもない方向へ話が拡大してしまいましたが、こんなふうにキャラクターを全面に押し出せば、AIスピーカーという一ハードウェアの枠を超えて、新しい文化や流行を生むところまでいくかもしれません。

私的には絶対にヒットするソニーの新商品を考えたつもりですが・・。

まあ、これを物凄い商機と気づくか否かは、ソニーの中の人次第でしょう。

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