「ネオ・ネオコン」の本性を現し始めたトランプ政権

テロ・紛争・戦争・崩壊
出典:AP 米軍によるシリアのミサイル攻撃について説明するトランプ米大統領=米南部フロリダ州で2017年4月6日




みなさん、こんにちは。

先日、トランプ大統領はシリアの空軍基地に対して59発のトマホーク巡航ミサイルをぶちかましました。不謹慎でしょうが、この出来事を分析するといろいろなことが見えてきて、おもしろいといえば、おもしろい。



これは“あの事件”の意趣返しでもある!

報道に拠ると、トランプ大統領が中国の習近平国家主席夫妻を晩餐会に招いたのが米東部時間(以下同)の6日午後7時。

で、東地中海の米駆逐艦からミサイルを発射したのが同じ日の午後8時40分。トランプ氏は夕食中に攻撃の進展状況を聞いていたという。

そして、同午後9時40分、記者団に軍事攻撃の命令を正式発表。

つまり、米中首脳会談日の、しかもわざわざディナータイムの時間を選んで、シリアへのミサイル攻撃を行った、ということです。

もちろん偶然ではなく、わざとやったんですね。

何か思い出しませんか、みなさん?

そう、米時間の2月11日の日米首脳会談です。この時、北朝鮮が新型弾道ミサイルを発射したため、トランプ夫妻と安倍総理夫妻の晩餐会が台無しになった事件がありましたよね。私はそれについて、次のように記しました。

とうとう自分の死刑執行書にサインした金正恩――執行人はむろんトランプ大統領
みなさん、こんにちわ。 2017年2月12日、日本時間の朝8時ちょっと前、北朝鮮が新型弾道ミサイルの発射実験を行いました。トランプ政権後としては初の試みです。 このニュースに関して多くの解説が行われていますが、私的には突っ込み不足に思えて不...

たぶん、「おれの楽しい時間を台無しにされた」という、個人的な恨みが大きい。しかも、東洋人の独裁者は、彼個人の楽しみに水を差しただけでなく、合衆国とその大統領をコケにした。許せるはずがない! 殺ってやる!・・とまあ、こんな感じです。(略)

私はもうトランプの個人的問題になったと思っています。彼は難民が飢えようが気にもならないが、自分の楽しみを邪魔されたことは絶対に許せない人です。また、「合衆国を再び偉大な国にする!」と息巻いていた彼にとって、コケにされたことも許せない。

トランプ⇒みのもんた化事件? 晩餐会を台無しにされた直後のトランプ

つまり、今回の「米中晩餐会タイム中ミサイル発射」は、少し前に日米の晩餐会をぶっ潰されたことに対する、明らかな意趣返しでもある。北朝鮮の後ろ盾である中国に対してやることで、北朝鮮に対しても間接的にメッセージを送った格好です。

意外と執念深いというか、トランプ氏はやはり面子を潰されたことを恨んでいたんですね。むろん、そういう個人的趣旨も含めて、今回のミサイル攻撃は、中国だけでなく、シリアの後ろ盾であるロシアも同時に恫喝している。

そして、この時期に両国をけん制する意味は一つしかありません。「これからわが国は北朝鮮を始末するが、おまえたちが手を出したら承知しないぞ」というメッセージでしょう。このことから、やはりトランプ政権が近いうちに北朝鮮への攻撃を行うつもりであることは間違いないでしょう。

また、「アサド政権の化学兵器使用に対して正義の鉄槌を下した」という体裁が、そのまま化学兵器を大量所持して、金正男氏をVXガスで殺害した北朝鮮問題にも繋がっている。菅官房長官も、日本政府としてトランプ政権の攻撃を支持する一方で、「化学兵器、核兵器を含む大量破壊兵器の行使は、北朝鮮をはじめとする東アジアで起こらないと保証することはできない」と、分かり易く域内の安全保障問題に結び付けている。

いい具合に「戦争政権」になってきたぜ・・・by「影の政府」

それにしても、つい先月末に、米大統領報道官や米国連大使が「ISの掃討を最優先とするので、アサド政権の退陣には固執しない」という内容の声明を発した、その舌の根も乾かないうちに、これですからね。180度手の平返し。

4日にサリン攻撃が行われ、すぐに白ヘル軍団が現れて被害者たちを救助してビデオ撮影して回り、6日にはもうミサイル攻撃・・。

もはや国連安保理はまったく意味がありません。米国だけでなく、中ロも拒否権を乱発しますから、結局、常任理事の5大国だけは何をやっても国連の旗印で討伐される心配はない。完全に国際連盟以下です。オバマ氏はまだ国連安保理を気にかける部分がありましたが、トランプ氏などは最初から単独行動で何が悪いという感じ。

今回のサリン空爆が、いわゆる「ニセ旗」の自作自演かどうかは分かりませんが、米駆逐艦によるミサイル攻撃のほうは、あまりに手際が良すぎる。ずいぶん前から準備していたのでしょう。元々、ヒラリーが大統領になったらやる予定の軍事作戦だったのかもしれない。もはやどっちが大統領でも結局は同じということですね。

しかも、標的になった「シャイラット空軍基地」ですが、位置的には地中海沿岸やレバノンをカバーすると思われます。

攻撃を受けたシャイラット空軍基地 出典:sputniknews.com

そういえば、今年の1月ですが、イスラエルが首都ダマスカス郊外のマッジ空軍基地をミサイル攻撃しています

このようにシリア西部の制空権が弱体化することによって利益を得るのは誰でしょうか。もちろん、反政府勢力、イスラエル、そしてこれから乗り込んでいく米軍です。

まさか米国が極東と中東の二正面作戦をやるとは思えませんが、そういう気配すら感じられます。もしかすると私の単なる固定観念で、同時にやるのかもしれない。

しっかりネオコンの意志を継ぐトランプ政権、そして今度は日本で「ニセ旗」事件か!?

どうやら、トランプ政権のことを「ネオ・ネオコン」とか「第二次ネオコン政権」というふうに私がいち早く呼んだことは、正しかったのかもしれません。

今からちょうど15年前の2002年1月、ブッシュ・ネオコン政権は「イラク・イラン・北朝鮮」を悪の枢軸と断定し、その翌年にはイラクへ侵攻した。

当時、その後に北朝鮮とイランを順番に叩く予定でした。しかし、(幾つかの記事で述べましたが)その予定が狂い、結局後回しになりました。

どうやら、トランプ政権は、北朝鮮とイランを順番に叩くらしい。つまり、ブッシュ・ネオコン政権がやり残したことを、やろうとしている。

ということは、やはりトランプ政権とはネオコンの再来なのではないか。

ただし、北朝鮮に対して大規模な軍事行動に出るには、今ひとつ政治的な決め手に欠けるのも事実。たとえば、「シリアが化学兵器を使用して子供たちを虐殺した」というような犠牲に匹敵する、何か分かりやすい大義名分が必要です。

あとは、本当にそれだけです。とすると、もしかして今度は日本(か韓国)で「ニセ旗事件」が起こってもおかしくない。そしてそれを知っているから、トランプ氏も「日本を100%守る」とか断言しているのかも・・。

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