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アメリカは「対北版ハルノート」を突きつけているのか?

5月8日と9日、ノルウェーのオスロで、米朝非公式協議が行われました。

報道によると、北朝鮮外務省の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長と、アメリカの民間有識者(元政府高官)による会談ということです。



アメリカが突きつけた条件が明らかになる

同じ頃、アメリカが北朝鮮に対して具体的に何を要求しているのかという情報も入ってきました(傍線太字筆者)。

米、対北朝鮮「核放棄なら体制認める」 中国に伝達 2017/5/9 1:12日本経済新聞 電子版

 【北京=永井央紀、ワシントン=永沢毅】トランプ米政権が中国に対して、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すれば金正恩(キム・ジョンウン)委員長を米国に招いて首脳会談に応じ、北朝鮮への武力侵攻などもしないと

【北京=永井央紀、ワシントン=永沢毅】トランプ米政権が中国に対して、北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すれば金正恩(キム・ジョンウン)委員長を米国に招いて首脳会談に応じ、北朝鮮への武力侵攻などもしないとの方針を説明したことが分かった。中国は米国に経済援助などにも応じるよう促すと同時に、北朝鮮には米国の方針を伝えたもよう。複数の外交筋が明らかにした。

上は日経新聞、下はロイターです。

核放棄なら米朝首脳会談も  2017 05 9 02:01 JST

【北京、東京共同】トランプ米政権が北朝鮮の核・ミサイル開発放棄を条件に、金正恩朝鮮労働党委員長の訪米を招請し首脳会談に応じる用意があると中国政府に伝えていたことが8日、分かった。これに加え、体制転換や米軍による進攻などをしない「四つのノー」も保証するとしている。複数の外交関係筋が明らかにした。中国は水面下で北朝鮮に伝達したもようだ。朝鮮半島情勢の緊張緩和のため、北朝鮮側の態度軟化を促す狙い。空母派遣などで軍事的圧力を強める一方、中国を仲介役に説得工作を本格化させたことが明らかになり、硬軟両様で核放棄を迫るトランプ政権の交渉戦略が浮き彫りになった。

このように、「核・ミサイル開発の放棄」を迫っています。そして、その条件を飲んだら、金正恩氏をアメリカに招いて首脳会談してもいい、「体制保障」や「軍事侵攻しない保障」をしてもいい、と言っているわけです。

金正恩にはもはや「応じるか、さもなくば死か」しか道はない

さて、この線で今、オスロで米朝協議しているとしたら、これはもしかすると「対北版ハルノート」に等しいかもしれません。

北朝鮮は30年にもわたり、莫大なコストと労力を投じて、地道に核・ミサイルを開発してきました。その「開発」を放棄せよ、という。

しかし、そうやって放棄して「丸裸」になった後に、カダフィがどうなったか? 彼は欧米諸国からリビアの資金を欧米の銀行に移すように要請され、あちこちに20兆円くらい振り込んだそうです。その後、民主化デモを仕掛けられ、軍事侵攻され、挙句に殺されました。その20兆円は欧米に強奪されたままになっているという。

だから、これは相手が飲まない(飲めない)前提で要求している可能性がある。つまり、「今すぐに中国のすべての権益を放棄して出て行け」と要求したハルノートみたいなものです。これで日本は対米交渉を諦め、アメリカとの戦争に突き進んだ。

もしかすると、暴発させて、先制攻撃させる狙いかもしれない。そうすれば、一切の遠慮なく、戦争がやれる。しかも、こんな時に、北朝鮮は、韓国系アメリカ人とはいえ、四人も事実上の人質をとる真似をしているのだから、まったくの逆効果です。

アメリカとしては「戦争になる前にしっかり外交交渉した」という実績を作っておきたいのかもしれない。周知の通り、イラク戦争のケースでは、戦後に「本当に大義名分があったのか」と、内外から非難が起きて、紛糾しました。アメリカは釈明に追われた。

ただ、私的には、金正恩氏と北朝鮮に応じてほしい。というのも、そうやって全面的にアメリカの要求を飲む以外に戦争を防ぐ道はないからです。

そうやって、本当に応じれば、アメリカとしても、さすがに攻撃できなくなる。

要求に応じておいて、後でグズグズ文句を言ったり、サボタージュしたりすれば、やはり攻められることになる。だから結局、武力で打倒される可能性もある。

北朝鮮はいったん国を明け渡したほうがいい。それが(核)戦争を防ぐ唯一の道です。

「独立を守るために」とか「国の尊厳のために」とか、そんなことは考えないほうがいい。これが最後のチャンスでしょう。